このままでは
|
関連/「農政改革」が米価を直撃!! /在庫米1俵8千円!再生産可能な米価を /交付金半減 米価下落 これでは米づくりできない /米の需給と価格の安定に政府は責任を果たせ /エサ米などに処理して買い入れを |
“手持ちのコシヒカリを売ろうとしたら業者に8000円(1俵=60キロ)と言われた。米はどうなっているのか”――農村部でこんな言葉が飛び交い、今年の米価へ不安が広がっています。
“すべてを自由にして企業に任せればうまくいく”とばかりに規制を撤廃し、企業の参入に道を開く政策に突き進む安倍自公政権。「農協解体」「農業委員会の権限縮小」「大企業の農業参入」と、たて続けに農業に攻撃の矢が向けられています。こうした「農政改革」がなにをもたらすのか? 早くも米価の暴落という形でその姿を現そうとしています。この秋、“過去最低水準の米価”の懸念が強まっているのです。今年も田植えが終わっても“一休み”というわけにはいかない情勢です。
秋に向けて米価への要求を高く掲げ、一連の農業攻撃を跳ね返す出発点にすることが求められています。
米流通の主導権を握る大手量販店は、納入業者を競わせるようにして10キロ2700円などの特売を連打。4月以降も税込みで消費税増税前を下回る価格での販売も目立ちます。
一方、卸業者も米価下落による差損を避けるため、原価割れを承知で在庫減らしに懸命です。
この間、政府は「価格に影響を与える需給調整はしない」として何ら対策を取っていません。13、14年度の基本指針を決めた昨年11月の食糧部会では、今年の6月末の在庫が2年前に比べて75万トンも増える見通しにも関わらず、「販売の見込みが立たなくなった主食用米が、需要が期待できる加工用、飼料用に販売されることが想定される」などと傍観者的態度に終始しました。
さらに5年後に全面的に米政策から手を引く「農政改革」に踏みだし、米関係者の不安をあおり、過剰感と米価下落をいっそう増幅させています。
![]() |
ひとめぼれの日本一早い稲刈り=6月7日、沖縄県石垣市 |
4月末現在、13年産は契約で76%、販売で47%の進ちょく(農水省公表)とされ、11月以降へ60万トン程度の繰り越しが見込まれ、これがダンピング販売されると、出回る新米と競合し、米価に深刻な影響が及ぶことになります。
いま、進められている14年産の加工用米の取り組みは、実需者との取引価格も生産者概算金も前年産を3000円程度下回る水準です。
昨年まで目標どおり買い入れができなかった備蓄米も今年産は申し込みが殺到し、25万トン全量が早々に成約しています。予定価格は1万1200円程度とみられ、前年産を2200円ほど下回っていますが、それでも14年産で最も有利な取引価格とされています。
業界関係者からは「原価割れ覚悟で在庫を減らしている」「契約は最小限にとどめて『当座買い』に徹する」などの声とともに、「今年の米はこのままいけば1万円前後」との声さえ聞かれます。09年に農協系統が農家に支払う概算金を「7000円」にする方針を打ち出して大混乱しましたが、その再来ともなりかねない事態です。
法人化して6年目。構成員の農地のほか60ヘクタールの作業を受託しています。昨年は米価下落で2000万円の減収でした。いま、地元では在庫の米が1俵8000〜9000円で取引され、今年の米は1万円くらいかとの声もあり、本当に心配です。今、後継者を育てようと3人の専任体制で働いてもらっていますが、交付金の半減と米価下落で固定費がまかなえず、組織が持ちません。「農業所得の倍増」や「担い手の育成」はどこへ行ったのでしょうか。再生産可能な米価と所得の補償は絶対に必要です。
[2014年6月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2014, 農民運動全国連合会