「農民」記事データベース20101213-953-09

TPP(環太平洋連携協定)阻止の
国民共同を構築し、農山村を再生する
“核”となる組織づくりに挑戦しよう(5/5)

農民連第19回定期大会決議(案)
2010年12月3日 農民運動全国連合会常任委員会

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【4】組織づくりの方針について

1、結成20年を経た次のステップへの挑戦を

 農民連は1989年の結成時に、“日本農業の根底を揺さぶる決定的局面で、日本の農民運動が団結して国民とともにたたかったのか”、という痛恨の反省を踏まえ、農民運動の全国センターとしてスタートしました。

 そして、果敢にたたかったにもかかわらず、1994年にWTO協定の国会批准が強行された際には、数十万人の農民連組織と新聞「農民」読者があったら阻止することは可能であったという教訓を導き出し、以後、たたかいと運動、組織作りを結んで前進してきました。

 TPP推進という日本農業の存亡にかかわる新たな局面のなかで開かれる第19回大会は、結成以来の到達点を踏まえた、次なるステップへの飛躍を展望する大会となります。このことを胸に刻んで、会員と読者拡大を前進させる決意を固めあいましょう。

 (1)どこの県や地域でも組織を前進させることは可能な情勢

 多くの国民が農業と食糧、地域の現状に心を痛め、「TPP反対」「農民連がんばれ」の声をあげています。米価や農政の現状に落胆している農家が少なくないことも事実ですが、多くの農家が農政への怒りを募らせながら、懸命に生産を守って奮闘しています。

 これまで、農政を転換する旗を掲げ、地域を再生する共同の核となって奮闘してきた農民連に対し、農民や農業団体のあいだに信頼が広がっています。こうした条件を汲みつくすなら、現勢の大小にかかわらず会員と新聞「農民」読者拡大を飛躍させることが可能な情勢です。

 (2)到達点に即して、地域に影響を及ぼす組織戦略をもって

 第18回大会は、会員では、2002年の過去最高現勢の回復と、農家戸数の2%、販売農家の約3%の世帯会員をめざすことを決め、基準を超えている組織でのさらなる奮起を呼びかけました。新聞「農民」では3万部の峰の突破と、会員数の1・5倍の読者目標をもつこと確認しました。

 2010年センサスをもとにした都道府県連組織の到達点は、農家戸数比で5%台が1組織、2%台が2組織、1%台が10組織、販売農家比では、8%、6%、3%台がそれぞれ1組織、2%台5組織、1%台が8組織となっています。農家戸数が大きく減少しているなかで、会員拡大の努力で基本的に組織を維持しているとはいえ、全体的に後退傾向に歯止めがかかっていないこと、また、結成して20年以上経過しているにもかかわらず3けた以下の組織が一定程度、残されていることは全国的な前進にとって重大です。

 こうした状況を、全国一丸になった奮闘で前進方向に転換させ、前大会で掲げた農家戸数比で2%以上、販売農家戸数比で3%以上を全国的な突破目標にして奮闘しましょう。また、一定の到達点をつくっている組織は、さらに高い目標を掲げて全国的な牽引車の役割を果たしましょう。すべての組織が地域に影響力を及ぼす組織になる志と戦略をもって前進しましょう。

   イ、 空白地域の克服と全県を網羅する単組・支部づくり
 単組の活動範囲を明確にし、全県を網羅する組織体制を確立し、役員と事務局体制を確立しましょう。空白自治体に組織を確立する計画をつくり、可能性を汲みつくして粘り強くとりくみましょう。支部を確立して日常的に集まって要求運動を推進することが、この間の重要な教訓です。この視点を組織戦略の柱にした計画をつくりましょう。

   ロ、 「春の大運動」 (1月〜3月) での会員拡大の飛躍を
  1.  (1)税金の要求で加入している会員に、税金をめぐる情勢や情報を伝え、自信をもって確定申告を乗り切れるように援助すること、会員が仲間を誘えるようになるために、計算会だけにせず、「手引き」を活用し、情勢などの学習と話し合いを行いましょう。  高すぎて払えない国保税の軽減は、すべての農家に共通する切実な要求です。
  2.  (2)準産直米や、生産販売など、多様な要求を掘り起こすことを含めて、対話やきめ細かな相談会を計画しましょう。
  3.  (3)集中的な運動を支え、会員拡大で前進できるように「臨時専従」など、特別の体制をとって「大運動」を成功させましょう。

 (3)会員がいきいきと学び、要求運動に参加し、成長できる組織に

 組織づくりのもう一つの柱は、会員がいきいきと学び、要求運動に参加し、成長できる魅力ある組織になることです。こうした質的面での強化は、会員拡大を前進させ、若い担い手を成長させるためにも重要です。

   イ、 会員が日常的に集まって学べる組織に
 一人ひとりの会員が日常的に集まって学習し、暮らしや経営を守る要求運動に参加できること、加入した会員の初心が組織の中で生かされることが大切です。このことを組織運営の重要な根幹として貫きましょう。日常的に会員が集まって生きた情報が得られるように学習を位置づけましょう。

 新聞「農民」が学習テキストとなるよう紙面を改善します。

   ロ、 活動家を養成する特別の努力を
 若い専従者が組織を支えて奮闘しています。組織の財産であり屋台骨である専従者が、要求運動や農業・食糧を守る運動、組織拡大の先頭に立つこと、専従者のレベルアップをはかることが農民連運動を前進させるカギです。

 しかし、専従者は日常の活動に追われて、学習する機会が保障されていないケースがあります。専従者自身が知的要求を持って意欲的に学習する努力が必要ですが、組織的にも学習を保障することが求められます。月1回、都道府県連内で専従者が全員集まって学習することや、県連単独では困難な場合はブロックや近隣県連と合同で行うことを含めて具体化しましょう。

 定年退職した労組や民主的運動を担ってきた方々を農民連事務局に迎えて力を発揮してもらいましょう。

 (4)地域で多様な学習運動を

 農政はもとより、政治が流動化し社会全体が激動期となっています。こうしたなかで、時々の関心あるテーマや要求を切り口に、農家や地域住民とともに真理を探究する学習運動が求められています。いま、奮闘している農民連の幹部や活動家の多くが、地域の学習運動のなかで成長してきた経験からも、学習運動は重要です。学者や専門家、諸団体の方々の協力も得ながら、地域での学習運動を強めましょう。

2、新聞「農民」読者拡大と紙面の改善

 (1)読者拡大について

 この間の米価下落対策やTPP阻止などの運動の前進は、農協や農業委員、自治体関係者など、広範な方々に普及してきた新聞「農民」の威力を実感させるものでした。農民連が毎週、発信する新聞「農民」読者を飛躍的に拡大することは、世論を変え、たたかいを前進させる大きな力です。すべての会員に依拠し、1部、2部と読者を拡大するとともに、引き続き、農協の役職員、農業委員などの農業関係者に購読を広げましょう。また、TPPに怒りや不安を募らせている国民・消費者に広く呼びかけましょう。

「全員購読が原則」の立場から未購読会員をなくすための具体的な手立てをとりましょう。産直組織とその会員への購読呼びかけを強めましょう。

 (2)紙面の改善と、通信活動の抜本的強化

 TPPや戸別所得補償、米価など、新聞「農民」ならではの農政情報、農業経営に役立つ情報を発信し、農と食を守る国民合意と共同運動の前進、組織のすそ野を広げる運動に役立つように、紙面改善の努力を強めます。身近な紙面にするために、生き生きとした通信活動を強め、地方組織や会員が紙面づくりに参加しましょう。

3、財政について

 (1)本部財政の状況について

 本部財政は、全国の奮闘による滞納額の圧縮や経費節約の努力を行ってきたものの、2009年度、2010年度とも連続して赤字決算となり、きびしい状況にあります。都道府県連も会員や読者の減少などから財政が困難になっている組織があり、組織を財政面から強化するとりくみが重要課題となっています。

 財政基盤を確立する柱は会員と新聞「農民」読者の拡大であり、財政面からも組織づくりの前進が重要です。同時に、たたかいの方針で強調しているように、TPP阻止をはじめ、歴史的なたたかいを担うことが求められており、たたかいの資金をたたかいのなかでつくることも必要です。2010年度に「運動のなかで資金を作る」ことを呼びかけ、農民連の運動を理解してくださる団体等への募金を呼びかけ、その一部を本部に納入する1年限りの「特別分担金」を都道府県連に要請しました。このとりくみの教訓を大いに広げ、都道府県連のたたかいの資金を確保しましょう。

 (2)分担金制度の見直しについて

 2010年1月に開催した全国委員会で、これまでの都道府県連の「分担金」を「会費制」に移行することを基本にした見直し案を提案し、この基準にもとづく試算額を都道府県連に示して組織討議を呼びかけてきました。討議を踏まえて、次のように提案します。

 (1)これまでの現勢に応じた7段階の負担金基準を廃止して、1人あたりの会費制に改めます、(2)会員1人あたり基準額は、これまでの負担金の年間総額を会員数で積算して算出する、(3)この基準にもとづいて2011年から実施します。

4、青年対策

 後継青年を確保・育成する課題は、農業再生と運動・組織の両面から、引き続き重要で緊急な戦略的課題です。都道府県連と単組に青年担当を配置し、系統的な援助を行いましょう。青年への働きかけを強め、すべての都道府県連と主要な単組、産直組織に青年部を確立し、都道府県連や全国連の青年部に結集しましょう。第19回青年部総会(2月11〜12日)を成功させて前進の契機にしましょう。

5、女性対策

 生産の先頭に立つ女性を結集することは、地域農業を元気にし、農民連運動の発展・強化にとって重要な課題です。また、女性のしなやかな感性を生かすことは、国民合意を広げるためにも重要です。

 農業にかかわる要求はもとより、健康、介護、子育てなど、多面的な要求を大切にしたとりくみを進めましょう。同時に、こうした課題が女性の肩にかかっていることが、女性が学び成長することを阻んでいます。介護制度を充実させることを含めて、家族の中で、地域の中で女性の負担を軽減させることは、女性の社会的地位の向上にとっても重要です。

 女性部が呼びかけた「9条花壇」運動が階層を超えて広がり、女性の要求と権利、平和を守る分野で女性部が重要な役割を担っています。世帯会員の6割を目標に女性会員の登録を進め、すべての都道府県と単組で女性部を確立しましょう。都道府県連に女性役員や女性事務局員を配置しましょう。第22回女性部総会(2月10〜11日)を成功させ、女性部運動の前進の契機にしましょう。

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(新聞「農民」2010.12.13付)
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2010年12月

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