「農民」記事データベース20170731-1273-06

この文書って おかしいよね

“適切に廃棄せよ”とは
あまりにもいい加減

関連/市中に出回るGMペチュニア
  /この文書って おかしいよね
  /求められる発生源の解明


島根県農民連会長
長谷川敏郎

 「これって、おかしいと思いませんか」

 6月11日、鳥取県農民連の役員会で、伯耆(ほうき)町でイチゴを栽培する土屋俊和君(37)から一枚の文書を見せられました。「遺伝子組換体であることが判明したペチュニア品種の取扱いについて」というJAの文書です。

 彼は夫婦でIターンし、新規就農6年目の青年。花壇苗農家にも多く知り合いがいます。

 遺伝子組み換えペチュニアが市中に出回り、花壇苗農家に「すでに播種又は移植を終えた苗については適切に廃棄するよう指導があります」と紹介しています。

 未承認の遺伝子組み換え作物を、たとえ、花だとはいえ農家に「適切に廃棄」とは。食べものだったらどうするのか、あまりのいい加減さに驚きです。

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店頭に並ぶペチュニア

 農水省は安全性を強調するが…

 確かに、タキイ種苗や農水省のホームページでは「南米原産の外来種です。日本における交雑可能な近い野生種は知られていません」とし、「他の野生植物に影響を与える可能性は低いと考えられます」と安全性を強調しています。

 その後、サカタのタネなどから新たに10種の未承認GMペチュニアが確認されました。すでに種苗会社、ホームセンターなどで販売され全部の回収は不可能です。

 土屋君は「タキイは種代を補償というが、植えた手間・引き抜いた手間はどうなるのか。一色でもダメになれば生産計画が崩れ、売り物にならないはず」と花壇苗農家を心配し、仲間と情報交換し合っていました。

 いとも簡単に拡散の恐ろしさ

 私も翌日、全農しまねを訪ねましたが「調査中」と回答。その後、県庁で農産園芸課長に会い、話を聞くと「農水省から連絡は来ている。県として関係者に通知を周知している」とのこと。地元JAに聞くと「一軒だけ、それも一色だけ購入していたが種苗会社が来て持ち帰った」と教えてくれました。

 未承認の遺伝子組み換え作物はいとも簡単に拡散することの恐ろしさを痛感しました。


知らない間にGM品種が混入
国は監視せよ

 土屋俊和さんの話 農家や消費者からすれば、知らない間に遺伝子組み換え品種が混ざってしまうのは恐ろしいことです。有機農業でがんばっている若い農家にとっても脅威です。

 今後、輸入自由化が進み、主要農作物種子法(種子法)も廃止されたことから、国はもっと目を光らせるべきです。

(新聞「農民」2017.7.31付)
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2017年7月

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