悪政を打ち破り、地域の生産を担える組織へ前進しよう全国委員会への報告(2/3)二〇〇五年七月十三日 農民連常任委員会/ (2/3) / (3/3)
B 当面の活動について(1)全頭検査の継続とアメリカ産牛肉の輸入解禁を許さない運動訪米調査など、この間の運動の成果を生かし、すべてのブロック・都道府県で「訪米調査団」を講師にした報告会を企画しBSEビデオの上映会、BSEブックレットを活用した学習と話し合いを無数に開きましょう。自治体、JAや畜産団体などの農業団体、精肉店、労組や市民団体など、広範な団体への申し入れと要請署名を再度、積み上げましょう。都道府県が行う二十カ月以下の牛の検査費用への国の助成継続も要求しよう。 九月十日にアメリカのBSE問題の第一人者であるジョン・スタウバー氏を招いて開催する講演会を成功させましょう。 BSE運動の盛り上がりの中で、肉産直の取り組みを実践的に切り開きましょう。
(2)構造改革、「米改革」とのたたかい1、新「基本計画」とのたたかい
(1)ねらいの暴露と、政策転換を求める運動新「基本計画」のねらいを地域農業の現実を踏まえ、農民の目線から批判・暴露することが重要です。同時に、食料自給率の向上を機軸に、国内の生産を脅かす輸入農産物の規制、農家の選別を中止し、農家の生産コストを償う価格保障の実現、農地の株式会社の所有規制などを要求し、こうした農政を転換させる合意を広げ、政府に迫る運動を進めましょう。 新「基本計画」のねらいを正面から批判しているのは新聞「農民」PR版しかありません。すべての自治体の「基本計画」をつかみ、PR版を広範な農家、すべての農協や理事、農業委員、自治体などに届け、懇談・対話しましょう。 「米改革」の結果、農家の経営や地域農業はどうなっているかを具体的に検証することや、「新基本計画のねらいと、地域農業はどうなるのか」についてすべての組織で学習と討論を行い、「研究会」「考える会」などを集落ごと、自治体ごとにも開きましょう。 政府が「担い手」の具体的な要件を決めようとしている十月を節にして、取り組みを広げましょう。
(2)生産の維持・拡大、農地を守るための助け合う実践を広げよう地域には、高齢化と後継者問題、農地の荒廃などの問題が山積し、この解決が農家や関係者に共通する課題となっています。全国には地域の条件を踏まえた多様な家族経営をサポートする取り組みが広がっています。こうした取り組みを自治体が支援している例も少なくありません。政府の進めようとしている「集落営農」は、一見、地域の抱えている困難を「解決する」かのような装いがありますが、本質は「経営安定対策」をエサに「担い手」の特定や法人化等の厳しい条件をつけて絞り込みをねらうもので、全国で広がっている助け合いによる取り組みとは似て非なるものです。これまでの自主的な実践さえ破壊するものです。 話し合いを大切に、「地域の生産と農地を守る」を軸に、農家を生産から締め出すのではなく、それぞれの条件にあった助け合いによって農家の生産力を高めるための共同を自治体ぐるみで――こういう立場から、集落の助け合い組織や法人化を含めて柔軟に対応することが大切であり、農民連会員は、地域のリーダーになって奮闘しましょう。 こうした自治体や集落の取り組みを都道府県、地域ごとに交流しましょう。全国的にも十月に「『米改革』『構造改革』討論集会」(仮称)を開催して学習と交流を行います。全国の取り組みや実態を踏まえ、新「基本計画」や「構造改革」への批判と政策的提案ができるよう準備します。
(3)「担い手」の要求を大切に、農民連と「ふるさとネットワーク」への結集を「構造改革」キャンペーンが翼賛的に行われ、しかも、「経営安定対策」の受給資格を得ることを踏み絵にして誘導されようとしているなかで、経営展望への不安があっても「担い手」にならざるをえないという状況も予想されます。こうした農家の要求や悩みにも耳を傾けるとともに、農政の転換と全国ネットワークによって「もう一つの流れ」をつくりだす運動を進めている農民連と「農民連ふるさとネットワーク」への参加を呼びかけましょう。
2、価格対策を求める共同を力に「米改革」とのたたかいを広げよう農水省は、十六年産米の価格について「農家への影響は少ない」(石原農水事務次官)と開き直り、最大手の卸は「一万円米価」を公言するに至っています。全農秋田事件を口実に、ますます米価を下げる仕組みや、米の先物取引に向けた準備も進められています。「米改革」は、政府の流通責任の放棄、米価大暴落、大手卸の流通支配という事態をつくり出し、生産者にとっても中小流通業者、消費者にとっても矛盾は深刻です。特に価格問題は、立場を超えてあらゆる農家や農業団体に共通する要求となっています。 生産費を大幅に下回る安い価格で米を作れということ自体が異常であり、こうした価格を消費者が求めているわけでは決してありません。「米改革」の最大の犠牲者が「担い手」層であることも鮮明になっています。このような異常さを告発し、怒りを結集しましょう。 こうした状況や農家の要求を踏まえて、「米改革」を中止し、政府が米の安定的な生産・流通に責任をもつこと、農家の選別をやめ、すべての農家を担い手にすること、米価の下支えの確立、超古米の販売中止、十分な備蓄を確保するための政府買い入れの拡大、備蓄制度の棚上げ方式への転換、ミニマム・アクセス米輸入の削減・廃止など、米政策の抜本的転換を要求して運動を広げましょう。また、農家の切実な要求である政府の拠出拡大による「稲得」や「担経」制度の改善を要求しましょう。
3、稲作を守る運動として「準産直米」の取り組みの規模を拡大しよう「米改革」は、生産者だけでなく中小米流通業者の経営を脅かしています。「農民連ふるさとネットワーク」の努力で農民連と提携を希望する卸が増え、市場価格にとらわれない契約価格での取引が実現していることは貴重な成果です。こういう情勢だからこそ交流と信頼を基礎に、安定した販路をつくる「準産直米」を、すべての組織に共通する最重要課題として取り組みの規模を大きく広げましょう。
4、輸入の拡大と価格暴落をはね返す運動生産野菜の輸入が昨年の同時期よりも一・六倍も増えて国内の価格を大暴落させ、ほ場での廃棄処分が行われるなど野菜農家の経営に打撃を与えています。輸入による価格暴落の影響が最も大きい主要野菜に対するセーフガードの発動要求、産地の出荷価格とデパートや大手スーパーでの小売価格の比較・検証による買いたたきの告発、輸入農産物の農薬・重金属の分析などに取り組みましょう。
(3)ものづくり運動とネットワークを生かした取り組みの飛躍を1、地域での多様な農産物の生産拡大と、ネットの機能を生かした「リレー出荷」の戦略をすべての組織で新「基本計画」による「構造改革」の推進、大企業の農業参入が相次いでいるなかで、すべての農家の力を結集して生産を拡大し、ネットワークによって広く国民にルートを広げることは、運動の主戦場であり、「もうひとつの流れ」を広げる農民連と「農民連ふるさとネットワーク」の出番です。八月四〜五日の第二回「農民連ふるさとネットワーク」総会を、運動前進の契機にするため、すべての都道府県連が県ネット、ブロックネットと共同して「生産・販売の戦略計画」をもち、ものを動かしながらネットワークの体制と機能を強めましょう。 昨年に続く「ふるさとギフト」は組織の内外から歓迎されています。広く組織外に紹介することとあわせて、組織内の取り組みを広げましょう。
2、新婦人フェスタを新婦人産直の新たな飛躍の土台に十一月に大会を予定している新婦人は、九月二十四〜二十五日に千葉市幕張で「憲法大好き、九条で行こう!花ひらけ要求別小組フェスタ」を開催します。このなかで産直を重要な柱に位置づけ、新たな前進の契機にしようとしています。農民連として新婦人の方針に賛同し、共同して取り組みを前進させるために力をつくしましょう。
3、第三十九回赤旗まつり「ふるさと産直通り」を成功させよう第三十九回赤旗まつりが十月八〜十日に東京・夢の島公園で開催されます。今年の赤旗まつりは、「農民連ふるさとネットワーク」結成後初のものであり、食の安全に対する国民世論の高まりや、消費者、労働者、関連業者との共同の広がりのなかでの取り組みです。すべての都道府県・ブロックから参加し、全国の安全・新鮮な農林水産物や加工品などを提供し、生産者と参加者の交流を通じ、日本の農業・食料を守る合意を広げる場にしましょう。
(4)多面的な要求を実現する運動消費税の課税対象となる会員が実務的に対応できるように学習や援助を強めるとともに、課税対象となる農家を相談会などに誘って一緒に記帳を進めましょう。また、自治体合併にともなって固定資産税の重税問題が農家の切実な要求になっています。こうした要求をはじめ、農家の経営に役立つ多面的な運動に取り組み、組織拡大に結びつけましょう。
(5)WTO・FTAとのたたかい1、食糧主権の確立を求める草の根から運動を広げ、香港に結集しよう十二月十三〜十八日に香港で開かれるWTO閣僚会議は、WTO・FTAとのたたかいの節となります。五月のビア・カンペシーナ東南・東アジア会議の「ディリ宣言」のよびかけに応え、「WTO・FTAから食糧主権へ」をスローガンに、WTO・FTAの弊害を農民の目線から告発して草の根から運動をひろげましょう。こうした運動を香港に結集するため、全国から三ケタを目標に代表団を派遣しましょう。代表をいち早く決め、代表はグリーン・ウエーブや仲間づくり運動の先頭にたちましょう。
2、火傷病の検疫緩和を許さない運動アメリカは日本の火傷病の検疫体制を「防疫の障壁」だとしてWTOのパネルに二度にわたって提訴し、日本が敗訴しました。これは、アメリカの横暴を後押しするWTOの本質をあからさまに示すものです。火傷病は、いったん、侵入するとリンゴ、梨などバラ科の果樹に壊滅的打撃をあたえるだけに火傷病侵入対策は死活問題です。アメリカの横暴とWTOの本質を暴露するとともに、政府に対して「アメリカのいいなりになるな」の世論を広げ、水際を含めた徹底した侵入対策を要求して運動を広げましょう。青森県連が「火傷病シンポジウム」を計画するなど、一致点での共同を広げています。こうした経験に学び主産県での取り組みを前進させましょう。
(6)〇五年グリーン・ウエーブをすべての都道府県、地域で成功させよう1、〇五年グリーン・ウエーブの目的一〇月〜十二月をゾーンに取り組まれる〇五年グリーン・ウエーブは、十二月のWTO閣僚会議やFTA交渉、新「基本計画」の推進、BSE問題など、農と食をめぐる激動と、小泉内閣の基盤が大きく揺らいでいるなかでの取り組みです。食料自給率を向上させることを柱に、安全で安心できる食料の安定供給を政府に迫り、食糧主権を求める世論を草の根からつくること、全頭検査の継続とアメリカ牛肉の輸入解禁を許さない国民世論をつくることなどが〇五年グリーン・ウエーブの中心的目的です。
2、食と農を中心にした地域づくりをめざす「自給率向上署名」「地産地消宣言」を中心にすえて年内を展望して百万筆をめざす自給率向上署名の目標を突破することはその中心課題です。百万筆目標に相当する都道府県目標を達成するために、全会員参加の運動に広げ、広範な団体・個人への協力依頼を強めましょう。九月、十二月議会をヤマ場に自治体過半数をめざして「地産地消宣言」運動を広げるため、生協、JAなどの諸団体・住民ぐるみの取り組みに広げましょう。 都道府県・地域食健連と共同して多様な集会、学習会、キャラバン行動など多様な行動を具体化しましょう。 〇五年グリーン・ウエーブの取り組みを、都道府県と地域の食健連の活性化、組織作りの契機にしましょう。 九月十〜十一日の「全国代表者会議」は、グリーン・ウエーブの取り組みを意思統一し、総決起する場となります。すべての都道府県・地域食健連から代表者を派遣しましょう。
(7)憲法改悪、増税阻止、核戦争阻止・核兵器廃絶など国民的たたかい1、憲法改悪を阻止する運動憲法改悪阻止の運動は、当面の国民的たたかいの中心課題です。すべての会員が、憲法改悪のねらいを学習し確信をもって運動に参加しましょう。
(1)「九条の会」アピールに賛同する運動農林水産「九条の会」のよびかけに応えた賛同運動を、著名人や肩書のある人だけに限定せず、農林水産にかかわっているすべての人々を対象に広げましょう。単組、支部・班で憲法問題をテーマに学習し、すべての会員を対象にアピールへの賛同を広げましょう。ブロックや条件のある都道府県への「農業関係9条の会」をつくりましょう。
(2)世論と行動を担う「共同センター」への結集と過半数署名の推進改憲阻止の行動を担う「憲法改悪反対共同センター」にすべての都道府県連が結集し、国民過半数署名をはじめ、多様な行動を広げましょう。憲法改悪反対と国民大増税反対を中心要求に開かれる「十一・一九国民集会」(明治公園)に全国から総結集しましょう。
2、国民大増税を許さない運動政府税調報告が打ち出した国民大増税を打ち破るたたかいは、憲法改悪とともに、当面の国民的たたかいの柱です。大増税の内容を全会員が学習し、「増税ノー」の世論と行動を広げる先頭にたちましょう。
3、終戦・被爆六十周年の原水爆禁止運動を被爆六十周年の記念すべき原水禁大会(八月四〜六日の広島会場を中心に)にすべての都道府県から代表を派遣しましょう。特に青年が多数参加できるように援助しましょう。参加者を先頭に核兵器廃絶署名を広げ、平和行進を成功させよう。
4、郵政民営化を許さないたたかい参院に舞台を移した「郵政民営化法案」を阻止するために地元選出議員と政党地方組織への要請、国会行動などに全力をあげましょう。
(新聞「農民」2005.8.1付)
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[2005年8月]
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