「農民」記事データベース20030908-601-10

「米改革」マッピラ

地域で助け合い米作り続けよう(3)

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広島県世羅町

“農地は荒らしたくない”

老人・病人の田を担う農家

 地域で農業を守りながら暮らしたい――米改革の具体化が進むなか、広島県で十五ヘクタールを耕作する稲作農家、木戸菊雄さん(45)を訪ねました。

 経営ギリギリ

 木戸さんが農業を営む世羅町は、広島県の東部中央にあります。標高四〇〇メートル前後の世羅台地に点在する百三十六筆の田んぼは、一筆が三十アールから五アールまであり、合計十五ヘクタール。他に田植えや稲刈りなど一部農作業も請け負っています。地域で経営面積が大きい農家は木戸さんを含め四軒。木戸さん兄弟が一番若い地域農業の担い手です。

 木戸さんが稲作を始めたのは十五年前。三十歳の時、十一も年の違う弟の伸生さん(34)の就農を機に、二人で四十五アールからスタート。その後、面積を増やし、六年前に菊雄さんは勤めをやめ農業に専念。二年前には、伸生さんと兄弟で家族協定を結びました。

 しかし、米価下落の影響で「できるだけコストを落としているが経営はギリギリ」。作業場として鶏舎だった建物を借り、機械は使えそうな中古を探して何とかやりくりしています。

 儲けじゃない

 「儲かるからやる感じじゃぁない。儲けのためならやめとる」。木戸さんは農地を荒れさせないために、高齢化や病気で農業をやめる人の田んぼを引き受けています。

 稲作を始めて十五年間、一〇〇%減反に協力してきた木戸さん。経営確立助成やとも補償、大豆交付金などを最大限に活用しながら、転作田に大豆や乳牛のエサとなるホールクロップサイレージを栽培し、条件が悪い田も荒らさないよう管理しながら農地を守っています。しかし、米改革で転作助成金がなくなれば、その分の所得が減り、米価が下がればさらに所得が減ってしまいます。

 守る者いない

 米改革で「農業をやる者がいなくなれば、農地を守る者がいなくなる」。広島県農民連の副委員長でもある木戸さんは、「運動しなきゃならん」という思いとともに、「こうやって農業を辞めさせるものなのか」と、米改革に対する危機感と、怒りをあらわにします。

 「それでも作り続けたい。いずれにしても条件に合った作物と販売ルートを探すしかない」と語る木戸さん。「これからは準産直を増やしていきたい」と、お米屋さんを通じて消費者に、作る農家の顔が見えるお米を届けるとりくみに意欲を燃やしています。

(新聞「農民」2003.9.8付)
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2003年9月

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