「農民」記事データベース20220103-1487-09

学校給食
パンに地元産小麦、ご飯に有機米
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アグロエコロジーとしての学校給食

家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン常務理事
関根 佳恵 愛知学院大学准教授

画像  近年、学校給食に有機食材を導入する運動が、世界的に広がりを見せています。ヨーロッパやアメリカ、ブラジル、韓国等で取り組みが行われていますが、日本でも同様の試みをする自治体が増えてきたことは、たいへん喜ばしいことです。

食料主権を実践し
公正な農と食求める

 「学校給食は自治の鏡」と言われるように、安全な食を求める住民の草の根の運動が地方の議会や選挙を動かしているからです。これは、「自分たちが食べるものは自分たちで決める」という「食料主権」の実践であり、環境にやさしく社会的に公正な農と食のあり方を求める社会運動としての「アグロエコロジー」そのものだと言えます。学校給食は正にこうした「変革の主体形成の場」です。

 実は、これらの運動が目指しているのは、「よい食」の導入によって地域社会を変えていくことです。「よい食」の定義は、時代とともに変遷してきました。量的充足を重んじる段階から味や鮮度、安全性、栄養を重んじる段階へ、そしてさらに文化的適切さや公正さ、つまり、分配や人権、労働環境、自然環境等への配慮を重んじる段階へと発展してきました。

 その「よい食」の具体的な選択肢となっているのが、地元で小規模・家族農家や中小零細事業者が生産した有機食材(必ずしも第三者認証を必要としない)それは、「よい食」の購入を通じて、大規模な工業化された農と食のシステムから脱却する道を開くことを期待されています。それは、公共政策で変えられるものであり、人びとの栄養・健康の状態の改善、所得格差の是正、農業生産者の所得補償、生物多様性の保護、気候変動対策、地域コミュニティーの活性化等によい波及効果をもたらすことができます。

 学校給食だけでなく、保育園や病院・介護施設、刑務所等の公共施設の給食も変えていけば、さらに大きな社会変革につながるでしょう。

(新聞「農民」2022.1.3付)
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2022年1月

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