「農民」記事データベース20160104-1196-07

TPPとのたたかいはこれから

参院選で安倍政権退場へ
力合わせたたかおう
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政府のごまかしを現場から告発を

 裏切られてもまだ自民党支持

 白石 JA全中は、「対策」に「われわれの意見が盛り込まれた」とし、そのうえ農協政治連盟が、参院選で熊本県内のJA組合長を組織内候補として自民党比例代表候補に擁立する方針です。これに対し、多くのJA関係者が怒りの声をあげています。

 内田 ここまで痛めつけられても、まだ自民党なんですね。

 白石 私たちも地域の農協の関係者とも話していますが、みんな本音では「事後対策では農業は守れない」と怒っています。決してたたかいの旗を降ろしたわけではありません。熊本では、農民連が事務局団体になって開いた鈴木宣弘・東大教授のTPP講演会は、来場者が200人を超え、驚いたことに、農協組合長をはじめ農協関係者も多数参加し、大成功でした。農民連も地方でTPPに反対する学習会や講演会を開きますが、政府とは違う情報を求めて多くの人たちが参加しています。

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TPP交渉が行われていたホテルの前で横断幕を掲げて抗議する内田さん(右から3人目)=15年7月29日、ハワイ

 内田 私も各地の学習会に呼ばれていますが、山形・鶴岡で開かれた学習会では、「農村で農家が減れば共同したきめ細かな水の管理ができなくなり、農業そのものができなくなってしまう」という具体的な話があり、説得力がありました。

 白石 TPPで、農業がだめになると、地域そのものが崩壊してしまいます。いま農家は、自分の経営のことを考えながらも、地域をどうしていくのか、真剣に模索中です。そういう点でも内田さんや鈴木教授の役割は大きいですね。

 内田 11月に都内で開いた集会でも、吉川利明・農民連事務局長が、「地域がつぶれると、いくら優秀な農家でも、経営に影響がでる」と話していましたが、現場からの告発は大事ですね。

 都市の消費者も大きな影響が

 白石 いま国内でも、農業で地域を活性化させようという取り組みが広がっています。秋田では、中央卸売市場が個々の農家を回って、とれたての農産物を集荷し、その日のうちに消費者に届けるということをもう14年近く続けています。消費者にも喜ばれ、農家も元気になっています。TPPに反対する運動とともに、こうした事例を多く紹介しながら、「地域を守ろう」と発信していきたいと思います。

 内田 農業の問題は食料の問題であり、実は都市の消費者に一番影響があることをもっと認識する必要があります。自分たちに身近な問題だと感じるようになれば、TPP反対の運動ももっと盛り上がるはずです。

 食の安全を守る分析機能の強化

 白石 私たちは、国民の「安全なものを食べたい」という願いに大いに着目しています。いま、農民連食品分析センターが残留農薬と遺伝子組み換え作物の検査を強化するために、新機器を導入する募金を呼びかけています。残留農薬検査でいうと、検査できる農薬の種類が格段に増えます。遺伝子組み換え検査の方は、原料中に遺伝子組み換え原料が何%入っているかということも調べられるようになります。

 内田 それはすばらしいですね。ぜひ応援します。私たちも、食の安全を考える映画を作製したとき、試写会に分析センターの八田純人所長を呼んで、簡易キットを使った遺伝子組み換え検査をしてもらいました。みんな「知らずに食べていた。勉強になった」と好評でした。

 白石 危険な輸入農産物をチェックすることで「日本の農業と食の安全を守り、TPPを跳ね返そう」という運動を消費者のみなさんとともに進めていきたいと考えています。

 内田 各地で、食の安全を考える学習会を進めるうえで、私たちも2012年にアメリカで制作されたドキュメンタリー映画「遺伝子組み換えルーレット」の日本語版をDVDとして発売しました。映画の前半は、遺伝子組み換え食品の危険性を告発し、後半では、反対に立ち上がる母親たちの運動を描いています。

(新聞「農民」2016.1.4付)
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2016年1月

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