参院選挙徹底検証第2弾!しっかり見抜こう どれがホンモノ!ニセモノ?(1/2)各党の選挙公約を比べてみると…
各党の農業政策が出そろいました。日本農業の今後が問われるこの参院選にあたって各党はどんな公約をかかげているのでしょうか。
農業破壊の法案に賛成 自、公、民など「価格保証」せず、輸入野放し各党とも自給率向上いうが九割近くの国民が「自給率を大幅に引き上げるべき」と望んでいます。こうした世論を受けて、各政党とも食料自給率の目標値を公約に掲げました。しかし、数値目標を示すだけなら、どの政党にもできること。その実現に向けて、農政の諸問題にどういう態度でのぞむかが問われています。
食料自給率は、一九九九年に成立した新農業基本法にもとづいて、二〇一〇年までに四五%にすると明記したにもかかわらず、いまだに四〇%のまま。目標達成の見込みはまったく立っていません。小泉内閣を支えてきた自民党や公明党は、自給率向上のために何をやってきたのでしょうか。
小泉「構造改革」のもとで進めてきたことは、(1)いっそうの輸入拡大、(2)価格保障の完全な廃止、(3)農地を大企業に開放するという、自給率向上とはまったく逆行することでした。 六年前から国会にかかった主な法案をみると、食糧法や新農業基本法をはじめ、大豆や牛乳の価格保障制度の廃止法、農地法、農業委員会法など悪法が目白押し。これに反対を貫いてきたのは、唯一、日本共産党だけ。自民・公明の与党は、こうした農政への反省なくして自給率向上を公約に掲げる資格はありません。 自給率向上にとって不可欠な政策は、(1)野放しの農産物輸入に歯止めをかける、(2)農家の生産コストをつぐなう価格保障、(3)大企業の農地支配を許さないことです。 こうした視点で各政党の公約と法案への態度、党首の発言などを検証してみると…
首相は「農業鎖国…」と暴言昨年十月、小泉首相はメキシコとのFTA交渉の過程で、「もう農業鎖国は続けられない」と発言し、大企業のために農業は犠牲になれ、と宣言しました。また民主党の菅代表(当時)もこの小泉発言に「賛成」と言い、小沢代表代行(当時)も「日本は農業で完全に自由化すべきだ」と言い放っています。公明党はFTAについて、「積極的に推進するのは当然」との立場です。これでは、“農産物輸入に歯止めなし”という農政の根本はなんら変わりません。これに対して日本共産党だけが、「WTO交渉で、米を自由化の対象からはずすなど農業協定を改定させ、(各国の自給率向上を認める)食料主権を回復する」と公約に掲げ、各国の農業が共存できる貿易ルールづくりをめざしています。
大規模農家だけに優遇措置今回の参院選で一番の特徴は、日本共産党以外の政党が、公約から農産物の価格保障をはずしたことです。そのうえで、すべての政党が、直接支払い・所得補償制度の実施を掲げています。その対象は、自民党や公明党が、認定農家や営農法人など意欲ある「担い手」に限定して、大多数の農家を農業から締め出す考えを明らかにしました。民主党は、兼業を含めた販売農家とし、「一兆円の所得保障」を公約していますが、一方で「農産物価格は市場で輸入農産物と競争させる」とも言っています。農産物価格が輸入並に下落すれば所得を補償するためにとてつもない予算が必要になるのは必至。しかもWTO協定が認める所得保障は、生産拡大と結びつかないことが建前です。これでは、自給率を引き上げるという主張とも矛盾するものです。 また、過去にも大豆や加工原材料乳などの価格保障制度を廃止する法案に賛成してきた社民党も、「品目別の複雑な補助金は、すべて廃止します」と、価格保障をバッサリ切り捨てています。 農家の受け取る価格が、生産コストを下回っていたり、市場原理まかせで買いたたかれたのでは、農家経営は守れません。担い手の確保や国内生産を増大する最大のカギは、再生産を確保できる農産物価格の実現です。価格保障や下支えを唯一掲げる日本共産党は、その実現のために農業予算を価格・所得保障中心に切りかえ、家族経営や共同事業を支える、と公約しています。 株式会社の農地取得・農業参入の問題ではどうでしょうか。
財界からの献金と引きかえに政府・自民党は、財界の強い要求を受け入れて全面解禁にむけた検討を進めています。民主党も、菅代表(当時)が「農地法の廃止を含めて議論したい」などと発言。これは、自民党も民主党も財界からの献金をあてにしているからです。公明党は、「特区」で認めたリースによる株式会社の農地所有を全国展開することに賛成しています。株式会社が農業に参入すれば、利潤第一主義でもうからなければ撤退し、後に残った農地が荒廃してしまうことは、明らかです。すでに産廃業者が農地解禁を見越して動き出しています。 日本共産党は農地を持続的に利用するため、また農村社会の将来にとっても、株式会社の農地取得・農業参入には、きびしく反対しています。
「米国産牛肉の輸入解禁せよ」自民比例候補が公言「アメリカ産の牛肉を緊急避難的に部分解禁する必要がある」――BSEに対する消費者の不安も、輸入牛肉の急増に苦しむ農家の思いもよそに、こんなことを訴えて参院選に出馬する候補者がいます。自民党公認で比例代表から立候補する入沢肇氏(写真〈写真はありません〉)。入沢氏は、農水省のキャリアOBで現職の参院議員。同氏のホームページには、恥も外聞もなく、「農林水産省三十四年の行政経験の中で、将来を見すえ…」「常に消費者・事業者・生産者の視点から…提言」「有言実行を信念としております」という文字が躍っています。 吉野屋など外食企業が加入する日本フードサービス協会の支援を受けているとはいえ、BSEが発生し、ろくな検査をやっていないことが判明、汚染の実態もつかめない、危険なアメリカ産牛肉の解禁を訴える入沢氏。同氏を公認した自民党も、「自由民主」(3月12日付)で、「二十一世紀を担う政策通」と持ち上げ、小泉首相、安倍幹事長と一緒に撮った写真を掲載しています。 どうやら「自民党への一票は、アメリカ産牛肉輸入解禁への一票!」と肝に銘じなければいけないようです。
(新聞「農民」2004.6.21付)
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[2004年6月]
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