“食の安全”“職の安全”守って
春闘たたかう労組(3/3)
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学校給食は自校・直営でこそ
民間委託 安全・安心を企業に丸投げ
自治労連 埼玉・鳩ヶ谷 考える会、親の会
市役所や町村役場、自治体病院や保育所などで働くすべての公務公共労働者を対象に組織している労働組合の全国組織、日本自治体労働組合総連合(自治労連、野村幸裕委員長)は、「学校給食の民間委託は『偽装請負』で違法行為だ。民間委託を中止し、学校給食は自校・直営でこそ」とたたかっています。
民間委託は必然的に違法行為に
埼玉県鳩ヶ谷市は、昨年度からすべての小中学校(9校)を対象に、毎年2校ずつ、学校給食の調理を民間に委託していく計画を進めています。
これに対して、鳩ヶ谷市職員労働組合や地域の労働組合、住民団体などでつくる「鳩ヶ谷学校給食を考える会」と、保護者でつくる「鳩ヶ谷の学校給食を守る親の会」は、「自校・直営の鳩ヶ谷の給食は、健康なからだと豊かな心を育てている。民間委託の計画を中止せよ」と、ねばり強く取り組んでいます。
民間委託は、市が学校給食の調理法や安全衛生基準に直接責任を持つ限り、「発注者が請負事業主の労働者を指揮命令した場合には、偽装請負に該当」(厚労省)します。埼玉労働局も市に対して是正指導を行っており、市が学校給食の水準を維持し偽装請負を解消するためには、自校・直営に改めるしかありません。
ところが市は、委託企業との契約内容から「調理業務作業基準」や「安全衛生基準」などを削除し、すべて民間企業まかせにして市や学校長がチェックできないようにしてしまったのです。しかも、契約した民間企業は、東京・足立区で200人の児童・教職員などに食中毒を起こしたレクトンです。
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「安全・安心な給食、まもってくださ〜い!」、家族連れや卒業生などが市民パレード(2月22日) |
一番の思い出は給食だと卒業生
「考える会」と「親の会」は2月14日、シンポジウム「委託の給食で安全・安心は保障されるのでしょうか?」を開き、360人余りの保護者や卒業生、調理員、自治労連の全国の仲間が参加しました。調理員は「委託契約から衛生管理基準が削除され、残念だし心配です。この集会をスタートに民間委託をストップさせたい」、卒業生は「一番の想い出は学校給食。民間委託の問題が小さなことだなどとあなどらないでください」などと訴えました。
この問題は3月17日に国会でも取り上げられ、日本共産党の宮本岳志衆院議員の質問に、川端達夫文部科学大臣は「学校給食の本来の目的、果たすべき役割、食育の基本理念を損ねてまで効率化することは本末転倒」と答弁。「親の会」代表の柳小百合さんは「食中毒事件を起こしたレクトンに、なぜ民間委託して安全も安心も丸投げしなければならないのか。私たちの『公開質問状』(2月22日市長あて提出)にもまともに答えていない。なんとしてもストップさせたい」と話しています。
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保護者・住民の反対を押し切って学校給食の民間委託を強行した鳩ヶ谷市で、シンポジウムがひらかれました |
偽装請負認め用務員を正職員に
栃木県茂木町では3月10日、自治労連の要求を受け入れ、「学校用務員の民間委託は偽装請負にあたる」ことを認め、民間委託をやめ職員を直接雇用することになりました。住民とともに勝ち取った大きな成果です。
自治労連の木村雅英政策局長は「学校給食の民間委託は必然的に偽装請負=違法行為にならざるを得ない。自治労連は、安全で豊かな学校給食を実現するため、直営方式を堅持し、民間委託をストップさせ、民間委託を直営に戻すことを、保護者や市民・農民のみなさんとともに要求して運動を全国にひろげていく。鳩ヶ谷市で民間委託の流れを断ち切りたい」と述べています。
(新聞「農民」2010.4.5付)
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