安倍政権
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閣僚声明文のとおり、「核となる項目について合意した」(agreed on the core elements)が、米国がTPPに復帰したら「解凍」する前提で、元のTPP12の協定文から20項目を凍結した上、マレーシアが主張する国有企業の優遇禁止の凍結や、カナダが求めていた文化産業の著作物保護の例外扱い要求など4項目は未解決のまま残されている。日本側は「カナダがあのような態度をなぜとったのかわからない」と説明したが、「首脳間で合意を確認するレベルでない」と言ったカナダのほうが妥当のように思われる。
決裂した項目は外して、合意できた部分だけをもって大筋合意と言うなら「言葉遊び」で何とでも言える。最近、このような「合意」が頻繁に使われるようになった。2015年10月のTPP12の「大筋合意」は「合意に達した」(come to an agreement)で、条文は一応できていた――新薬のデータ保護期間の延長について日本が提案した8年とも5年ともとれる「玉虫色」の条文が「同床異夢」の解釈を可能にしていたことなど、解釈も含めて条文の確定作業が残っていたが。2017年7月の日欧EPA(経済連携協定)の「大枠合意」は「原則的な合意」(agreement in principle)で、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項を「死んだもの」と断じたEU(欧州連合)とISDSに固執する日本との溝が深く、投資部分が未合意となっていた。
米国がいると、「ジャイアン」(アニメ「ドラえもん」に登場するガキ大将)たる米国に忠実な「スネ夫」的存在の日本が、米国が不在になると、途端に自分が「ジャイアン」ぶる傾向がみえる。カナダの反発もわかる。
筆者は、以前から日本とアジア諸国とのFTA(自由貿易協定)の事前交渉に数多く参加し、TPP12で米国が他国に行ったジャイアンぶりを、日本がアジアとのFTA交渉で相手国に露骨に行っていたのを非常に恥ずかしく思ったのを覚えている。
そもそも、TPP破棄で一番騒いだのは米国農業団体だった。裏返せば、日本政府の影響は軽微との説明は意図的で、日本農業はやはり多大な影響を受ける合意内容だったということが米国の評価からわかってしまう。せっかく日本から、コメも、牛肉も、豚肉も、乳製品も、「おいしい」成果を引き出し、米国政府機関の試算でも、4千億円(コメ輸出23%増、牛肉923億円、乳製品587億円、豚肉231億円など)の対日輸出増を見込んでいたのだから当然である。
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岩手県の「TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える両磐の会」は毎月、TPPに反対するアクションに取り組んでいます。11月25日に、一関市のコープ一関COLZA店舗前で実施し、33人分の署名が集まりました |
しかし、これまた感心するのは、米国農業団体の切り替えの早さである。すぐさま積極思考に切り替えて、TPPも不十分だったのだから、2国間で「TPPプラス」(TPP以上の譲歩)をしてもらおうと意気込み始めた。それに応じて「第一の標的が日本」だと米国通商代表が議会の公聴会で誓約した。
[2017年12月]
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