「農民」記事データベース20070827-793-06

農業に希望と意欲いっぱいチャレンジ!(1/3)

関連/農業に希望と意欲いっぱいチャレンジ!(1/3)
  /                  (2/3)
  /                  (3/3)


困難だが毎日が新しい挑戦

経営・技術…先輩から学び

埼玉 新規就農8年目の若い夫婦

 「見た目がいい物より、畑まるごと消費者にとどけるような農業がしたい」と、埼玉県本庄市で新規就農した青年夫婦がいます。鈴木敏夫さん(30)、美穂子さん(27)夫婦は就農して八年目、路地野菜などを四ヘクタール耕作しています。炎天下のもと、収穫に追われる鈴木さん夫婦を訪ねました。

 消費者親子と楽しい畑交流

 「アッ、カエルだ!」「鈴虫だ!」「ちがうよ!コオロギだよ!」――この日は、鈴木さん夫婦の畑にさいたまコープの消費者親子が、ナスの収穫体験に訪れていました。本庄市は利根川流域に広大な水田と畑が広がる平場の農業地帯。畑の隣の水田には生き物がいっぱいで、子どもたちはまずはナスよりカエル取りに夢中です。

 ピカピカ、パリパリのナスを収穫しながら、美穂子さんがあいさつします。「今日は来てくれて、ありがとう。この畑の土や空気を体いっぱいに感じながら、野菜には不ぞろいな物もあることを、ぜひ知ってください。そして生協ボックスに私たちの野菜を見たら、この畑を思い出してください」

 農業大学校での出会いが縁

 ともに非農家の出身だった二人が出会ったのは、埼玉県の農業大学校でした。環境問題に興味があった敏夫さんは、農業技術を身につけて青年海外協力隊に参加しようと、農業大学校に。研修先で農家の考え方に触れるうちに「農家の生活もいいな」と新規就農を目指しました。一年先に卒業した敏夫さんが農地を借りるなどの準備をすすめ、美穂子さんの卒業と同時に二人で就農しました。

 「目指す農業は?」と聞くと、「ん〜、なるべく手間をかけない農業かなぁ」(笑)と、いたって自然体の二人ですが、農業に寄せる情熱はきわめてユニーク。「キューバ農業のように、植物を育てて、家畜の力も取り入れながらなるべく自給で生活していきたい」というのが二人の目標です。

 自然の循環を生かした農業を模索する中で、規格や見た目を絶対視せず、旬を重視する消費者団体とも出会うことができ、埼玉産直協同への出荷も始まりました。

 旺盛な研究心で「がんばる」

 二人が、野菜に付加価値をつける上でも、種の自給を守る上でも大切にしているのが、在来種の自家採種です。畑はナス一つをとっても、千両二号、新黒、白ナス…と、品種、品目が本当に豊富。二人のもとで研修中の菅野亜希さん(26)は、和綿の種取りにも挑戦中です。

 「地球温暖化も進むし、これからは農業の多様性をどう守るかが、大切だと思います」という二人。畑ではヤギが雑草をはみ、さまざまな虫やカエルが作物を病害虫から守っています。

 「まだ経営の知恵や技術は、他の農家から教えてもらうことがいっぱいあります。土壌診断をして肥料代を浮かせたり、栽培や作業計画をたてたり、ノウハウができていくのが本当に楽しい」と敏夫さん。別れ際、「とにかく農業で食っていけるよう、がんばらないと」とニッコリしたのが印象的でした。

(新聞「農民」2007.8.27付)
ライン

2007年8月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2007, 農民運動全国連合会