地方選挙で安倍暴走政治に
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栃木県はいわゆる「保守王国」。西川氏のほか、改憲の急先峰、船田元自民党憲法調査会長ら、自民党の有力議員の地盤でもあります。
そんななか、栃木県農民連の事務所がある上三川町の農家から、「親戚や周りは自民党が多いけど、今度の選挙ではうちはもう違うところに入れるよ」という声が上がっています。20戸ほどの農家で集落営農組織をつくり、二条大麦(通称ビール麦)を23ヘクタール、米8ヘクタールを耕作しているこの60代の男性は、「米の値段が安すぎる。いろいろな説明会でもTPP参加が前提扱いされて、カリフォルニア米並みにもっと安くなるって聞いたけど、それじゃ若い人は農業が継げないよ」と、アベノミクス農政への疑問を口にします。
「このままでは地域の農地が荒れてしまう。もう農家同士で争ってる時代じゃない。農家同士、助け合わなくちゃ」と集落営農組織をつくり、さまざまな助成制度も活用して、農地を守っていると言います。「安倍政権は沖縄でやってることもひどいよね」と、怒りを隠しません。
今回のいっせい地方選挙では、栃木県でも県議会議員選挙が行われます。“オール与党”となっている現在の県議会では、「反対討論がなければ賛成討論もしない」という慣例がまかり通り、本会議の討論はこの3年半でわずかに5回しか行われませんでした。
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新聞「農民」の農協特集号を手に、農家と対話する栃木農民連の野村事務局長(右) |
栃木県農民連の野村和史事務局長は、「アベノミクス農政推進でない議員を議会に送って、農民の声がちゃんと届く県議会にしていきましょう」と訴えると、男性は「そうだね!」と、笑顔で応えました。
県連役員が、地元農協の組合長や役職員と懇談し、上伊那農協、信州諏訪農協の2つの農協では全職員分1100部を農協の手で職員に配布しました。
また、JAみなみ信州果樹婦人部大会でも受付で他の資料と一緒に300人の参加者に配布するなど、これまでになく好意的で積極的な対応をしてもらっています。
県北部の木島平村では、「いっせい地方選挙前に多くの人に、農協問題を知らせる必要がある」と、1500世帯のうち1000世帯に特集号を配布して、その後対話を進めています。
村内を回り、対話するなかで塩島昇さんは、「集落内の高齢化した人の田んぼを26枚受けているがあわせても1・8ヘクタールと狭くて効率は悪いが、この土地を守っていかなければ村が荒れてしまう」「去年の米は1俵1万円にもならないが、自分の年金とおかあちゃんの給料で何とかしのいでいる。こういう山間地の村でも、若い人が続けていかれるような支援策がどうしても必要」と力を込めて話しました。
長野市の北に隣接する飯綱町でも、農協職員、農業委員、農家に届けながら対話をしています。
飯綱町で夫婦と息子夫婦の4人で米19ヘクタール、大豆、そばとリンゴなどの果樹を含めると40ヘクタールを栽培している丸山優二さん(66)は、「米は1反歩、2万〜2万3000円の赤字」「これから先、白米での出荷先を探したり、餅の加工も考えたりするがまったく見通しが立たない」と顔を曇らせ、「これからの販売先等を農民連とも相談したい」と話しています。
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リンゴのせん定をする丸山優二さん(右)と息子の純(まこと)さん=長野県飯綱町 |
また、「昨年9月に退職したから、これまで1・5ヘクタール作っていた田んぼを広げ、荒れていた畑作を本格的にやろうとした矢先に、こんな米価になってしまった」と外山章さん(64)は、怒りのやりどころがなく農民連に加入しました。今年は「農民連のみなさんに畑作の指導を受けながら販路を作っていきたい」と語っています。
これまでの枠を超えて対話をすれば話が進み、怒りと思いが共感になります。地域での取り組みをさらに広げる大切さを痛感します。
TPP問題では、「交渉の中身がわからないなかでも、米の輸入枠拡大の声が聞こえるが、今年の米価をみてもわかるように誰も経営が成り立たなくなる。『米価下落』も大規模農家と営農組合が一番影響を受けた」と話し、政府の大規模化だけでは成り立たないことが語られました。
「農協改革」の問題で、「準組合員の利用制限」では、「全国どこの農協も成り立たないだろう。農村地域といわれる長野県内でも成り立たなくなる。地域では、インフラとして、生活に欠かせない金融、生活、ガソリンスタンドがなくなってしまう。また、株式会社化で株式の公開などされたら、利益重視で農協としての役割が破壊されてしまう」などの懸念が出されました。
これからも、話し合いを行い、協力できることは協力して対応することで一致しました。
[2015年4月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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