「農民」記事データベース20041018-656-02

輸入食品・学校給食・地域農業・健全な社会を討論

自給率向上へ いま何をなすべきか

全国食健連が緊急シンポ 横浜

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運動・政策転換の必要みえてきた

 全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は十月一日、横浜市の県民ホールで、緊急シンポジウム「いまなぜ食料自給率向上なのか」を開きました。会場には、全国各地から百四十人余りが集まりました。(写真〈写真はありません〉

 パネリストは、港湾労働組合委員長の板倉隆さん、いのちをはぐくむ学校給食全国研究会代表の雨宮正子さん、長野県農民連産直協議会会長の小林吉彦さん、聖徳大学教授の江指隆年さんの四人。またコーディネーターは、全国食健連事務局長の坂口正明さんです。

 はじめに坂口さんが、「食料自給率の向上をどうやって実現していくのかが問われている。どういう政策転換が必要なのか、こういう点を論じながら食料自給率向上の意味をみんなで確認し、実現めざす運動に結びつけていきたい」と述べ、討論に入りました。緊急シンポジウム

 「港から見える食料の輸入依存の実態」と題して報告した板倉さんは、二十年経った海上デモについて経過を述べたあと、港湾の通関現場で実施されている輸入食品の安全チェック体制が、輸入を増加させるために大幅に緩められ、違反が発覚してもすでに消費者が食べてしまっている実態などを詳しく告発。

 雨宮さんは、学校給食の民間委託が広がり、手間をかけない加工食品中心の給食が子どもの健康をむしばんでいると指摘。山形県藤島町や愛媛県今治市の取り組みを例に、地域農業に根付いた給食の大事さを強調しました。

 小林さんは、佐久楽農倶楽部が「みんなでできることをやろう」と“もの作り”に取り組んできた経験を報告。ばあちゃんやかあちゃん、兼業農家、そして労働者も参加していることを紹介し、国産の農産物を願う多くの人が共同して農業を守るときだと述べました。

 江指さんは、「心と体と社会の健康を同時に高める食生活のためには、食料自給率の向上が大切」と、栄養学を専門とする立場から報告。安全なら輸入農産物でもいいというのではなく、「本当の意味での健康を考えると、季節や地域を大切にした国産の農産物を自給しなければならない」と結論づけました。

 パネラーの報告をもとに行った討論では、参加者が、O―157の問題や学校給食のあり方、労働者の食生活、市民の目から閉ざされた港湾通関の実態、食品企業の社会的責任、BSEの全頭検査継続などについて次々と発言しました。

 最後に坂口さんは、「議論を通じて地域でどう食生活を確立していくかということも含めて運動や政策転換の方向がみえてきたのではないか」と述べました。

(新聞「農民」2004.10.18付)
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2004年10月

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