設立八周年を迎えた農民連食品分析センター食と農を守る強力な砦(とりで)にすぐれた検査機能、数々の実績
「いま、食と農を守る砦(とりで)、農民連食品分析センターが出番!」――。安全な食を確保することは国民の権利です。農民連食品分析センターは、あふれる輸入食品の残留農薬などを分析し、情報を広く国民に提供してきました。九月八日に開いた「設立八周年、重金属分析装置の新設を祝う会」は、百人を超える参加者で大にぎわい。遺伝子組み換え大豆を使っていないはずの豆腐から組み換え遺伝子の検出や、生肉に使われる鮮度保持剤の分析など、最新のデータをもとに分析センターの活躍を特集します。(関連記事4面)
「不使用」表示は偽りだった!遺伝子組み換え豆腐 市販品から検出農民連食品分析センターは、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の依頼で「遺伝子組み換え大豆は使用していません」と表示している豆腐七点を分析。そのうち三点から組み換え大豆の遺伝子を検出しました。
分析した豆腐は、東京都や埼玉県のスーパーで六月末に購入したもの。組み換え遺伝子が検出されたのは、「食卓応援 長崎海精にがり きぬ 」((株)サンフードジャパン)、「おかめ豆腐 木綿」(タカノフーズ(株))、「もめん 厳選丸大豆使用」(日本ビーンズ(株))の三点です。消費者は購入に際して、表示を信用せざるをえず、誤った表示は許されません。 しかし、メーカーは、「意図的ではない」「流通段階で混入したのではないか」などと言い逃れをしています。この問題の背景には、意図しない場合で原材料の五%以下の混入であれば、「遺伝子組み換えではない」と表示できるという、日本の表示制度の欠陥があります。一方、ヨーロッパ諸国では、混入率〇・九%以下でなければ「不使用」表示できず、日本の表示制度をもっと厳しく改正する必要があります。 日本は、大豆、ナタネ、トウモロコシなど遺伝子組み換え(GM)農産物を七百万トン以上輸入する世界最大の“GM輸入大国”。大豆は、九六%を輸入に頼っており、このうち七五%はアメリカ産。アメリカの大豆の八一%はGM品種ですから、日本人が食べる大豆の約六割は、GM大豆だということになります。 ところが、日本中どこを探しても、「遺伝子組み換えしたものを使っています」と表示した食品はありません。「使用」表示は任意で、表示してもしなくてもいいことになっているからです。 知らず知らずのうちに食べさせられているGM食品。日本人はモルモットにされていると言っても過言ではありません。少なくとも表示を厳しくし、国は輸入時の検査で混入をしっかりチェックすべきです。 (分析センター 石黒昌孝)
分析センターの検査能力の正確さを立証厚労省発表「生薬から残留農薬」厚生労働省の研究班はこのほど、漢方薬の原料となる生薬、十一品種百二十一サンプルを調べたところ、半数近くの五十六サンプルから残留農薬を検出しました。これは、昨年六月の農民連食品分析センターの分析結果と符合します。そもそも厚労省の研究班が発足したのは、分析センターの告発がきっかけ。当時の厚労省医薬局審査管理課の課長補佐は、新聞「農民」の取材に対して「(漢方薬から)残留農薬が検出されたような場合、第一義的には製造した企業に責任があるが、国民の健康を守る立場から、国もすみやかに対応する」と答えていました。今回の調査は、これにもとづく対応です。 漢方薬に使われる生薬には、ほとんど残留農薬の基準がありません。基準があるのは、人参や人参沫など四種類で、総BHC、総DDTが二ppm以下と定められているだけ。今回の調査では、約半数のサンプルから有機塩素系、有機リン系、ピレスロイド系の農薬が見つかり、五サンプルはDDTが基準を超えて残留していました。 「朝日」(8月20日付)は、「昨年6月に農民運動全国連合会が、4品種の生薬から農薬が検出されたと発表したのを受け、研究班が発足」と書き、その報道によると、漢方薬の製造・販売会社でつくる日本漢方生薬製剤協会は「製品になった段階で、残留農薬の成分を自主的に検査する方法と基準を検討している」と述べています。農民連食品分析センターの分析が、国と業界団体を動かし、国民の健康を守る役割を果たしました。
(新聞「農民」2004.9.20付)
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[2004年9月]
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