「農民」記事データベース20080721-837-07

ひん死の地球救おう! 北の大地から発信(1/3)
G8サミット対抗行動

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 「食糧主権が人びとの暮らしと、地球上の生命を守る!」「持続可能な家族農業こそが、世界に食糧を供給できる!」――北海道G8サミット対抗行動のメーンイベント「食糧主権・気候変動に関する国際フォーラム」が、七月四日、札幌市内の共済ホールで開かれ、十カ国から五百八十人が参加しました。ビア・カンペシーナの海外代表、農民連、食健連、研究者などが、階層も、国境も、言葉も越えて、熱気あふれる討論を繰り広げました。


持続可能な家族農業の発展を
国際フォーラム

画像 七日から九日まで洞爺湖で開かれたG8首脳会議の焦点は、気候変動と食糧危機でした。地球温暖化をくい止め、食糧高騰による“新たな飢餓”をどうやって解決するのか――。この緊急課題に、G8首脳会議は何の解決策も示さずに終わりました。これとは対照的に、国際フォーラムは、「食糧主権」の確立という「対案」を高らかに打ち出し、未来への展望を指し示しました。

 貧困と飢餓を生む根源に

 ビア・カンペシーナ代表のヘンリー・サラギさんは基調報告で、「世界の大多数である小規模農民や貧しい人々が、食糧危機と気候変動によって、危機に直面している」と強調。「今の食糧危機は、農産物貿易の自由化や、市場開放によって引き起こされたものだ。貿易の自由化によって飢餓を解決するという食糧安全保障の考えは、多国籍企業やアグリビジネスの食糧支配をさらに強めることになり、非常に危険だ」と述べました。

 またアグロ(バイオ)燃料が食糧危機の原因になっており、少数の多国籍企業が農産物市場を支配し、利益を独占する体制を作ったうえで、「機械に食糧を食べさせている」と厳しく批判しました。

 気候変動について、「単なる気候の変化ではなく、気候の危機である」と提言。先進工業国が、地球温暖化を引き起こしてきたこれまでの工業や消費の仕方を変えずに、排出量取引によって、発展途上国に先進国のやり方を押し付けようとしていることに対して、「真の解決策にはならない」と批判しました。

 そして食糧危機と気候危機の解決は、食糧主権という立場に立って、小規模農民、家族農業によってなされるべきと発言。「今、日本の皆さんは産直運動をもっと広く、世界に説明すべき時です。新しい世界を一緒につくっていきましょう」と力強く呼びかけました。

 温暖化、先進国は責任果たせ

 つづいてはパネルディスカッション。タイのカティン・カーサさんは、「新自由主義政策のもと、農民は輸出のための商品作物を栽培し、自分たちの食糧を買わなければならなくなっている。タイの農民は穀物危機の真っただ中にいるが、もうけているのは資本・企業であり、農民は危機に直面している」と、告発しました。

 カナダのイネケ・ブーイさんは、有機農業を取り入れ、乳製品の加工や地域での青年農業者支援の取り組みを報告。バスク(現在、スペイン領に併合)のイラッツェ・アリオラさんは、ヨーロッパで進む新自由主義的な政策によって、小規模農家が十年前の半分に減ってしまったことを報告しました。韓国のナム・スンミンさんは、アメリカ産牛肉の輸入自由化反対の四カ月にわたるたたかいを力強く報告しました。

 バングラデシュのバドラル・アラムさんは、地球温暖化によって海水面が上昇し、将来、バングラデシュの三分の一が水没するとの科学者の予測を紹介。「科学者は温暖化に“適応”すべしと言う。しかし世界が今やらなければならないのは、温暖化を止めることだ」と述べ、温暖化を引き起こした先進工業国は責任を果たすよう求めました。

 インドネシアのムハンマド・イクワンさんは、アグロ燃料について、「食糧を人間と自動車に争わせるもので、間違った解決策だ」と厳しく批判。一トンのパーム油を作るのに一・五トンの燃料が必要だと紹介しつつ、アグロ燃料によって利益を得るのは多国籍企業だけだと訴えました。

「輸入自由化」厳しく告発
内外代表の発言に共感・拍手

 新自由主義では解決しない

 日本からは、北海道農民連の山川秀正委員長が発言。「この四十年で北海道の農家は四分の一に減り、減反面積が五〇%を超えている」と述べ、ミニマム・アクセス米の輸入に反対するとともに、食糧危機が深刻になっている現在でも、農畜産物の輸入自由化政策を変えない日本の農政を厳しく批判しました。

 食健連事務局長の坂口正明さんは、まとめで「食糧危機も気候危機も、G8諸国が進める新自由主義の方向に、解決策はない。私たちには食糧主権がある。産直や地域での取り組みと、政策を変える取り組みを融合させて取り組んでいこう」と呼びかけました。

(新聞「農民」2008.7.21付)
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2008年7月

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