“食の安全”“職の安全”守って
春闘たたかう労組(1/3)
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「賃上げで景気回復を!」「大企業の内部留保を雇用と賃上げに使え!」―いま国民春闘の真っ最中です。労働者の生活防衛を最大の要求にしながら、国民と手をつないで「食と農をまもろう」を闘争方針に掲げている労働組合があります。
自給率の向上へ行動強化
各種団体と共同 食健連にも加入
生協労連
生協で働く労働者でつくる全国生協労働組合連合会(生協労連、桑田富夫委員長)は、昨年9月の定期大会で「安心・安全で持続可能な『食と農』」を柱の一つにした活動方針を決定。同時に、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)への加入を決め、この分野の取り組みを強めています。
中国製ギョーザ事件を契機に
生協労連が「食の安全」に積極的に取り組みはじめたのは、08年1月に生協店舗で発生した中国製冷凍ギョーザ事件からです。生協運動の中で「安全・安心」は当たり前と思われていたため、事件は生協労働者にとってもショッキングでした。また、生協組合員やマスメディアから厳しい批判を受けて、自分たちの仕事に自信を失う労働者も少なくありませんでした。
書記次長の清岡弘一さんは、「実はそれまで、生協労連は食や農についての方針をもっていなかったのです。2月の銀座デモ(なくせ貧困総行動)では、後ろに続く農民連の隊列がトラクターに『毒入り餃子はイヤ!』と掲げていて、肩身が狭かったです」と当時を振り返ります。
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横浜港の調査では、輸入食品の危険な実態にビックリ |
食料・農業政策立案で広く交流
生協労連中央執行委員会は、事件後ただちに「当面の方針」を発表し、労働者を励ますとともに「食の安全・安心の確立に向けて全力をあげる」ことを表明。食料・農業政策を立案するために、さまざまな団体との対話や交流を積極的に開始しました。
7月のG8洞爺湖サミット対抗行動では農民連とも交流。「地球環境を守る運動は、農業を守る運動と共通の問題に別の視点から接近しているのだと気づいた」(清岡さん)といいます。11月には「食の安全を考えるシンポジウム」を開催し、農民連の真嶋良孝副会長を発言者として招きました。また、農民連の紹介で始めた「港湾調査」には多くの生協労働者が参加し、輸入食品の危険な実態を驚きをもって学びました。
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食の安全を考えるシンポジウムでは、農民連の真嶋副会長(右から2人目)も発言 |
「食の安全」確立めざし政策文書
これらの議論や行動の積み重ねを通じて、08年12月には政策文書「『食の安全』の確立をめざして」がまとめられました。この中では、食料自給率向上をめざす農政への転換や、輸入自由化を容認してきた日本生協連の農業政策の見直しなども提言しています。
一方、ギョーザ事件以降も、汚染米不正流通事件など、食の安全を脅かす事件・事故が相次ぎます。生協労連は「検疫体制の強化」や「食料自給率向上」を求めて農水大臣に要請するなど、食の安全を求めて行動を強化してきました。しかし、これらの課題は生協労連単独の運動では解決できないことも明らかになってきました。
こうして昨年の定期大会で「『食』と『農』の課題でさまざまな団体との対話や懇談、共同行動を追求します」「この課題に本格的に取り組むために、食健連への加入をおこないます」という活動方針を決定するに至りました。
新しい運動の道筋を見すえ
食健連運動を担当している清岡さんは、「『安い商品を提供することが消費者の生活を守ること』と考えられていましたが、これは国内外の農民や非正規労働者の犠牲の上に成り立っていたのではないでしょうか」と反省しています。そして「本当に安心な食品を手に入れるためには、生産費を補償する価格で農家を支えることが必要」と指摘したうえで、「この課題は、最低賃金の引き上げなど、労働者の購買力を引き上げるたたかいと結びつけてこそ解決できます。『食の安全』と『職の安全』は不可分なのです」と、新しい運動の道筋を見すえます。
労働者も農民も、働くものがだれでも安心して暮らせる社会をめざして、新しい連帯が育っています。
(新聞「農民」2010.4.5付)
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