「農民」記事データベース20070129-765-01

食糧主権を旗印に
草の根から国民合意を

農民連第17回定期大会

関連/佐々木健三会長のあいさつ
  /ビア・カンペシーナから農民連第17回大会を祝福する連帯メッセージ
  /新役員・あいさつ・メッセージ
  /ふるさと自慢味わいながら大いに交流

 「地球的規模での大きなうねりを感じた」「農民連パワーが結集され、たいへん力強い気持ちになった」と全国から集まった参加者。熱気にあふれた農民連第17回大会が1月15〜17日、東京・大田区産業プラザで開かれました。


実践的で確信に満ちた発言相次ぐ

 「ものを作ってこそ」を合言葉に

 大会は、「ものを作ってこそ農民」を合言葉に農業つぶしの悪政とたたかい、平和・憲法を守る先頭に立ってきた各地の活動を交流。食糧主権を旗印に草の根から国民合意を広げるとともに、行動綱領の原点に立ってすべての農家に働きかけ、強固な農民連をつくろうと呼びかけました。四十七都道府県すべてから参加した約四百人の代議員・評議員は、「農業を守るため、農民の一分(いちぶん)をかけてたたかい抜く」といった決意表明やパワーあふれる女性・青年の発言に熱い連帯の拍手を送り、会場は大いにわきました。

 佐々木健三会長はあいさつ(2面)で、教育基本法の改悪を強行し、さらに憲法改悪を参院選の公約に掲げる安倍内閣を厳しく批判。これとのたたかいを呼びかけるとともに、病気で収穫できないリンゴ農家を力を合わせて助けた身近な経験を紹介し、地域の生産を守る農民連のかけがえのない役割を強調しました。

会員と読者拡大の大きなうねりを

 危険なFTA交渉の中止を要求

 常任委員会を代表して報告を行った笹渡義夫事務局長は、二月にアフリカのマリで開かれる食糧主権国際フォーラムやFTAの交渉入りが決まったオーストラリアへの視察を踏まえて、「EPA・FTA問題と食糧主権」をテーマにしたシンポジウムの開催を提起。また、この間、組織づくりが進んだ奈良県連や鹿児島県連の教訓として、(1)大志ある目標を掲げ、日常的に探求していること(2)農民の生活・生産の現場に目を向け、多様な要求の実現にとりくんでいること(3)会員を何より大切にして集まる場を設ける努力をしていること―をあげ、「全国一丸となって会員と読者拡大の大きなうねりをつくり、生産と地域を担える組織になろう」と呼びかけました。

 「WTO・FTAから食糧主権へ」と題して補足報告を行った真嶋良孝副会長は、憲法改悪や愛国心教育、労働法制の改悪、消費税増税などと並んで、日米EPAを含むWTO・FTAの推進をうたう経団連の「御手洗ビジョン」を「一部の多国籍企業の利益のみを代弁する手前勝手で危険な構想だ」と厳しく批判。さらに、この十五年間で三回も干ばつで米麦が大減収になったオーストラリア農業のデータを示し、「こういう生産不安定な国に日本の食糧安全保障を任せていいのか」と、同国とのFTA交渉の中止を要求しました。

農業つぶしの悪政に対決
生産と地域を担える組織へ

 青年、女性、ものづくり、組織づくり

 続いて行われた討論は、実践的で確信に満ちた発言が相次ぎました。

 品目横断対策とのたたかいでは、北海道の山川秀正さんが発言。「同対策のモデルといわれる十勝地方でも農業が続けられなくなり、自給率向上にもつながらない。一人の離農者も出さないというスタンスで中止を求めていく」と話しました。

 滋賀の北村富生さんは、青年が積極的に農作業に参加するようになった営農組合のとりくみとともに、自治体に働きかけて農地・水・環境対策の要件から減反を除外させたことを紹介。また、大分・下郷農協の横山金也組合長は「農民連を強くすることなくして農協つぶしの攻撃をはね返すことはできない」と訴え、大阪の西野恒次郎さんは府独自の農業振興条例づくりについて報告し、「今年は府農業にとって正念場の年。全力でたたかう」と決意を述べました。

 パワフルな女性の発言も目立ちました。群馬の木村君江さんは「自民党、民主党は根も幹も同じ。自民党という枝葉が日なたで、民主党が日陰なだけ。今年の参院選では二大政党論を打破して、私たち農家の暮らしを守りたい」ときっぱり。また、岩手の久保田みき子さんは農村女性の知恵を集めた加工交流会の様子を紹介し、鹿児島の松山文子さんは「女性部が元気だからこそ、直売所『薩摩路』の売り上げが伸びている」と語りました。

 ものづくりでは、新潟の準産直米や福島の直売所「産直カフェ」のとりくみが紹介され、秋田の小林秀彦さんは地元で発展しているそばづくりについて報告。山形の菅井巌さんは、百を超える学校・保育園に給食米を届けている活動について発言し、「“日本人の胃袋”を取り戻す大運動を起こしたい」と述べました。

 青年では、さまざまな国際活動に参加している杵塚歩さんが「農民連やビア・カンペシーナの強さは人間的なつながり」だと話し、千葉で農業研修している佐藤真平さんは研修を通じて感じたことを率直に発言。一方、最高齢の大会参加者、野本家六さん(87)は自らの戦争体験を語り、平和の尊さを訴えました。

 組織づくりでは、三年連続で新聞「農民」の読者現勢を増やしている鹿児島県連の丸野武人さんが発言し、「農民連の方針こそ、農業再生の本道だ」と強調。また、三年で会員を五倍以上にした奈良県連・北和センターの森口いち代さんは「羅針盤は会員の要求」だと、きっぱり述べました。

 佐々木会長勇退新会長に白石氏

 笹渡事務局長は討論のまとめで、二年後の次期大会が農民連結成二十周年になることに触れ、「節目にふさわしい、運動と組織の大飛躍で迎えよう」と訴えました。

 大会は最後に、三十人の新常任委員を選出。佐々木会長は今大会で勇退し、新会長に白石淳一さん(北海道連委員長)を選出しました。(大会報告は次号で紹介します)

(新聞「農民」2007.1.29付)
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2007年1月

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