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もの作り いま満開(2/3)

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肉質のよさ、消費者も太鼓判

珍種豚(中ヨークシャー)に愛情かけて

埼玉・美里町 白石光江さん

 埼玉県北部の美里町(みさと)の農家、白石光江(しろいし みつえ)さん(60)は、日本では珍しい豚の品種、中ヨークシャー種を育てています。豚への愛情を込めながら、種の保存と、安全・おいしさを追求しています。

 白石さんは二十七年前、三人の子どもを育てながら、「家計の足しに」と養豚を始めました。両親が飼っていた三頭の母豚から始めたとき、自分が子どものころ食べていた味、脂身が多く、口の中でとろける感触が出せないかと考え、思いついたのが、肉質のきめが細かく、脂肪も白くて甘い中ヨークシャー種です。

 一九五〇年代までは一般的に飼育されていましたが、成長が遅く、出荷まで普通の豚の一・五倍かかるため、多くの農家が大型種に切り替えていきました。

 種を求め全国回る

 白石さんは「おいしくて安全性の高いものを」と、中ヨークシャー種にこだわり、全国を回って、わずかに残っていたものを譲り受けました。

 中ヨークシャー種を基礎豚とした肉質のよさを評価してくれた生協との取引も始まり、経営もどうにか軌道に乗り始めました。この間、消費者との交流も活発に行い、顔が見える取引の魅力を感じました。九六年に、約十五年続いた生協との取引から、消費者の声が直接聞ける産直宅配に切り替えました。

 努力実って大臣賞

 同時にブランド名を考え「幻の肉 古代豚」と商標登録。「希少価値の中ヨークシャー種を絶やさない」という思いが込められています。「よりおいしく、より安全・安心な豚肉を生産したいというロマンと、中ヨークシャー種の保存という使命感」に燃えている白石さん。こうした取り組みが評価され、二〇〇五年に「農山漁村女性チャレンジ活動」の農林水産大臣賞(最優秀賞)を受賞しました。

 今では出荷先も、宅配のほかホテルやレストラン、デパートなどに広がり、年間出荷頭数も六百頭に増えました。養豚業の大規模化、効率重視の風潮が強まるもとで、「規模は小さくても、こだわりをもった生産」をモットーにしています。

 白石さんが豚への愛情表現として実行しているのが写真です。当初は単に記録として残しておこうと始めたものが、撮り続けているうちに「豚にもいろいろな表情がある」と、いつしかカメラのとりこに。〇二年、日本写真家協会展に出品して、見事入選を果たしました。

 五年前からは、夫の宗一(むねいち)さん(65)も本格的に養豚に携わるようになりました。さらに長男夫婦が、脱サラして、Uターンで美里に戻り、ハム・ソーセージの加工工房を今年四月に立ち上げたのです。

 「今後、加工品をさらに充実させ、販売を広げたい。将来は、長男夫婦に養豚も任せたいと考えています」と白石さんの夢は膨らみます。

 古代豚・白石農場。Tel0495(76)1738

(新聞「農民」2006.5.15付)
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2006年5月

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