「農民」記事データベース20210412-1452-05

カップ麺・即席麺から
グリホサートを検出
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=農民連食品分析センターの検査で=

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輸入小麦
農水省調査でも高確率で残留農薬検出

 農水省は1月22日、2020年度前期(4〜9月)の輸入小麦(食用)の残留農薬検査についての結果を発表しました。それによれば、輸出国であるアメリカ、オーストラリア、カナダ、フランスから、64種類の残留農薬が検出(いずれも基準値以下)されています。

 除草剤グリホサートは150サンプル中121と高い確率で検出されています。国別の内訳は、アメリカ77サンプル中75、オーストラリア27サンプル中6、カナダ40サンプル中40でした。

 海外では収穫作業の効率化のために、収穫直前にグリホサートを散布するプレハーベスト処理が認められている国があります。

 グリホサートの残留基準を緩和

 日本政府は2017年12月、グリホサートの残留農薬基準の大幅な緩和を実施し、小麦については、5ppmから30ppmへと大幅に引き上げられました。こうした緩和により、使用しやすい状況ができたことで、輸入小麦を原料とするパンやめんに実際にグリホサートが検出されています。

 グリホサート以外に、けん怠感、頭痛、視力減衰、腹痛、けいれんなど人体に悪影響のある農薬も。有機リン系の殺虫剤であるクロルピリホスメチル(150試料中35)やマラチオン(150試料中59)も検出されました。

 さらに、国内では使用されず、アメリカ、オーストラリア、カナダなどで牧草や穀類の生産に使われている除草剤の成分、クロピラリドも150サンプル中117と高確率で検出されました。

 クロピラリドが含まれた飼料を家畜に与えると、ふん尿として排せつされ、そのふん尿を原料として作った堆肥を土づくりなどのために使うと、野菜や花の生育に影響(生育障害)が生じる事例が実際に発生しています。


生産者は散布時に曝露か?

農民連食品分析センター
毛髪のグリホサート分析

検出は生産者だけ

 分析センターはこの間、有志の方より髪の毛を提供していただき、残留農薬の検査を行ってきました。

 寄せられた35人分のサンプルを検査した結果は図と表2の通りです。

画像  髪の毛からグリホサートが検出されたのは8人で、すべて生産者です。消費者からは検出がありませんでした。

 この結果から、食品からの摂取ではなく、散布時に曝露(ばくろ)して、飛まつを経口で摂取するなど、体内にとりこまれたグリホサートが検出されたものと考えられます。

 ADIでは評価されない影響も

 20年8月10日付新聞「農民」でも紹介しましたが、グリホサートは発がん性など人体への影響の指摘が近年続いています。

 出生前にグリホサートにさらされることが、自閉症スペクトラムと関連があるとする論文が19年に出され、20年には千葉大からもパーキンソン病や自閉症発症への影響を指摘する発表がありました。また、受精卵の着床異常との関連性も警告されています。これらの影響はADIでは評価されないものです。

 生殖や胎児に対し影響が指摘されているラウンドアップですが、農村の現場では除草作業を女性が担うことも多々あります。今回の調査でもグリホサートが検出された8人のうち3人が女性でした。

 農村では、農業従事者が減少し、耕作面積の拡大が進んでいます。そのなかで、雑草に対して除草剤を使用せざるをえない現実があります。生産現場でグリホサートの使用を削減することが求められています。


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青森・むつ市 ノ谷マサ子

(新聞「農民」2021.4.12付)
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2021年4月

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