農業に希望と意欲いっぱいチャレンジ!(2/3)
会社やめ収入は減ったけど自然に囲まれて物作るのが一番はりきる脱サラ就農三人男 千葉遊休耕作地の提供をうけて脱サラ就農した“おじさんたち”が元気――。新規就農者に遊休農地を紹介し、農家として迎え入れれば、「ものづくりの仲間を増やし、農地を保全できる」というまさに一石二鳥。困難を抱えながらも農業に真正面から取り組む新規就農者のために、産直センターも、営農相談や販売の面で一役買っています。千葉ニュータウン開発で、住宅の建設ラッシュが続く千葉県印西市。北部を利根川が流れ、北西部には手賀沼、南東部には印旛沼があり、自然林に代表される豊かな植生が残るなど、自然環境に恵まれた耕作地です。 ニュータウンに隣接する旧来の農村地域で園芸農業を営む中里芳夫さん(62)は、同市にある船橋農産物供給センターの会員。中里さんが住む地域でも、離農が進み、雑草が生い茂る荒れ放題の耕作放棄地が増えていきました。
宅配で販路拡大できたら…中里さんは、新規就農者に農地を提供し、耕作してもらうことで、遊休農地化を防ぎ、さらに供給センターを利用して農産物の販売先も確保できると考えたのです。中里さんが農地を紹介した三人の脱サラ就農者に農業への思いを聞いてみると――。 「収入は激減したけど、支えは収穫の喜び」と胸を張るのは就農四年目の杉山康彦さん(44)=仮名=。「単身赴任など理不尽なことが多い」と、十七年間勤めた特殊法人をやめ、農業大学校から中里さんを紹介され就農。退職金を元手にトラクターなど必要な農機具を購入しました。 ナス、ミズナ、ホウレンソウ、ネギなど十品目を栽培。「農業は段取りが大事。前の仕事で身につけたものが生かせる」と前向きです。 市川市から毎日車で五十分かけて“通勤”しているのは早川進さん(57)。「自然の中で体を動かしたい」と、五十四歳のとき、財団法人での二十数年間のサラリーマン生活にピリオドを打ちました。「自分で値段をつけるのは難しい」と話す早川さんは、ナス、モロヘイヤ、ミニトマト、小松菜などを作っています。 いま一番の楽しみは、収穫した野菜を自宅の近所に提供すること。「冗談でも『おいしい』と喜んでくれれば、本当にうれしい。近所に広まって『宅配』ができればいいですね」と“販路拡大”に意欲的です。
地元農家に励まされ広がる夢勧奨退職で、地方公務員の職を投げ打って就農した荒川健一さん(56)=仮名=は二年目を迎えました。トマト、ナス、枝豆などを栽培しています。「農家はのん気にできるのがいい。作ったものが半分しかできないと、『何をやっているのか』という気分になりますけど…。たとえ安くても、供給センターのおかげで、作ったものが売れる」と意欲を燃やします。 三人は、農地を提供している地権者に感謝の意味を込めて、収穫した野菜をプレゼントすることも。地域の人たちは、「農地をきれいにしてくれる」と喜んでくれます。 困難を抱えながらも、もの作りに励む三人に中里さんはエールを送ります。「健康に注意し、初心を大切にして、農業を楽しんでほしい」 中里さんの期待に三人が応えます。「ようやく失敗から学ぶ余裕がでてきました。もっと気楽に楽しんでやりたい」(杉山さん)、「すべてが発見です。下手なりに経験を積み重ねて自分を鍛えていきたい」(早川さん)、「『今年は去年よりも』と、納得できるものを少しずつでも作れれば。これが楽しいですね」(荒川さん)。三人の夢は広がります。
(新聞「農民」2007.8.27付)
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[2007年8月]
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