「農民」記事データベース20140505-1116-09

さけ弁当からみえる
TPP問題
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食品表示問題は

さけおにぎりもさけ茶漬けも“ニジマス”使用OK
“景品表示法上は問題なし”
消費者庁

 食べているのはニジマス弁当?

 みなさんが食べているさけ弁当のサケが、実際にはサケではなくニジマス(サーモントラウト)だった…。これは本当の話です。牛丼チェーン店「吉野家」の「牛鮭定食」にはサーモントラウトが使われています。

 「ちゃんとラベルの表示は『さけ弁当』となっているではないか。偽装ではないか」と憤るのはごもっとも。しかし、消費者庁の「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」(2014年3月26日)の「Q&A」では次のようになっています。

 Q「飲食店で提供する料理の材料としてサーモントラウトを使用していますが、キングサーモンを使用している旨をメニュー等に表示しても景品表示法上問題はありませんか」

 A「一般的な料理の名称として確立しているものであって、かつ、その食材がその料理に現に広く使われていることが社会的に定着している場合など、一般消費者が、その料理等の選択において、それらの食材の違いに通常影響されないと認められる場合には、その料理等の名称を単に表示するだけで直ちに景品表示法上問題となるものではありません」

 外食業界の主張つよく反映して

 こうして、ニジマスを使ったものを、「さけ弁当」「さけおにぎり」「さけ茶漬け」と表示しても問題はないとしています。

 これには「『ニジマス』といえば白身の魚という認識が強く、赤身のものは『サーモン』と広く認識されている。『サーモントラウト』を『ニジマス』と表記することによるトラブルが発生するように感じる」「水産庁ホームページには、サーモントラウトは『サケ、マスの降海型の総称』とある。サーモントラウトを『サーモン』とする名称に問題はない」など外食業界側の主張が強く反映されています。

 メニューの偽装はいのちに関わる

 主婦連合会の佐野真理子事務局長は、この表示について「『さけ弁当』は身近で庶民的なもの。だからこそ、自分が何を食べているのかわかるように食材を正確に表示すべきです。食品添加物や遺伝子組み換え食品をはじめ、輸入食材も増えているなかで、メニューの偽装は健康や命に関わります。原料原産地の正しい表示が求められます」と語ります。


国産は天然もの
輸入物は不安だ

 岩手県陸前高田市の戸羽喜久男(とばきくお)さん(68)=カゴ漁(岩手県漁民組合会員) サケは「はえ縄」漁でとっていますが、輸入のものとの競争にさらされていると感じています。

 しかし、自分たちがとっているサケと輸入物はまったく違うものだという思いがあります。輸入のサケは、脂がのっているものが多くて、それを好む消費者がいるのもわかります。しかし、そういう味がほんとうに天然でつくられているのか、疑問に感じています。また、輸入物は何が入っているか不安です。

 三陸でとれるサケは、地域の川に放流したものが時期になれば帰ってくる天然のもの。そこには、何かを足したり混ぜたりというのは何もありません。だから自分たちも安心して消費者のみなさんに届けることができます。

 遺伝子組み換えや輸入のものではなく、そういう地域の漁業を守っていくことが大事なのではないでしょうか。

(新聞「農民」2014.5.5付)
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2014年5月

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