地方自治体の支援は
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肥料や飼料などあらゆる資材が高騰するなか、都道府県や市町村ではいま、政府からの配分が進む物価高騰対策の臨時交付金を活用して、コロナ禍と資材高騰に苦しむ農家への支援が行われる事例が全国に広がっています。自治体も交付金の活用先を模索しているなかで、農民連による県や市町村への要請や議会請願が、大きな力を発揮しています。
千葉県の生産振興課は、「さまざまな資材が高騰する中、農家の負担を抑えるとともに迅速に支援できる策として、国の助成に上乗せすることにした」と話し、対象農家には年内にも助成金が渡される見通しです。
施設園芸にも、認定農業者や認定新規就農者を対象にして、ヒートポンプなどの省エネ設備の導入費の一部を助成します。
また、畜産飼料への支援策は6月の補正予算で行われており、国の配合飼料価格安定制度に加入している畜産農家に対し、配合飼料1トンあたり600円を県で上乗せ補助。粗飼料の購入費も1回のみですが1頭当たり乳用牛で5000円、肉用牛で1000円が支給されました。
千葉県農民連では昨年来、鶏インフルエンザ発生の対応策強化や、学校給食への地場産農産物の活用など、さまざまな課題でたびたび県要請を行い、農業の実態を伝える努力を続けてきました。こうした中、昨年2月の千葉県農民連の県要請では、県側からも多くの県職員が参加し、「農民連さんが発行した『国連家族農業の10年』を読みましたよ」という会話も県職員から飛び出すなど、県の姿勢にも少しずつ変化があったといいます。
昨年2月の県要請 |
「いま、物価高騰対策の臨時交付金が自治体に配分されており、やはり農業の実態を自治体などに粘り強く届けてきたことが、肥料高騰の支援策などにつながっている」という森吉さん。
千葉県農民連ではこれらの経験を力に、9月議会に向けて、県下のすべての市町村議会に、資材高騰対策とインボイス制度中止の2つの議会請願を郵送で提出するなど、臨時交付金を活用した農業支援策を求める運動に取り組んでいます。
採択されたのは現在のところ酒々井町だけですが、柏市や市川市、船橋市などで市独自の農業支援策が発表されています。
千葉県では、国や県の持続化給付金に加えて、市町村にも給付金制度が広がりましたが、東金市では行われませんでした。そこで発足したばかりの地域農民連で市に粘り強く要請を重ねた結果、東金市では今年に入って市独自の給付金制度が実現したという成果も生まれています。
▼地方創生臨時交付金約21億円を肥料高騰対策にあて、化学肥料1トンあたり3125円を農業者に支給する。道内で67万トンの肥料が使われることを想定し、支援額を算定した。
北海道音更町
▼肥料高騰への支援として、畜産農家を含む600戸を対象に、作付け面積10アールあたり1000円補助する。事業費2億1600万円のうち5割超を町の一般財源から、残りを国からの臨時交付金で賄う。
北海道清水町
▼町内の畜産農家を含む340戸を対象に、化学肥料1トンあたり3125円を助成する。町は、「国、道による肥料支援に町独自で上乗せ助成し、値上がり分をさらに穴埋めできるようにしたい」。
▼主食用水稲に資材高騰の支援として、10アールあたり1500円を補助
▼飼料高騰対策として、1頭当たり乳牛9000円、繁殖牛1万円、肥育牛2万円を支援
岩手県矢巾町
▼畜産農家に、乳牛1頭あたり5000円、繁殖牛4頭あたり5000円、豚8頭あたり5000円、鶏300羽あたり5000円を補助
▼認定農業者と認定新規就農者に1人3万円、農事組合法人や集落営農組織などに1団体10万円を支給
岩手県一関市
▼燃料・肥料支援として10アールあたり、主食用米1500円、主食用以外の米、麦、豆1000円、園芸作物(加温)3万円、(加温なし)5000円を補助
▼飼料高騰への支援として、1頭当たり乳牛に2000円、繁殖母牛に4000円、繁殖子牛に3000円、肥育牛に1万4千円、国の配合飼料価格安定制度の未加入者に1トンあたり200円を支給
▼乾しいたけ生産に、ほだ木1500本以下1万5千円〜3万円、1500本以上5万5千円を、菌床の暖房用燃料に1アールあたり1万円を給付
岩手県奥州市
▼飼料高騰への補助として、1頭当たり繁殖牛(子牛含む)・肥育牛に1万1000円、乳牛に1万2千円、育成牛に2000円を支援
▼肥料価格への助成として、水稲10アールあたり670円(高騰分の25%)を補助
[2022年10月]
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