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いまこそ農民一揆!
農政の大転換(1/3)

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 “日米FTA(自由貿易協定)を締結し、貿易の自由化を進める”ことを明記した民主党のマニフェストに対し、「日本農業をつぶす気か!」「狂気の沙汰(さた)だ」という反発が強まっています。


民主党のマニフェスト「日米FTA締結」を批判する

 自給率12%――農水省の試算が現実のものに?

 農水省は、農産物輸入を完全に自由化すれば食料自給率は12%に下がり、小麦、大豆、砂糖、牛肉の生産は壊滅し、米も9割減になるという試算を公表しました(07年2月)。日本農業が壊滅と言っていい事態です。「日米FTA締結」という民主党のマニフェストが実現すれば、この試算が現実のものになる可能性が高いと言わなければなりません。

20090817_2_1.jpg20090817_2_1.jpg アメリカの「食糧戦略」のもとで、食料自給率40%という情けない状態になったのは周知の事実。図1のように、日本が輸入している農産物のうち3分の1はアメリカ産で、2位の中国、3位のオーストラリアを引き離してダントツです。

 このように、アメリカに糧道をにぎられた結果、日本国民はアメリカ産の遺伝子組み換え食品と農薬残留小麦のモルモットにされています。ブッシュ前大統領は「食糧を自給できない国を想像できるか? そんな国は、国際的な圧力と危険にさらされている国だ」と言い放ちましたが、民主党のマニフェストでは、さらに決定的に「国際的な圧力と危険」にさらされることになるのは必至です。

 内閣府の世論調査では、国民の93%が自給率向上を望んでいます。民主党のマニフェストは、これに完全にそむくものです。

民主党2009マニフェストから

○米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める。
○アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々と……広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進する。
○WTO交渉妥結に向けて指導力を発揮するなど、貿易・投資の自由化を推進する。

 アメリカだけでなく、オーストラリア、中国とも自由貿易協定

 しかも、民主党のマニフェストは、アジア・太平洋諸国とFTAを結ぶことを明記しています。

 「アジア・太平洋諸国」といえば、その代表格はアメリカ、オーストラリア、中国。この3か国だけで、日本の農産物輸入の52%を占め、米、小麦、大豆、畜産物などの基礎的な食糧から、野菜、冷凍食品などの副食までをカバーします。

 アメリカ、オーストラリア、中国の3カ国とFTAを結ぶということになれば、WTO協定の妥結を待つまでもなく、日本農業の壊滅は必至ですが、民主党のマニフェストでは、さらにごていねいにも、世界中に自由貿易原理主義を押しつける「WTO交渉妥結に向けて指導力を発揮」して貿易自由化を進めるとまで言っています。

 完全自由化は民主党の年来の主張

 民主党は、わきあがる批判にあわてて、7日に「日米FTA締結」を「交渉促進」に修正し、「食料自給率向上や国内農業振興を損なうことはしない」と付け足しました。

 しかし、「日米FTA」促進の枠組みは何の変わりもありません。党内からは「例外を設けたら交渉にならない」という声も。これで農業つぶし政策から転換できるのか、きわめて疑問です。

 第1に、完全自由化は民主党の年来の主張です。現在のマニフェストの原型というべき「政権政策の基本方針」は「あらゆる分野」の自由化を明記していました(06年12月18日)。

「真の日米同盟の確立を促進するために、米国と自由貿易協定(FTA)を早期に締結し、あらゆる分野で自由化を推進する」

 歴代の民主党代表も、農産物の輸入自由化推進を公言してきました。小沢一郎氏は露骨です。

「民主党が政権を取ったら、米国と自由貿易協定を結ぼうと考えています。韓国とも中国とも結ぶ。ただし、結ぶからには例外はなし。金融も何もかも全部自由化する」(『月刊BOSS』06年6月号)。

 これらは、将来「民主党が政権を取ったら」という段階での態度でした。しかし、政権交代目前といわれているいま、自公政権でさえぼかしてきた日米FTAの「促進」と自由化推進を明記したところに、民主党09年マニフェストの危険性と大問題があります。

(新聞「農民」2009.8.17付)
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2009年8月

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