「農民」記事データベース20090921-894-09

地域に支えられ 元気じるしの直売所
地産地消 安全・安心(4/4)

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  /まがっていると規格外 味は同じなのだけど


値段高いものも都会にないおいしさ
販路あり、生産意欲わき、元気に

地産地消の拠点 注目の的
直売所「はだのじばさんず」

画像 地産地消の取り組みに直売所が大きな役割を果たしています。神奈川県秦野市のJAはだのが運営する直売所「はだのじばさんず」は、消費者に新鮮な農産物を提供し、地域の農家を元気にしています。

 秦野市は人口17万人。北部には丹沢山系が連なり、南部は丘陵地帯が広がる盆地です。都心まで1時間余りで通勤できる首都圏のベッドタウン。かつては葉タバコと落花生の産地でしたが、今では伝統的な葉タバコはすっかり姿を消し、近年、豊かな自然を生かして、野菜や花きなど都市近郊型の多品目栽培が行われています。

 じばさんずは、2002年11月にオープン。現在の売場面積は617平方メートルで、年間売り上げは、10億円を超す勢いです。出荷登録者は740人にのぼり、定期的な出荷者はその約半数です。

 買い物に来ていた、近所に住む女性(72)は「採り立てで新鮮なのがスーパーと違うところ。野菜の香りが違う。横浜から引っ越してきて1年になりますが、値段的には高いものでも都会にはない、おいしさがあります」と、すっかりファンになったようす。

画像
新鮮な野菜、果物が豊富です

 じばさんず開店当時から出荷している市内の園芸農家、三武利夫さん(59)は「農産物を自分で運び、値段をつけられる。安心なものを食べてもらい、販路があることで生産の意欲がわきます。農家と消費者の顔がみえるようになり、農家の意識も変わってきました」と効果を語ります。

 
   
落花生の収穫に忙しい三武さん

 さらに「何よりも、遊休農地の解消になり、農地が農地として機能し始めたことが最大の貢献です。市民に、散策がてら、農地をみてもらうことで、農業への理解を深めてもらう。環境の面でも農地の果たす役割は大きい」と、太鼓判を押します。

 JAと行政とが連携して、市内の農家や市民とともに歩み続ける、じばさんずは、これからも地域活性化の拠点として、注目の的です。

 秦野市平沢477。営業時間は午前9時〜午後6時。休業日は1月1日〜3日。TEL0463(81)7707


女性も高齢者もがんばって出荷

JAはだの 古谷茂男組合長

画像 「はだのじばさんず」は、専業農家だけでなく、兼業農家も、家庭菜園を営む人も、売り先を確保することで、「農家を少しでも元気にしたい」という思いで設立されました。名前には「地場産がいっぱい」という意味が込められています。

 みんなが出荷できるところが、この直売所の特徴です。女性も出荷することで、生産への意欲がわき、元気になっています。

 80歳を超えて、がんばって常時出荷している人もおり、高齢者にとっての生きがいにもなっています。

 予想以上にお客さんが来てくれて、市内をはじめ、はるばる県外からも訪れています。レジが渋滞するなどしたため、昨年、売場面積を拡張し、リニューアルしました。

 その後も、お客さんが順調に増え、1日あたり1700人ほどに増えています。

 秦野市全域を管轄するJAはだのは、安全・安心、新鮮な農産物を常に出荷してもらうために、生産者の代表と連絡協議会をつくっています。

 さらにがんばって生産してもらうために、生産者同士が、売り上げの報告をしたり、売り上げが一定の基準をクリアした人を表彰したりと、親ぼくを深めています。

 都市化のなかで、市民に農業への理解を深めてもらおうと、「市民農業塾」を開き、農業を応援する取り組みも進んでいます。

 今後は、情報提供を進め、組合員の声を聞きながら、合意を得るという協同組合本来のあり方をさらに発揮して、地域に密着し、組合員に喜んでもらえるような農協をめざしたいと思っています。


茨城・かすみがうら市 有水淳一

(新聞「農民」2009.9.21付)
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2009年9月

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