「農民」記事データベース20060911-747-01

10周年と新事務所移転を祝うつどい

国民の健康・食の安全守って10年

農民連食品分析センター

関連/広くなった新センターで新たな分析に期待大きく

 国民の健康、食の安全を守ってきた農民連食品分析センターの10周年を記念して、農民連は8月25日、東京都板橋区の区立グリーンホールで、10周年と病体生理研究所(板橋区熊野町)への移転を祝うつどいを盛大に開き、個人や団体など160人が参加しました。


約1万1千件の検査

 国民共同のとりで

 主催者あいさつした農民連の佐々木健三会長は「分析センターが名実ともに国民共同のセンターとして発展してきたのは、多くの方々の協力によるもの」と感謝の意を表明。一九九五年に発足したWTO(世界貿易機関)とのたたかいを出発点として、九六年五月、板橋区成増に開設された分析センターは「十年間で約一万一千件の検査を行い、安全・安心な農産物を日本の大地で作るうえで、大きな役割を果たしてきた」と指摘。輸入冷凍ホウレンソウ、学校給食用パンの分析で、行政・業界を動かす大きな世論作りをしてきた実績をのべました。

行政・業界動かした数々の実績

 さらに「視察した多くの海外のNGO(非政府組織)の代表が、農民、国民の共同の力で、自主独立の運営をしていることに驚きの声をあげている」と紹介。「国民に支えられ、分析結果を運動に反映させる分析センターの活動に誇りを持っている」と強調しました。

 最後に佐々木会長は、新しい事業を拡大し、新天地でスタートする分析センターの姿と、何も決められず混迷を深めているWTOの十一年間とを対比。「追いつめているのは世界の農民で、追いつめられているのはWTO

だ。分析センターがさらに大きく前進していくために一段のご協力を」と呼びかけました。

世論の力に支えられ分析結果を運動に反映

 同じ土台に立って

 新日本婦人の会の高田公子会長が来賓あいさつ(大要は5面)。東京農工大学の本間慎名誉教授は「農家、消費者の立場に立ったセンターができることは、私の生涯ではないだろうと思っていた」と感慨深げに語り、「ここまできたのは、国民の世論とみなさんの力です。食の安全・安心のための武器を手に入れたことに、大きな敬意を払います」とあいさつしました。

 「大家の立場であいさつします」と切り出した病体生理研究所の折笠勉専務理事は「当研究所と分析センターとは、平和、社会保障を守る運動、農業と食料を守る取り組みで同じ土台に立ち、仲間です」と紹介。「共同事業所としての性格を生かし、今後、食品の細菌検査を引き受けるなど連携を深めながら、ともに手を携えていきたい」とのべました。

 世界的な農民組織、ビア・カンペシーナ代表のヘンリー・サラギさんからのメッセージ(2面に大要)が読み上げられたほか、分析センターの設立に多大な貢献をした東京農民連の田中山五郎会長に感謝状と記念品が贈られました。

 がんばる決意次々

 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)の長瀬文雄事務局長の音頭で一同、乾杯。第二部では、埼玉県春日部市の高橋利男さんが尺八で民謡を奏でるなか、参加者は、国産の料理と地酒を味わいながら、歓談しました。

 各界から心のこもったお祝いの言葉がのべられた後、分析センターのスタッフが登壇。一人ひとりが紹介され、各スタッフが自らの思いと今後の決意をのべました。石黒昌孝所長が「国民の命と健康を守る分析を行ってきました。これからもみなさんの期待に応えて大いにがんばる決意です」と感謝のあいさつ。最後に、参加者全員で「ふるさと」を合唱しました。


広くなった新センターで新たな分析に期待大きく

見学会

 つどいに先立ち、参加者は、病体生理研究所内に移転した新分析センターを見学し、研究所と新施設の説明を受けました。

 病体生理研究所の歩みと事業内容について折笠勉専務理事が説明。創立者の故秋元寿恵夫氏が戦前、関東軍の731部隊に配属されたことへの反省から、生体病理学に携わろうとする若者たちへの教育に身を捧げ、一九四九年、横浜市に秋元研究所として創設、五二年に病体生理研究所に改称した経緯を語りました。

 現在、母子保健衛生、環境・公害研究などの事業や、生化学・血液学・病理学的検査を行うとともに、東京民医連の検査共同事業所としての役割を担い、社会保障、平和・民主主義を守る運動や新潟中越地震の現地支援活動の取り組みが紹介されました。

 見学参加者は、今までの約二・五倍の広さになった新分析センターを訪問。近々導入予定の新分析機器、ガスクロマトグラフ質量分析計の設置場所も確保でき、「広くなってよかったねー」と声があがりました。

 参加者は、分析試料の抽出・精製機器、遺伝子組み換え分析装置、重金属の分析機器、農薬等の判定に使用するガスクロマトグラフの説明に熱心に聞き入り、質問をしていました。

 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの小野南海子さんは「市民の募金で作られたセンターは、鋭い分析力で世の中を動かしてきました。さらに広くなって、いろいろな分析をできるのではと期待しています。若い人ががんばっていて頼もしい。今後も、市民の分析センターとして、身近な存在でいてほしい」と感想を語りました。

(新聞「農民」2006.9.11付)
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2006年9月

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