全国委員会の発言から
戸別所得補償復活を求めて
請願・陳情を
栃木農民連事務局長 野村和史
栃木県はイチゴの生産量は日本一。コシヒカリの取扱量、ニラ、生乳の生産は全国2位で全体では全国9位の農業県です。
しかし、農家戸数でみると1993年は7万6100戸でしたが、2015年には3万9810戸と半減しました。
こうしたなかで、農家の経営をどう守っていくのかを考えた結果、「農業者戸別所得補償制度」の復活こそ、農業者とりわけ米農家にとって死活的に重要な課題と位置づけ、全国的な運動の一端を栃木でも担う決意で取り組みました。
県内26自治体すべてに「戸別所得補償を求める」陳情と請願を届けました。
6月議会でだめなら9月、9月でだめなら12月という形で進め、また、陳情がだめなら請願に切り替えるなどしました。自治体によって対応が異なり、かなり苦労しました。18自治体で不採択、1町で継続審議、残りは議長預かりなどとなっていますが、陶芸の町、益子町で臨時議会開会の末、採択されました。
私も宇都宮、栃木、足利、那須烏山の各市で趣旨説明を行い、質疑応答にも立ちました。
一番多く出されたのは、「米の直接支払いがなくなっても、収入保険があるからいいのでは」という疑問でした。
そこで力を発揮したのが農民連ブックレット『ストップ!日米FTAと「安倍農政改革」』でした。私は3回以上読み、これを携えて各議会を回りました。「もう少し話がしたかった」という議員もおり、農民連ががんばって風を起こせば変わると実感しました。
この間、税金の自主申告・相談活動で会員も増やしています。その背景には税務調査があります。12月に開いた税金学習会でも会員を増やしており、30周年に向けてさらにがんばりたいと思います。
3000万署名を
農業の課題と同様に
宮城農民連事務局長 鈴木弥弘
「9条改憲ノー、3000万人署名」をわがこととして、なぜ農民連が取り組むのか。TPP、輸入自由化、農政改革などさまざまな農業の課題がありますが、それらと同じように農村地域で改憲ノーの声を圧倒的に強めていく必要があります。
昨年の総選挙では、改憲派が3分の2を占めました。これ自体はたいへんなことですが、それを発議させない世論と運動が求められています。
宮城では5月3日をめどに、県の9条の会として57万人分の署名を集めようとがんばっています。10万枚の署名用紙を作製し、さらに10万枚を増刷しました。
県内にはすべての自治体と各団体別に100以上の9条の会があります。私が住む地域では、新聞折り込みや全戸配布などで3枚ずつの署名用紙を届けています。
それを回収するために、封書を送ったほか、最近では、5名連記のはがきを送っています。ほかに街頭宣伝や全世帯訪問などに取り組んでいます。
宮城農民連としても、県の9条の会から署名用紙を1000枚もらい、農民連のスタンプを押して配布しました。
そこに全国連からさらに3000枚の署名用紙が届き、それを配りながら5000人分を集めようとがんばっています。
税金相談や農作業もありますが、これらの課題と同じ比重で取り組み、農村地域で「改憲ノー」の声を高めることがいま大事です。
国保税の府単位化で
農家は数万円の負担増
大阪農民連事務局長 中西顕治
1月上旬から農民連が主催する「なんでも相談会」を開催しています。「相談会」では、農民連とはどんな組織なのか、農民連会員になるとどんなメリットがあるのかを紹介する「要求しおり」を活用しています。
地元に相談会のチラシをまいて、事務所に机を一つ置いて、人が来るのを待ちます。人が来たら、お茶を飲みながら、気軽に「どんなことで困っていますか」などと相談に応じます。税金の相談が一番多く寄せられます。
今回は、税金のなかでも、特に負担の重くなる国民健康保険税(料)の大阪の特殊な事情をお話しします。
大阪では、国保税を府内の自治体すべてで同じ税率にしようという動きが加速しています。これを実施すると、1万人の町と30万人の市とで同じになってしまい、病院の有無などの自治体間の医療格差を認めない不均衡がおきます。
さらに、今までは国保会計に法定外繰り入れという形で保険料を安くしようとがんばっている自治体がありました。ところが、税率を統一すると、繰り入れをしても保険料は安くできないので、繰り入れをする意味がなくなります。
大阪府全体では年間200億円が法定外繰り入れされ、保険料の上昇を抑えてきました。これをやめれば保険料は200億円分上がることになります。一世帯あたり2万円以上の値上げになると試算している自治体もあります。
そうした怒りを分かち合いながらいま税金相談にのっています。
その解決策の一つとして、大規模なところは法人化し、社会保険に移る手続きをとることにも取り組んでいます。
(新聞「農民」2018.2.5付)
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