世界的視野で食糧主権の確立をめざし、
地域で農業と農村を再生する運動を広げ、
強固な農民連をつくろう!(3/3)
第17回大会 常任委員会の報告
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(2)食糧主権の確立を旗印に、草の根から国民合意を広げよう
1、食糧主権の確立を国民合意に―EPA・FTAを許さないたたかいと結んで
農民連が昨年、発表した食糧主権宣言(案)に、世界の仲間から賞賛の言葉が届いています。この宣言(案)を力にすべての農協、農民、農業団体、広範な国民に大量普及し、国民合意を広げましょう。二月に、ビア・カンペシーナが呼びかけた食糧主権国際フォーラムが、西アフリカのマリで開かれます。日本からは、食健連の仲間をあわせて十人の代表団を派遣します。
マリでの国際フォーラムの成果や、FTA問題で検討しているオーストラリア農業視察などをふまえ、五月ぐらいに食健連との共同で「FTA・EPA問題と食糧主権」(仮称)をテーマにしたフォーラムを一定の規模で開催します。三月地方議会にはEPA・FTAに反対する請願を全国で展開することを呼びかけます。
2、政府への要求とあわせ、地域・自治体ぐるみで食糧主権の実践を
決議案で食糧主権を政府に要求するにとどまらず、われわれの日々の運動の中で、食糧主権にもとづいた実践を広げようと呼びかけました。下郷農協が農協の総代会で、食糧主権宣言を採択しています。自治体でも、地方議員のみなさんと連携し、農業団体とも共同しながら食糧主権宣言の採択を大いに進めましょう。そして、私たちが進めている地産地消、産直、都市と農村の連携、農業と商業の提携、こうした国民の連帯と共同の運動を、多国籍企業・大企業の流通支配に抗した運動を、食糧主権に接近する運動として草の根から広げ、政府に食糧主権の実現を要求する世論を作っていきましょう。
(3)農業構造改革を許さず、価格保障を軸にした農政の転換を求める共同
1、品目横断的経営安定対策に対する農民連の3つの「要求と態度」を踏まえて
決議案は、品目横断的経営安定対策に対する農民連の三つの要求と態度を打ち出しています。これは、品目横断対策に対する厳しい批判者としての立場を貫きながら、対案として、すべての農家を対象にした価格保障を軸にした農政の実現を第一にしています。同時に、現実にこの政策がごり押しされているなかで、多数の農家が向き合わざるをえなくなっています。この対策に参加するみなさんとも手をつなぎ、要求に耳を傾け、ともに地域農業を守る柔軟な対応を呼びかけています。三つめに、何よりも優先すべき課題は、農民が農業生産をやめないこと、やめさせないこと、地域農業を守ることを何よりも最優先にしようという立場からのものです。この三つの要求と態度は、広範な農家や関係者と共同できるものです。
四月から六月まで過去三年実績にもとづいた対策を中心にした加入申請が始まります。この時期は、いっせい地方選挙をたたかう時期であり、七月には参議院選挙もたたかわれます。農民連は、新聞「農民」の大量宣伝物を用意します。品目横断対策にとどまらず、FTA・EPA問題など、農業破壊政治に選挙で審判を下そうではありませんか。
2、多様な担い手を確保する運動、集落と生産を維持する助け合いの実践
決議案で、担い手を確保する運動を呼びかけました。担い手の確保は、農業にかかわるすべての方々、そして日本農業にとって、焦眉(しょうび)の課題です。今、頑張っている人たち、高齢者、女性の力を生かすとともに、都市住民、定年退職者など農外の人たちを農村に迎えて担い手になってもらう取り組みなど全国で多面的に広がっている担い手確保の運動をさらに大きく広げましょう。
V 行動綱領の原点に立ち、すべての農家に働きかけられる組織に
(1)行動綱領を実現する「術」としての新聞「農民」
1、新聞「農民」読者の広がりこそ、農政を変え、組織と運動を発展させる保障
決議案は、すべての農家に働きかけられる組織になろうと呼びかけました。行動綱領は、農業にまじめに取り組んでいる農民を広く結集し、農業と食糧問題の将来を心配する広範な国民と団結を広げることを農民運動の目的として強調しています。決議案は、この目的を実現するうえで新聞「農民」を「術」(すべ)と位置づけ、読者拡大の飛躍を呼びかけています。
「農民」を増やすことは、そういう意味での重要性をもった取り組みだということをぜひみなさんとともに確認しあいたいと思います。
2、「みんなでつくろう、ものいう『農民』」の原点に立って魅力ある新聞づくりを
もう一つは、新聞「農民」の紙面づくりへの全国の会員と組織の参加を呼びかけるものです。
「農民」の編集部は体制を強化し、各地を飛び歩いて取材し、その努力は紙面にいかんなく発揮されています。同時に強調したいのは、生産の現場で汗を流してがんばる農民が書いた通信は、どんなに優秀な記者が書いた文章よりも説解力をもっているということを強調したいと思います。それはまた、「みんなでつくろう、ものいう『農民』」の原点でもあります。みなさんが、日々の生産のなかで共感したこと、心に止まったこと、そして怒りを通信していただきたいのです。
また、専従者にとっては、がんばる組合員や農山村の価値に共感をもつことは運動を進める上で最も大切なことです。ぜひ専従者のみなさんの通信活動も強く呼びかけたいと思います。
(2)どんな組織をめざすか
1、すべての農村を「網羅」する組織体制の確立は全国センターの機能発揮と、すべての農家に働きかけるために不可欠
決議案は、すべての農村を網羅する組織体制の確立を呼びかけました。
全国には、四十七都道府県連が確立されています。また、多くの地域や自治体に単組が確立され、農民連運動を担って奮闘しています。しかし、問題は単組がすべての市町村を網羅していないことです。空白の自治体の農民要求を実現し組織化する単組のエリアを明確にすることです。この課題を事務所と専従者を配置した単組づくりとあわせて前進させましょう。
2、循環し支えあう組織、すべての農家に門戸を開いた組織、生産と地域づくりを担える組織に
二つめは、循環し支えあう組織づくりの重要性です。競争社会、弱肉強食の社会と立ち向かううえで大事なのは、循環し、支え合う組織です。そのこと自身が農民連の魅力です。
同じ時期に種をまき、同じ時期に収穫する農民同士、多少考え方は違っても、生産の過程では、共通しています。この人たちすべてに門戸を開き、日本の農山村を愛するすべての人たちに、農民連の門戸を開き、地域の多数者になる組織をめざそうではありませんか。
(3)会員と読者を広げる計画
1、目標
具体的な組織づくりの計画は、会員では、過去最高現勢を一日でも早く回復することを共通の目標とし、全国的には農家戸数の二%、販売農家では三%の組織を一日でも早く実現しましょう。新聞「農民」では三万人読者の峰を一日も早く実現しましょう。「農民」読者を五万人、十万人、二十万人に広げ、毎週、われわれの情報を発信することができたら、どんなに大きな力になるでしょう。ふるさとネットワークが一生懸命探求している広範な国民との結びつきを生かした販売ルートの拡大にもつながります。
2、目的意識的に拡大を推進する体制づくりを
拡大運動を進めるためには、日常的な体制が不可欠です。本部は拡大推進委員会を設置し、常勤役員と事務局が一丸となって、会員と読者拡大を推進してきました。昨年六月から一カ月余りの間に、集中的に読者拡大の取り組み、五百七十人の読者を拡大しました。体制こそは拡大を前進させる力です。都道府県連にも拡大推進委員会を設置し、拡大担当者も決めて日常的に拡大運動を取り組み、前進させましょう。
女性の要求を実現し、元気の出る女性部活動、運動と生産の後継者である青年の確保と青年部づくりも今度の決議案で強調している点です。ぜひ重視して取り組んでいきましょう。
VI 結びに
最後に、二年後の第十八回大会は、農民連結成二十周年の記念すべき大会です。今後の二年間は、農政上においても、国の政治全体においても、これまで以上に激動が予想されます。そしてFTA・EPAを含め、凶暴な農政が農民に襲いかかる二年間であることも予想されます。こうした悪政とたたかい、生産を拡大し、農業でがんばる仲間を増やし、農民連運動の上げ潮のなかで二十周年を迎えようではありませんか。
代議員・評議員のみなさんが激動の情勢に立ち向かって、どっこいがんばる農民連の姿を体現する発言を期待し、常任委員会を代表しての決議案の報告とします。
(新聞「農民」2007.2.5付)
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