「農民」記事データベース20080929-846-08

諸悪の根源=MA米が続くかぎり、
食の安全・安心は守れない(1)

関連/諸悪の根源=MA米が続くかぎり、食の安全・安心は守れない(1)
  /                            (2)
  /                            (3)


不正まかり通った背景に…

規制緩和で米ビジネスを促進

政府、米の流通を市場に丸投げ

 農水省の調査では、三笠フーズがメタミドホスなどに汚染された米を不正に流通させていた中間業者(米穀の販売や加工、卸など)は50社にものぼり、さらに和菓子や酒造など320社余りの製造・販売業者に流れて、消費者の口に入っていました。そして、次々に転売が繰り返される中で、汚染輸入米の価格は何十倍にもはねあがっていったのです。こうして三笠フーズは、少なくとも8千万円とも言われる“濡れ手で粟”のぼろもうけをしていました。

 多くの仲介業者が米ビジネスを繰り返し、複雑な流通で国民の食の安全をおびやかしているのです。そして、この規制緩和をおこなったのが小泉「構造改革」であり、これを応援したのが、自民・公明の与党であり、民主党でした。

 2004年の「米改革」で、国は米の管理責任を放棄し、米の流通を登録制から届出制に変えて、集荷も卸も小売も垣根をとり払い、どこからどう米が流れようがまったくの自由にして、市場に丸投げしました。

 「米ビジネスを発展させ、売れる米づくりを流通面から促進する」がうたい文句でした。ここから、三笠フーズのような悪質な業者が暗躍する余地がつくられたのです。

画像
政府の倉庫に山積みされたMA米

 政府は、主食である米流通の管理に責任を果たすべきです。


真相究明、MA米中止を

食健連など 農水省前で集会

画像 「政府は汚染米の真相を徹底究明せよ!」「MA米の輸入を中止せよ!」――農民連と食健連は9月19日、ちょうどこの日、国民の怒りで大臣辞任に追い込まれた太田氏が立ち去る農水省玄関前で、汚染輸入米事件の徹底究明を求めて、緊急中央行動に取り組みました。行動には農民連のほか、新日本婦人の会、公務労組連絡会傘下の公務員関係労組、全農協労連、生協労連、婦団連など、食健連に加盟するさまざまな団体から、150人あまりが参加しました。

 農水省の正面には、米俵が“ドン”と置かれ、参加者は稲穂を持ったガイコツおばけや焼酎ビンをかたどった帽子など工夫をこらした衣装で、報道陣や道行く人々にアピールしました。

 農民連の笹渡義夫事務局長は主催者あいさつで、「農水省は汚染米の全ぼうを何も究明しておらず、大臣の辞任で幕引きするなどは許されない」と批判。「諸悪の根源であるMA米制度が続くかぎり、真の食の安全は守れない。国民世論を広く大きく起こしていこう」と呼びかけました。

 「農家には減反を押し付けながら、MA米輸入のいいかげんさは、まったく腹立たしいかぎり」と生産者の怒りをぶつけたのは、千葉県農民連の小倉毅さん。新婦人の玉田恵副会長は「消費者も不安と怒りでいっぱいです。食の安全をないがしろにする政府はいらない。来る総選挙で国民の審判を下そう」と訴えました。

 集会には、日本共産党参院議員の紙智子さんもかけつけ、「食の安全を守り、農家が安心して米作りが続けられるよう、これからも全力を尽くします」とあいさつし、大きな拍手が送られました。

全容解明不正防止 農水省に強く要請

 集会のあと参加者は、汚染米の食用転用事件の全容解明と再発防止を求めて、農水大臣あてに要請を行いました。

 要請では、政府の責任で「非食用」とされた輸入米の徹底回収と善意の業者に対する補償を行なうこと。また、輸入検査で汚染がわかったとき、「非食用」への切り替えと販売先の紹介は、どういう権限でおこなわれていたのか、さらに「工業用のり原料」とされる米の数量や、汚染米はMA米の輸入実績にどうカウントされていたかなど、具体的な回答を求めました。

(新聞「農民」2008.9.29付)
ライン

2008年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2008, 農民運動全国連合会