世界は食料不足いま、強制減反をやっている場合か(1/2)農民連が中央行動
世界的な食料・気候危機の下、福田改造内閣の発足直後の八月八日、農民連は、農水省前で「食と農、地球を守る中央行動」を行い、協賛した全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)も含め、北海道から九州まで農家、消費者ら約百人が参加しました。炎天下、食糧主権を確立し、食料増産で自給率を上げる農政への大転換を求めました。
農水省前行動
農水省前の宣伝行動で、農民連の白石淳一会長は「どの問題も農業・農村にとって切実で緊急を要する課題だ」とのべ、「価格高騰の真の原因は、バイオ燃料ブームや地球温暖化による生産減少であり、燃料、肥料の高騰に拍車をかけているのが投機マネーの暗躍だ」と指摘。「私たちの要求を農水省に突きつけ、農業と食糧を守るための対策を実施させよう」と訴えました。 |
農水省前でこぶしを振り上げる参加者=8月8日
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消費者を代表して、自治労連中央執行委員の高田なお子さんは、地産地消のモデル校でも中国産冷凍ギョーザが使われていたと報告。「安全な食品を国内でまかなえる農政に転換させるためにがんばる」と表明しました。
六月に岩手、宮城両県を襲った地震の被害について、岩手県農民連事務局長の岡田現三さんは「水田の畦畔(けいはん)が崩れたり、田んぼがひび割れて水が抜けてしまったりという被害が各地で相次いでいる。地域の実態を把握し、生産とくらしに展望がもてる施策を」と求めました。
国内での食糧増産で食料自給率の向上を求める要請には、米農家ら約三十人が参加。「世界的な食糧危機のなかで、日本が必要のない米を輸入することは、国際価格のさらなる暴騰に手を貸し、食糧不足に苦しむ人々から食糧を奪うものだ。MA米の輸入は中止せよ。穀物相場をつり上げている食糧のバイオ燃料への使用を規制し、投機マネーの規制を国際社会に働きかけよ」と求めました。
農水省は、MA米については「今年も七十七万トン輸入の方針だが、まだ具体化していない。輸出国が輸出できなければ買わないが、買う方は義務がある」と答弁。交渉団は「MA米は義務でなく機会の提供だ。この際、きっぱりやめるべきだ」と迫りました。
さらに食料自給率の向上のために「米の強制減反をやめ、農家の選別を促進する『水田・畑作経営安定対策』を見直し、がんばる農家を広く担い手として、生産コストを償う価格保障を実施せよ」と要求しました。
「食料自給率を上げるための方策を」と迫る交渉代表団
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農水省が発表した米の需給指針によれば、今年六月までの米の年間消費量は八百五十三万トンで前年より十六万トン増えています。しかし来年六月までの需要見通しは八百三十一万トンで二十二万トン減少するとの見通しです。
一方、今年の主食用米の生産量は需要をさらに十六万トンも下回る八百十五万トンにしています。需要減についてまともな理由を示せず、「生産調整も「必要だ」の一点張りの農水省にたいし、交渉団は「消費が増えているのに、なぜ減らすのか。これでは国産米は不足になる。強制減反はやめよ」と要求しました。
[2008年8月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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