「農民」記事データベース20140630-1123-10

「協同」の精神を失わせる「農協改革」
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太田原高昭・北大名誉教授に聞く

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地域を支える役割担う農協

 准組合員の利用制限と言うが…

 白石 「改革」では、「准組合員の事業利用は、正組合員の事業利用の2分の1を越えてはならない」となっています。これも現実をみていないですね。

 太田原 准組合員の比率が最も高いのは意外にも北海道で約80%です。准組合員の多くは離農者です。その人たちのほとんどが貯金を農協に預けています。全国的には、准組合員は三つの部分に分かれます。離農者、農協に頼るしかない過疎地の住民、そして農協の事業に賛同してサポーターになってくれている都市住民です。そう考えたら、准組合員が多いのはけしからんとか、准組合員の利用を半分以下にしろなどとは言えないはずです。

 共同購入・販売こそが協同の核

 白石 「協同」の精神を失った農協改革であってはならないということですね。

 太田原 資本主義の法則とは、大が小を食うということですが、それでは豊かな国民生活はできない。従って、中小企業者や労働者、農民など、みんなが立ち行くような経済民主主義を保証する体制としてつくられたのが、協同組合制度なのです。協同組合というと、農協や生協だけでなく、中小企業協同組合もあるし、漁業協同組合、森林組合、医療協同組合などいろいろな協同組合が生活の隅々まで行きわたっています。

 協同組合の一番の力は、資本主義のなかで、小さなものが集まって、大と対抗することによって、生存を保証することです。そのための一番の武器は、農協でいうと共同購入・共同販売です。これは値段を統一するということで、表面的にみると独占禁止法違反であり、カルテル行為になります。戦後、法律家のなかでいろいろ議論があって、しかし経済民主主義を守るためには、この共同購入・共同販売、協同組合という事業方式は絶対守らなければならないと。そのために協同組合に対して独占禁止法の適用を除外することになっているのです。今度の全農の株式会社化は、それをはずすことが一番のねらいです。

 協同は思いやり助けあい扶助

 白石 独占禁止法の適用除外というのは農協だけはないのですね。

 太田原 ですから今回の改革案に対しては、日本協同組合連絡協議会(JJC)がいち早く反対声明を出し、ICAも厳しい批判を出して協同組合陣営が全体として、しかも国際的に反対しています。新自由主義のもとで、自分さえよければいいという価値観が広がって、世の中がすさんできているなかで、協同というのは人のことを思いやり、助け合い、相互扶助することで、今でも大事なことです。

(新聞「農民」2014.6.30付)
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2014年6月

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