座談会郵政に次いで浮上した「農協解体」は何を狙う(1/3)消費者と連携、地域農業を守ってこそ−
いま、「農協解体攻撃」が二つの方向からかけられています。一つは財界から。銀行や保険会社が「他業禁止」になっていることを理由に、「郵政の次は農協だ」と、農協の金融、共済、経済事業を分割しようという攻撃です。これは、「人々の要求実現のための自治的な協同組織」として生まれた協同組合の存在意義を否定するもの。
合併ノー! 小さな農協の大きな挑戦農業振興・雇用の確保・経済活性化「三つの存在意義」掲げて大分・下郷「こかぶ」づくり日本一の町に大関 私のところは、地域に根ざした農協として取り組んでいます。よく昔のお年寄りが、「三年に一回は冷害が来るものと覚悟して生活しなさい」というくらい厳しい地域です。ヤマセという偏西風が吹き、地上に実る作物が被害を受けるので、「こかぶ」づくりに取り組んできました。いまでは夏のこかぶとして日本一の生産です。小さな農協ですが、一回も合併することなく、「経営が確立できる農協をめざしていこう」と、組合員と一体になって健全な運営をめざして取り組んできました。 横山 私のところは、産直事業をはじめて四十五年の歴史があります。下郷は、険しい山間地で平地が少なく、三反百姓が中心でした。こういうところで農業で生きていく道を産直に求めたわけです。「消費者と連携し地域農業を守る」を経営理念に掲げてがんばっています。 特徴といえば、診療所を持っていて、組合員の健康や老後を守っています。そして、一つは地域農業の振興、二つに雇用の確保、三つ目が都市のみなさんと交流して地域経済の活性化に貢献する――こういう三つの存在意義を掲げてがんばっています。 山本 これまでいろいろ攻撃があっても、二つの農協は合併してきませんでした。なぜ合併しないでやってこられたのでしょうか。
夜中まで融資の相談に乗って農産物の販売は100%引き受ける青森・野辺地組合員あっての農協だから大関 青森県では、今ある三十七の農協を六つにしようという話が進められています。「合併に参加してくれ」と県の出納長もわざわざ来ましたし、中央会も来ました。合併してからいろいろなことを解決しようというわけですが、中身がないんです。いま米価をはじめ農産物の価格がどんどん下がり、農家はもう“ふうふう”言っています。農協運営も非常にきびしくなっています。こういうときに大きくなったら、組合員の顔が見えないし、声も反映されませんね。 うちは、窓口でなんでも相談できる家族的な農協です。自慢できることは、農産物の販売が一〇〇%農協引き受けになっていることです。ほかの農協では、品薄になって価格が高くなるとよそに流れる、安くなると農協に持ってくる、そういうパターンが多くみられます。組合員あっての農協ですから、農産物を有利に販売するのが農協の仕事ではないでしょうか。 また、ちょっと経営が不振な農家があると、金融担当者がその農家に行って、夜中まで家族も含めてどうすれば再建できるのか、いろいろと議論します。相手のうちにまで行くというのは好まないんですが、あとで「家族みんなが理解できてよかった」って言ってくれるんですよ。 これも小さな農協だからできることで、規模が大きくなったらきめ細かなことができなくなると思います。
(新聞「農民」2005.11.7付)
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[2005年11月]
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