「農民」記事データベース20050815-696-08

いまこそ「憲法九条」輝かそう(1/3)

日本を「戦争をする国」にさせないために

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九条擁護こそ進むべき道

「農林水産九条の会」呼びかけ人 所 秀雄さん

 今も脳裏に浮かぶ残酷な光景

 一九四五年三月十日の東京大空襲をはじめ、その後も東京は大空襲に見舞われ続けました。けがをした人、死んだ人がそこかしこに転がる焼け野原を、ただひたすら歩きつづけて、自宅のある大森駅にたどり着いたあの日の光景は、いまも脳裏に焼きついています。

 ふるさと岐阜県垂井(たるい)の同級生の多くは、兵士として戦場へ駆り出され、みんな死んでしまいました。戦争は悲劇しか生まないし、戦争で物事は解決しません。「平和のための戦争」などありえないのです。

 いま日本政府は、イラクに自衛隊を派遣していますが、私は反対です。イラク全土が戦闘地域ではないですか。アメリカのイラクへの戦闘行為は、日本が大東亜共栄圏といって中国やアジアに侵略していった行為と何ら変わりません。

 戦争で一番被害うけたのは百姓

 憲法九条を変えようとする動きがありますが、まったく変える必要はありません。戦争で一番被害を受けたのが、農山村であり百姓でした。農業は平和が前提です。九条を変えて日本を戦争のできる国にしてはいけない。

 九条で「軍隊はもたない、戦争はしない」と宣言したんだから、日本政府はそれでがんばればいい。それでこそ、一番強い外交を進めることができるのです。憲法前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とありますが、これこそ私たちの進むべき道ではないでしょうか。

 市民参加型こそ民主主義の土台

 長良川河口堰(ぜき)の問題では、勉強をすればするほど建設中止を求めざるを得ませんでした。だから、「会」の代表世話人として反対運動をしてきました。この運動で痛感したことは、透明性が徹底しないとこれからの公共事業は成功しないということでした。

 透明性は、情報公開と市民参加によってはじめて実現するものです。市町村の合併でも、ここ垂井町の住民は、圧倒的多数で大垣市などとの合併に反対しました。住民は市民参加型のまちづくりを望んでいます。人々が生存する基礎的な単位社会で市民参加型が実現することが、国レベルでの本当の民主主義の土台になるのではないか――私は、そう確信しています。


(プロフィル)

 一九一八年生まれ、八十七歳。東京大学法学部卒業後、農林省に入省。戦後、農地解放や土地改良にかかわり、畜政課長を最後に退官。一九六三年養鶏関連の企業(のち(株)ゲン・コーポレーション)を設立。「ふーどアクション二十一」代表世話人、「食料・農林漁業・環境フォーラム」副代表、「長良川を愛する会」「ふるさと垂井を愛する会」代表などで活躍。最近、「生命の在処(ありか)」(メタ・ブレーン)を出版。

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(新聞「農民」2005.8.15付)
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2005年8月

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