「農民」記事データベース20080225-817-08

一貫して危険性を追求してきた新聞「農民」

政府は輸入依存の食料政策を転換せよ(1/3)

特集 中国毒ギョーザ事件の深層をさぐる

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 中国河北省の「天洋食品」で製造され、スーパーや生協などを通じて購入した冷凍ギョーザを食べて、十人が食中毒を起こした事件。いまだ原因がわかりません。「食べる側がいま、国内の安全な農産物を守るために農家の人たちと手を結ぶ時だと思う。政府の農業政策を変えさせなければ!」――こう話すのは、茨城県土浦市に住む福田洋子さん。

 今度の事件からわかってきたことは…


農薬事故多発する中国

新聞農民の紙面
2002年3月の新聞「農民」の紙面
 中国製ギョーザ中毒事件による吐き気や腹痛などの被害の訴えが全国で相次いでいます。中国製食品は大丈夫なのか?

 今回の中毒事件の主役、有機リン系殺虫剤メタミドホス。二〇〇六年度輸入食品の残留農薬違反をみると、中国産がダントツで多く、そのうちメタミドホスは七品目十七件検出。ネギ、白キクラゲ、ソバ、ニンジン、もち米、イチゴ、ハトムギから違反が出ています。中国以外では、台湾産のうるち精米一件だけです。

 中国ではメタミドホスは〇七年一月に使用が禁止されましたが、ここ数年、中毒事件が相次いでいます。中国紙「華西都市報」によると〇四年三月と四月に、四川省で連続して二回のメタミドホスによる中毒事件が発生し、食べた十二人が体の不調を訴え、うち二人が死亡しました。

 中国の総合医学雑誌「中華中西医雑誌」(〇三年八月号)は、江蘇省太倉市で九七年から〇二年にかけて、メタミドホスによる中毒事故が六百五十四件発生し、二百十人死亡と伝えていました。

 禁止後も中毒事件は後をたちません。昨年十二月には、雲南省で、メタミドホスが混入した団子を食べた住民が吐き気などの症状に襲われました。現在でも「闇で売られ、公然と使われている」と言われており、中国国内の農薬中毒事故の主役です。

 やや古いデータですが、中国では、農薬による中毒者は、中国全土で一年間に五十万人、死者は一万人以上という衝撃的な数字が算出されています。(富山県農村医学研究会、九三年)

 農薬を素手でまく現場目撃

 農民連も中国のずさんな農薬管理を実際に目の当たりにしています。二〇〇〇年に山東省青島市近辺の広いホウレンソウ畑を視察した際、背中に農薬のタンクを背負って消毒している農民の姿を目撃しました(写真〈写真はありません〉)。

 帽子もかぶらず、手袋もはめず、すでに三十センチに育っているホウレンソウを収穫中の畑でした。

 〇七年十月に放映されたニュース番組では、上半身、短パンにサンダルばきの農民が、ブドウに農薬をかけている光景が映し出されました。ブドウから農薬がしたたり落ち、さらにスーパーの陳列棚には、野菜洗浄用の洗剤が並んでいました。

 農薬の人体への害について基本教育を受けることなく、素手で農薬をまいている中国農民の健康状態が不安視されます。

 食料以外でも、中国製品の違反・中毒事例が多く出ています。パナマでは、中国製原料を使用したせき止めシロップを飲んだ人が、毒性物質「ジエチレングリコール」が原因で多数死亡しました。(〇六年)

 さらに中国産ペットフードによる犬や猫の大量死(アメリカ、カナダなど)、練り歯磨きへの有害物質混入(パナマ、ドミニカなど)、おもちゃから基準を超える鉛含有(日本、アメリカ)など、事件が相次いでいます。

(新聞「農民」2008.2.25付)
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2008年2月

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