襲いかかる大増税 はねかえす大運動を(1/3)
いま国会で、定率減税の半減による税収増を盛り込んだ二〇〇五年度予算案が審議されています。これは、消費税の二けた税率につながるもの。〇五、〇六年度の二年間に定率減税を廃止・縮小し、加えて各種控除の縮小・廃止で、七兆円もの負担が、国民に襲いかかってきます。大企業と高額所得者への優遇税制を続ける一方で、国民・農家の生活にしわ寄せする大増税計画は許せません。いま各地で取り組まれている三月の確定申告に向けた運動とともに大増税をストップさせるたたかいが急務です。
7兆円もの負担増定率減税廃止・縮小で3・3兆円定率減税とは、所得税と個人住民税の税額の一定割合を差し引く減税。一九九九年に「景気回復のため」と称して、所得税の最高税率や法人税の税率引き下げなどとともに、「恒久的な減税」として導入されました。所得税の二〇%(最大二十五万円)、個人住民税の一五%(同四万円)を控除。政府・与党は、定率減税を〇五年度に半減、〇六年度に廃止しようとしています。この縮小・廃止で国民負担は、三・三兆円にものぼります。
あらゆる分野の負担増3・7兆円政府・与党は、〇五、〇六年度の二年間で、国民生活のあらゆる分野への三・七兆円にのぼる負担増を計画しています。配偶者特別控除の廃止、公的年金控除や老年者控除の縮小・廃止をはじめ、一昨年の売上高が一千万円超の個人事業者に消費税納税を義務づける消費税免税点の引き下げ、年収百万円台のフリーターからも税金を取り立てるフリーター課税など、増税が目白押しです。 さらに年金保険料、介護保険料・利用料、雇用保険料、国立大学授業料の値上げなど、老いも若きも負担増のオンパレードです。(表)
国民1人5万円、4人家族20万円三・三兆円と三・七兆円を合わせて七兆円。国民一人あたり五万円、四人家族の場合は、二十万円以上もの負担が新たにかぶさってきます。たとえば事業所得が二百万円の「事業所得者と妻の二人世帯」の場合、今の納税額「九万一千二百円」と比べ、〇六年一月以降の納税額は五万九千百円増加し、定率減税の廃止を前提にした〇七年一月以降の納税額は七万三千八百円も増えることになります。
負担押しつけに道理なし景気を奈落の底に突き落とす九七年、当時の橋本内閣は、消費税の三%から五%への引き上げを強行するなど、九兆円もの負担増を押しつけました。当時は、年間数兆円規模で家計所得が伸びていましたが、九兆円負担増で、景気を奈落の底に突き落としたのです。この数年間をみると、家計所得は、年間数兆円規模で減っています(グラフ)。こんなときに七兆円の負担をかぶせれば、所得の減少に追い打ちをかけ、悪化している景気がさらに悪化し、橋本大失政の二の舞いになりかねません。
巨大開発の浪費を改めず小泉首相は「公共事業の予算を減らした」と言いますが、利用者が減っている関西国際空港の二期工事に三百億円を投入するなど、無駄な公共事業に巨額を浪費。続いて中部国際空港、神戸空港など需要動向を見極めることなく、浪費の道を突き進んでいます。
大企業・高額所得者には減税庶民増税の一方で、大企業・高額所得者への減税を続けようとしています。定率減税を縮小・廃止しながら、同時に実施した大企業への減税二兆七千億円、高額所得者への減税五千億円はそのまま。史上空前のもうけをあげている大企業への減税は続け、所得が毎年落ち込んでいる庶民に大増税とは道理がありません。
庶民の家計応援の予算を大増税、負担増をすぐにやめ、庶民の家計を応援して、経済を健全な発展の軌道に戻すことが必要です。
軍事費削減や政党助成金廃止をはじめ巨大開発の無駄遣いを一掃し、大企業と大金持ちに応分の負担を求めるなど、大企業中心から国民生活中心の経済政策に転換することが求められています。
(新聞「農民」2005.2.21付)
|
[2005年2月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2005, 農民運動全国連合会