誰のための農業・農協「改革」か
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資本主義には格差を広げる欠陥があるわけです。だからそれを修正することが必要で、その役割を協同組合が担うのです。実際にいろんなかたちで、消費者の生活防衛のための生活協同組合もあるし、NPOもあります。そうした企業でもない、行政でもない、民間の組織が必要なのです。農協もその一つです。安倍首相は“岩盤を壊す”と言っていますがとんでもないことです。岩盤を壊したら倒れてしまうじゃないですか。安倍首相は「日本を取り戻す」と言いますが、「新しい日本を築く」ことが大事なのです。
農協の役割で大事なのは、組合員の目線で、農業と地域を守っていく。そのことが組合員の暮らしを守っていくことにつながります。政府からみれば、それが小さな農家、兼業農家を守ることになるから気に入らないわけです。しかし、組合員は小さな農家、兼業農家が多いわけですから、農地を守り、持続可能な社会を維持していくためには、小規模な農家を守らなければなりません。企業であれば、地域に入ってきても、もうからなければ出ていってしまいます。撤退すれば地域が維持できません。昨年は国連の「国際家族農業年」でしたが、農水省は無関心でした。小規模な農家は、非効率のようにみえるけど実は最も効率的です。家族農業はすばらしいものがあります。株式会社がすべてのように言うのはおかしい。助け合いの精神を守っていかなければなりません。
もう一つは、農産物の販売で、すべて平等だということでなく、いいものは高く売ってもらうなどの公平の視点も必要です。これまでは、共同でコスト低減ということが最優先で、品質に差があっても、すべてプール処理、共同計算で対処していました。今後は、すべて個別処理とはいかないまでも、品質ごとに処理し、販売していくことを考えていかなければならない時期にきています。
政府は、株式会社化を主張しますが、そうなれば北海道の雪印のようなことになりかねません。雪印も元々は協同組合でした。はじめは協同組合の精神をもっていても、上ばかり見ていては、生産者や組合員に迷惑をかけて、問題を起こすことになりかねません。
JA三次ふるさと祭り(グリーンフェスタ)=JA三次提供 |
これからの農協の進む道は、多くの方々に農協攻撃のねらいを知らせ、理解を広げることが大事です。そして、いっそう組合員や地域住民に密着し、営農や地域を守ることに貢献することに尽きます。
[2015年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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