TPP参加と食料自給率向上
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第1段階
民主党は2009年8月の総選挙で、マニフェストに日米FTAの「締結」を明記しましたが、農民と国民の強い反発を受けて“農業を守ることを前提にしてFTA交渉を進める”政策に“修正”しました。
しかし、政権交代後、オーストラリアとのFTA交渉を再開し、さらに、日中韓FTAの促進を決めました。さらに12月30日の「新成長戦略」では、「成長するアジア市場を日本企業の大きなビジネス機会にする」ことをねらって、アジア・太平洋レベルのFTA推進戦略を中心的な方針として打ち出しました。
第2段階
菅政権になって、アメリカ・大企業との一体化はますます深まっています。それを象徴するのが、6月18日に決定された「新成長戦略――『元気な日本』復活のシナリオ」です。
その中心は、日本の多国籍企業のアジア・世界進出と農産物輸入自由化戦略の切り札として、EPA・FTAを推進する戦略です。「韓国に負けるな」という号令のもと、自民党政権以上にFTA推進に熱中しています。主な内容は、(1)APEC(アジア太平洋経済協力会議)21カ国を対象にするFTAAPを結ぶことを中期目標に、(2)日豪、日韓、日ペルーFTAの早期締結、(3)日中韓のFTA共同研究は2012年に終えて交渉に入る、(4)日米FTAは経済連携のあり方を検討し、(5)APEC域外のインドやEUとの交渉も進めるというもの。ただし、この段階ではTPPは明記されていませんでした。
一方、日本経団連は6月15日に「アジア太平洋地域の持続的成長を目指して」という提言を発表。これは民主党政権の「新成長戦略」とそっくり同じものです。違いは、政権の「新成長戦略」が妥結時期をぼかしているのに対し、日本経団連の提言は実施時期を明示していることです。もう一つ、大きな違いはTPPの扱いでした。
第3段階
菅首相は国会での所信表明演説(10月1日)で「(APEC諸国の)架け橋として、EPA・FTAが重要です。その一環として、TPP等への参加を検討し、FTAAP構築を目指します。東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたい」と述べました。そして、10月8日の「新成長戦略実現会議」では「包括的経済連携に関する閣僚打ち合わせ」の結果を報告しました。
その内容は、(1)TPPまたは日米二国間交渉を通じて、日米FTAを結び、これを市場開放、大胆な経済改革の「起爆剤」にする、(2)日米FTA(TPP)を他のFTA推進のテコ(レバレッジ)にする、(3)日米FTA(TPP)となれば、高い水準の自由化が求められる。農水産物の完全自由化を行う意思を表明し、それに伴うコスト(犠牲)を受け入れる覚悟で臨む―というもの。
「乗り遅れるな」とあおりたてる財界の要求にこたえ、TPPを推進するアメリカに迎合して、「乗ってはならない」危険な自由化の道にのめりこむことなど絶対に許されません。
第4段階
11月9日に閣議決定した「包括的経済連携に関する基本方針」では、自ら進んで「すべての品目を自由化交渉の対象」にすることを宣言しました。そして、各国・地域と経済連携を推進するため、締結前から先行して(1)農業(2)人の移動(3)規制制度について「国内改革」を行うと強調しています。また12日には、欧州連合(EU)とのEPA交渉開始も打ち出しました。
菅内閣は、APECの議長国の立場を足場にさらに自由化を推し進め、「高いレベルの経済連携」を掲げて日本の農業に打撃を与え、雇用・地域経済を崩壊させようとしています。
[2010年11月]
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