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遺伝子組み換え技術は、他の生物種の遺伝子を別の生物種に導入する技術であるのに対して、現在主に利用されているゲノム編集技術とは、遺伝子の働きを壊す技術です。成長を抑制する遺伝子の働きを壊すと、成長に歯止めがかからなくなり、成長が早まります。従来の遺伝子組み換えと比べると格段に容易で、開発コストも安く済むといわれています。
ゲノム編集は、生命体が本来必要とする機能を止めることで、自然界になかった生命体を発生させます。成長を早めようと、片一方の機能をなくすと、そのバランスを崩すことになり問題です。
また、ジャガイモでは、ソラニンなどジャガイモの芽にできる毒をつくらないようにしたものもあります。
稲のゲノム編集技術は、花芽の分化を促進する植物ホルモンを分解する酵素の遺伝子を破壊したものです。この酵素遺伝子を止めると、植物ホルモンが増加することで花芽の分化が促進され、その結果、もみの数が増加し、収量が増えることになります。
また、『エコロジスト』誌(2016年1月13日)は「遺伝子の働きは複雑であり、この操作が他の遺伝子の働きや、遺伝子間の相互作用に影響を及ぼす可能性は高いと考えられる。このことが毒性を増幅するなど食の安全性に影響をもたらしたり、栄養分を低下させたり、新たなアレルゲンをもたらす可能性がある」と懸念を表明しています。
日本国内では、ゲノム編集で作られた作物が、GM作物の環境への影響などを規制するカルタヘナ法の対象になるのかどうかが不明確です。
さらに、今回の稲の試験栽培のように、「他の作物と交雑するおそれがある」という懸念は解決されないままです。
こうしてゲノム編集技術は、人間の都合に合わせて生命を改造し、その影響が次世代以降に受け継がれるケースが多いほか、従来のGM大豆やトウモロコシにみられた単一品種化が進むなど、生物多様性を脅かす可能性が大きいといわなければなりません。
[2017年6月]
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