「農民」記事データベース20220411-1500-08

国連が警告
「戦後最悪の食料危機」
(1/3)

ロシアのウクライナ侵略と食料危機

関連/国連が警告「戦後最悪の食料危機」(1/3)
  /国連が警告「戦後最悪の食料危機」(2/3)
  /国連が警告「戦後最悪の食料危機」(3/3)

 コロナ禍のもとで食料価格の高騰と食料危機が強まっていた矢先に、ロシアのウクライナ侵略が勃発し、穀物、原油、肥料の価格が高騰しています。食料は確保できるのか、農業生産は続けられるのかという不安は深刻さを増しています。


世界の食料価格は
21世紀に入って2.6倍に

 ロシア・ウクライナは世界の小麦輸出の30%、飼料の主な原料であるトウモロコシ輸出の2割を占め、大豆油と競合するヒマワリ油は78%にのぼります。国連は「第二次世界大戦以来最悪の食料危機が引き起される」可能性を指摘しています。

 「日本は両国から輸入していないので影響はない」と言うノー天気な農水大臣もいますが、ウクライナ侵略のもとで、両国以外の国に需要が集中して食料争奪戦が激化しており、国際相場は1・8〜1・3倍に暴騰しています((1))。

画像

 FAO(国連食糧農業機関)が3月4日に公表した「食料価格指数」によると、世界の食料価格は2008〜11年の食料危機の水準をはるかに上回る140・7に達し、21世紀に2・6倍になりました。これはウクライナ危機のもとで、さらに深刻化しています。

飢餓・食料不足は世界人口の30%

 FAOが昨年9月に公表した報告(「2021世界の食料不安」)によると、コロナ禍のもとで世界人口79億人のうち30%が飢餓と食料不足にあえいでおり、19年から20年にかけて急増しています((2))。飢餓水準の人々が9・3億人、食料が底をつくリスクがあり、健康的な食事をとれない人々が14・4億人で、合計23・7億人。

画像

 また、FAOは、コロナショックでさらに10億人増えると試算しています。

物価上昇ラッシュ

 これに食品や電気・ガスの値上げラッシュが追い打ちをかけています((3))。原因はコロナショック+ウクライナ危機+異常な円安です。昨年は1ドル103円台だった為替相場は現在125円。これだけで原油や食料は21%割高になり、国際相場高騰+円安で輸入価格は2〜1・5倍になります。

画像

 ところが、岸田首相は「緊急かつ機動的に対応する」と言いながら、4月末に「緊急」対策をまとめる方針。その一方で、政府は3月に小麦の政府売渡価格を1年間で40%も引き上げ、飼料価格も史上最高になりました。

 物価と為替の監視役である日本銀行の黒田総裁は「物価上昇は非常に良いことだ」「円安は日本経済にプラスになる」と、狂気の沙汰(さた)の暴言をはきました。

 この四半世紀で、日本の実質賃金は15%も下落しています。これに加えて物価上昇。国民生活を守るため、まずは消費税5%への引き下げが緊急の課題であり、物価緊急対策のすみやかな実施、異常な円安の是正がどうしても必要です。

         □ >>〔次ページ〕

(新聞「農民」2022.4.11付)
ライン

2022年4月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2022, 農民運動全国連合会