TPP前提の農協解体は許さない
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農協法の付則に全中の役割が記述されることになっても、農協法を背景に全国のJA組織を統括してきた力が大きくそがれます。
農協の「非営利」規定を外した上に、一般営利企業の基準による監査が導入されることも重大です。たとえば、米など穀物生産は1年1作であるように、農業生産は、種をまいて収穫し、販売して現金化するまで一定期間を要します。
こうした特性から、信用事業を含む総合農協の利点を生かしてJAから購入した農業資材の支払いが一定期間、猶予され、収穫までの期間の生活費の融資を受けるということなどが行われてきました。公認会計士による監査になれば、こうしたことはできなくなる可能性があります。
JA経営と地域住民に大きな影響を与える準組合員の利用制限も5年間、先送りされたにすぎません。準組合員率の高い北海道では、離農した農家が准組合員となってJAを利用しています。
農村では金融機関やガソリンスタンド、スーパーなどが撤退し、JAが住民のインフラを支えています。こうした現実をかえりみずに農村住民からJAの利用を奪うことは、人の住めない農村を加速させることにしかなりません。
今回の農協「改革」は、これで終わりではなく、これから二の矢、三の矢が放たれます。そのときに備えて総本山の全中の力をそぐのが今回のねらいです。
「農業つぶしはやめよ」と宣伝する全国食健連=1月7日、東京・新宿 |
戦後の家族経営を基本にした農政は、侵略戦争に至った反省から確立したもので、先輩たちの戦前からのたたかいで勝ち取ったものです。
その柱は、(1)農政の柱を家族経営におき、(2)農地を農民が所有することを「農地法」の大原則とし、公選で選出された農民で構成する農業委員会が農地制度を担保する、(3)家族経営を支援する様々な経営所得確保対策の構築(すでに廃止された食糧管理制度や価格保障制度、融資、災害対策など)、(4)分散した小経営の農民が自主・自立・参加を基礎にした農業協同組合を作って事業と運動を進める――などの点にありました。これが“農業の戦後レジーム”であり、日本国憲法のもとでの民主主義原則に裏づけられたものです。
アベノミクス「農政改革」は、これらを乱暴に否定し、解体しようとするもので、戦争する国づくりと根は一つです。
農業・農協「改革」は、日米の大企業が日本を「世界で最も企業の活動の自由な国」にするためのものです。
農協解体攻撃はJAだけにとどまらず、大手流通資本と競合する生活協同組合など、他の協同組合にも向けられることは必至です。それは、国民・住民が助けあって大企業の横暴から暮らしと権利を守ろうとする一切の規制や活動、組織が多国籍企業の自由な活動の邪魔になるというTPP流のイデオロギーに政府・与党が立っているからです。
政府は、農業・農協つぶしを進める「農業改革関連法案」を今国会に提出しようとしています。
法案を阻止するために、すべての農民、農協関係者、国民が力を合わせて地域から共同をまきおこし、農業・農協「改革」を跳ね返しましょう。
[2015年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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