政府は漁民の声を聞け!沿岸漁業フォーラムから
クロマグロ漁獲規制
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和歌山・杉本さん発表から |
自分の漁師としての経験からも、カツオが釣れなくなったのは1990年代に入ってからで、年々、カツオの群れが小さくなっています。カツオの適温である19〜20度の海域に当たっても釣れない。とくにここ10年くらい、ひどくなっています。
なかでも西日本ルートからの来遊量が減少しており、現状から見て、不漁原因は「熱帯域での大規模巻き網漁による乱獲」で資源が減少している以外に考えられません。今、国を挙げてこの熱帯域の大規模巻き網の漁獲規制に取り組まなければ、高齢者がほとんどを占める紀南の小規模漁業は、消滅してしまいます。
漁業の大半をしめる私たち小規模漁業を守ることこそが、現在政府が進めている「地域再生」「地方創生」につながります。今の大不漁の実態と深刻さについて、小規模漁業者みずからが大きな声をあげるべきでしょう。そのためには、各地の引き縄漁業者の結束が大事だと思います。
巻き網漁は、水揚げの95%が産卵期に集中しており、マグロに産卵させることなく乱獲しています。私たち沿岸漁民は、引き縄で一尾ずつ釣りあげます。しかし巻き網は1台何億円もするソナーで、何キロも先の魚群を見つけ、大きな網で一網打尽にします。こんな漁業と零細漁民が同じ扱いでは、私たちは生きていけません。
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引き縄(釣り)漁 |
大中型巻き網漁 |
私たちはマグロを増やすことに反対しているのではありません。資源管理なしでは未来の漁業は成り立ちません。しかしいま、メジ(小型クロマグロ)の引き縄漁だけで生活してきた漁師が、船を解体して辞めるということが増えています。どうか、この浜の現状を知っていただき、豊かな海を取り戻すため、力を貸してください。
しかしその後も国からの支援策はなく、泣く泣く漁師を廃業し、解体した船が出てきています。
その一人は、過去には青年部員相手にメジの引き縄漁の講師をつとめたほどの漁師でしたが、「メジが捕れないなら船を持っていても仕方ない。従来通りの操業ができたら、解体することもなかった」と心の内を話してくれました。
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漁獲規制で廃業に追いこまれ、解体されるベテラン漁師の船(今年7月)(写真は千葉県沿岸小型漁船漁協の提供) |
大中型巻き網による産卵魚の漁獲や大目流し網では、混獲したメジを水揚げしています。このような状況のなかで、小型船の漁師が自粛要請を守るために船を解体することなど、あってはならないことだと思います。
[2017年9月]
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