「農民」記事データベース20080929-846-10

諸悪の根源=MA米が続くかぎり、
食の安全・安心は守れない(3)

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輸入米の情報公開を農水省に要求

農民連、5年前から危険指摘

 農民連は2001年に中国黒龍江省を調査し、汚染された松花江の流域で栽培する稲作の現場を視察。輸入米の検査が不備なことや外国産の表示がないことなどから、国民の命と安全を守るため、政府から輸入米を購入している業者名を公表するよう、03年に、農水省にたいして情報公開請求を行いました。

 農水省は企業名の公表を拒否。さらに農民連は、内閣府の情報公開審査会に異議申し立てを行いましたが、“拒否を妥当”として企業名を黒く塗りつぶした答弁書を送りつけてきました。

 拒否の根拠は、(1)輸入されたMA米は安全性が確立されている、(2)政府はMA米在庫に苦慮し、「MA米の販売システム」や「政府自身」への信頼が失われ、MA米購入取りやめが相次ぐことが予想される、(3)公表された企業の利益を害する恐れがある―などでした。

 さらに農水省は、審査会で業界関係者に「拒否」決定への賛同意見を「MA米は農水省、厚生労働省で二重、三重のチェックがなされ安全と信頼している」「具体的な健康被害が発生しない段階で企業名の開示は、損害が極めて大きい」などと、わざわざ言わせています。

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“黒塗り”の答弁書 公開拒否した農水省

 農水省の拒否理由といい、業界関係者の言い分といい、行政と業界との癒着という今回の事件を暗示させるものであり、農民連が求めた情報公開請求は、きわめて先駆的な取り組みでした。

MA米推進した政党は…

細川・村山内閣当時に道を開く
自民、公明、民主、社民みな“汚染”

 そもそも汚染輸入米事件は、「輸入は義務だ」と強弁して、需要もないMA米の輸入を続けてきたことが原因です。この諸悪の根源、MA米の輸入を推進しておきながら、減反を強制してきた歴代の自民党・公明党政権の責任は重大です。

 しかし、同時に忘れてはならないのは、MA米の誕生が日本共産党以外の政党による合作だったことです。

 大冷害に見舞われ、空前の米不足パニックが起きた1993年。ガット・ウルグアイラウンドに合意して、MA米輸入に道を開いたのは、当時の細川内閣(自民党と共産党以外の政党連合)でした。その後、「MA米の輸入は義務」との政府統一見解を出したのも、羽田内閣。その与党は今の民主党、公明党、社民党などです。

 そして、米輸入自由化反対の国民的世論が渦巻くなか、WTO協定の批准を強行したのが、村山内閣(自民党・社会党・さきがけ連合)。

 これとは対照的に、一貫して米輸入自由化反対を貫いてきたのが、日本共産党です。1999年3月の衆院農水委員会で、「MA米の輸入は義務ではない。輸入機会の提供でよい」「実際、韓国は全量輸入していないが、どの国からも提訴されていない」ことを明らかにしたのも、日本共産党の中林よし子衆院議員(当時)でした。


厳正な調査・対策とれ

参院農水委 紙智子議員ら追及

 参議院農林水産委員会は9月18日、汚染輸入米について閉会中審査を行いました。

 質問に立った7人の議員のうち民主党の議員らは、農政事務所職員の出張記録などをもとに「検査」のずさんさを告発し、三笠フーズと農水省の癒着ぶりを明らかにしました。

 日本共産党の紙智子議員は、MA米がスタートした1995年度から2007年度までに食品衛生法違反の米が1万728トンも輸入されていることを明らかにし、「不衛生なMA米を、“義務”だといって輸入しつづけた農水省の責任こそ、第一に問われなければならない」と、太田農水相を厳しく追及しました。また、加工用米が主食用に転用されたり、輸入小麦がMA米同様に汚染されているなどの事例があるのではないかとただし、厳正な調査と対策を求めました。

(新聞「農民」2008.9.29付)
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2008年9月

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