「農民」記事データベース20080825-841-01

世界は食料不足

いま、強制減反をやっている場合か(1/2)

農民連が中央行動

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  /岩手宮城内陸地震でも要請

 世界的な食料・気候危機の下、福田改造内閣の発足直後の八月八日、農民連は、農水省前で「食と農、地球を守る中央行動」を行い、協賛した全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)も含め、北海道から九州まで農家、消費者ら約百人が参加しました。炎天下、食糧主権を確立し、食料増産で自給率を上げる農政への大転換を求めました。

 今回の行動は(1)食料自給率向上のための農政の転換(2)燃料や肥料、農業資材の高騰対策(3)乳価の引き上げと飼料高騰対策(4)岩手・宮城の地震対策―を求めたものです。


 農水省前行動
  どれも切実で緊急を要する課題

 農水省前の宣伝行動で、農民連の白石淳一会長は「どの問題も農業・農村にとって切実で緊急を要する課題だ」とのべ、「価格高騰の真の原因は、バイオ燃料ブームや地球温暖化による生産減少であり、燃料、肥料の高騰に拍車をかけているのが投機マネーの暗躍だ」と指摘。「私たちの要求を農水省に突きつけ、農業と食糧を守るための対策を実施させよう」と訴えました。

 秋田の米農家、佐藤長右衛門さん(秋田県農民連委員長)は「四月に種まきした稲が、きのうからいっせいに穂が出てきた」と紹介し、「米作りを『もったいない』と非難し、出穂したばかりの穂を刈り取る“青刈り”を強制する農政のやり方を怒りをもって糾弾する」と批判しました。

 新潟県燕市の米農家、土田昇さんは、市議会で「ミニマム・アクセス(MA)米の中止を求める請願」が全会一致で採択されたことを報告。年間七十七万トンものMA米が輸入されているのにたいし、新潟県全体で採れる米が五十二万トンだと指摘し、大量に輸入されるMA米への怒りの広がりを示しました。

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農水省前でこぶしを振り上げる参加者=8月8日

食糧の大増産で自給率アップを

 安全な食料を
  国内でまかなう

 G8洞爺湖サミット対抗行動で中心的役割を担った北海道農民連の山川秀正会長は「WTO(世界貿易機関)交渉が決裂したのに自由化を進めるのはナンセンス。食糧主権を確立し、農産物への価格保障制度の実現をめざして奮闘する」と決意をのべました。

 消費者を代表して、自治労連中央執行委員の高田なお子さんは、地産地消のモデル校でも中国産冷凍ギョーザが使われていたと報告。「安全な食品を国内でまかなえる農政に転換させるためにがんばる」と表明しました。

 六月に岩手、宮城両県を襲った地震の被害について、岩手県農民連事務局長の岡田現三さんは「水田の畦畔(けいはん)が崩れたり、田んぼがひび割れて水が抜けてしまったりという被害が各地で相次いでいる。地域の実態を把握し、生産とくらしに展望がもてる施策を」と求めました。

 農水省交渉で
  米価に責任もつ新たなシステムを

 その後、参加者は四班に分かれて交渉を行いました。

 国内での食糧増産で食料自給率の向上を求める要請には、米農家ら約三十人が参加。「世界的な食糧危機のなかで、日本が必要のない米を輸入することは、国際価格のさらなる暴騰に手を貸し、食糧不足に苦しむ人々から食糧を奪うものだ。MA米の輸入は中止せよ。穀物相場をつり上げている食糧のバイオ燃料への使用を規制し、投機マネーの規制を国際社会に働きかけよ」と求めました。

 農水省は、MA米については「今年も七十七万トン輸入の方針だが、まだ具体化していない。輸出国が輸出できなければ買わないが、買う方は義務がある」と答弁。交渉団は「MA米は義務でなく機会の提供だ。この際、きっぱりやめるべきだ」と迫りました。

 さらに食料自給率の向上のために「米の強制減反をやめ、農家の選別を促進する『水田・畑作経営安定対策』を見直し、がんばる農家を広く担い手として、生産コストを償う価格保障を実施せよ」と要求しました。

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「食料自給率を上げるための方策を」と迫る交渉代表団

農政の抜本的転換を

 生産者価格の下落や流通の不安定化など、混乱を作り出したのは「政府が米流通への責任を放棄し、民間流通と市場原理に任せた結果だ」と批判。「政府が価格と安定供給に責任をもつ新たなシステムを確立せよ」と求めました。

 農水省が発表した米の需給指針によれば、今年六月までの米の年間消費量は八百五十三万トンで前年より十六万トン増えています。しかし来年六月までの需要見通しは八百三十一万トンで二十二万トン減少するとの見通しです。

 一方、今年の主食用米の生産量は需要をさらに十六万トンも下回る八百十五万トンにしています。需要減についてまともな理由を示せず、「生産調整も「必要だ」の一点張りの農水省にたいし、交渉団は「消費が増えているのに、なぜ減らすのか。これでは国産米は不足になる。強制減反はやめよ」と要求しました。

(新聞「農民」2008.8.25付)
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2008年8月

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