世界は食料不足
いま、強制減反をやっている場合か(2/2)
農民連が中央行動
肥料・飼料・資材が高騰
農家の窮状は危機的
政府は緊急支援対策を
畜産交渉には、北海道、宮城、福島などから、十五人が参加しました。主な要請内容は、(1)乳価の三十円引き上げ、加工乳・チーズ用乳の交付金引き上げ、(2)特別マル緊対策など畜産経営の安定対策、(3)配合飼料高騰対策と、国産飼料の増産支援、(4)バイオ燃料と投機マネーの規制、(5)違反続きのアメリカ産牛肉の輸入禁止の五項目。
農民連からは、「飼料の高騰で、酪農も、肥育も、養豚も、危機的な窮状におちいり、生計が成り立たない。支援対策をとってほしい」という悲痛な声が続出しました。
乳価について、農水省は「国は乳価交渉のテーブルにはつけない。飼料高騰などのコストアップ分が商品価格に転嫁できるよう、乳業メーカーや消費者に情報提供していく。酪農家も経営を合理化する努力をしてほしい」と回答。農民連からは「とんでもない。努力だけでは解決できず、やめる農家が続出しているではないか」「畜産全体を継続させる視点で、一刻も早く対策をとってほしい」と、訴えました。
また、国産飼料の増産支援には「飼料米と主食用米で同じ所得が得られるようにしてほしい」「耕種農家と畜産農家が連携できるよう、現場で、具体的に支援対策を」などの具体的提案が上がり、農水省も「転作奨励金制度の見直しや、耕畜連携の強化などに取り組んでいく。ぜひ応援を」と答弁しました。
◇
原油、肥料、ビニール、ダンボールなどあらゆる農業資材が短期間に高騰し、農家にとってはたいへんな打撃。しかもこうした資材の高騰は、農家に一切責任がないばかりか、出荷価格に反映されないためストレートに重くのしかかっています。
交渉参加者は、農業資材の高騰分を補償し、投機マネーの規制を強く求めました。
農水省は「農家の自助努力を後押ししたい」と一点張りの答弁。「JAの資料でも肥料代で六〇%、温室みかんではキロ当たり百七十五円もコストアップ。自助努力の限界を超えている」(愛媛)、「日本一の施設園芸地・渥美半島では、これまでもコストを下げようと苦労してきた。重油代が五割も上がってどうやってコストを抑えればいいのか」(愛知)、「あるバラ農家の話では、重油代が農家はキロ八十七円なのに企業は二十二円だそうだ。農家だけどうしてこんなに高いのか」(岡山)、「北海道では、いまでもコスト割れで小麦を生産しているのに、自助努力とはたまったものじゃない」など怒りが噴出しました。
「岩手宮城内陸地震の万全な復興対策」を求めた交渉では、宮城農民連の鈴木道夫会長をはじめ、両県の組合員ら八人が、現地の被害状況を具体的に例示。激甚災害の指定を被災地全体に広げることや、農地・水路の復旧、収入を絶たれた被災農民の生活支援など、実態に応じた柔軟な支援を緊急に行うよう要請しました。
これに対して農水省は、被災地の県や市町村と協力して、法に基づいた支援事業は順次実施していると説明しました。
しかし現地では、実際に被災者の窓口になる市町村のマンパワー不足や財政難から、マニュアルによる機械的な査定がなされたり、復旧事業の着手が国の支援待ちになるなどの事態が発生しています。参加者らは「国の支援策は市町村や被災者に周知されておらず、十分に活用されていない」「住民が避難している地域では、養殖イワナが鳥に食べられるなど、地域特有の被害も発生している」などと実情を訴え、被災者の立場に立った対策をさらに充実するよう、重ねて求めました。
(新聞「農民」2008.8.25付)
|