「ものを作ってこそ農民」――国産もとめる国民と結んで――米・農業つぶしをはねかえそう(2/2)
どうなる?減反政策*「あるべき姿」=農家が米作りをあきらめる姿 平成二十二(二〇一〇)年までに、農家が米作りをあきらめ、常に米が不足する状態にすれば、減反を割り当てる必要はないこれが、政府がいう「米作りのあるべき姿」です。 減反をやめれば、当然転作奨励金も稲作経営安定対策もやめ、予算もバッサリ削るこれも政府のねらいです。 *農家と農協を分断して それまでの間は、減反政策を次のように形を変えて続ける(表1)。
(1)〇四(平成十六)年から、減反面積ではなく「これ以上、絶対に米を作るな」という生産目標数量 を割り当てる。 (2)目標数量の割当や目標達成の監視は、遅くとも〇八(平成二十)年からは「生産出荷団体」(農協系統など)にやらせ、国と県は「助言・指導」を行うだけにする。 (3)従来の転作奨励金と稲作経営安定対策を一本化(産地づくり推進交付金)して減らし、個人配分をするかどうかなどは地域にまかせる。 (4)豊作や米消費の減少などによる「過剰米」は農家の責任で「主食用以外」に投げ売りさせる。農家が処分できなければ一俵三千円で“質流れ”。そのうえ、次の年の目標数量は減らされ、減反が強化される(表2)。
「自主減反」どころか減反を強化して政府が手を引き、しかも農家と農協を反目させるこんなことが実現したら農家も農協も不幸です。「農家の農協離れ」「農協の農家離れ」のスキを突いて、漁夫の利を占めるのは、農協の事業を虎視眈々とねらう大企業です。 *減反強化、掛け金ゴッソリの“地獄のサイクル” ある県の農政部の幹部は「政府が打ち出した方針は農家に分かりやすくないし、嫌われるだけだ。こうなったら農家が自分で販路を開拓して、減反に一線を画すしかない」とつぶやきました。 実際、減反に参加させられ、過剰米処理・米価下落・担い手経営安定対策などの掛け金をゴッソリ取られ、あげくの果てが減反強化と米価暴落これは、どこから考えても“地獄のサイクル”です。
米流通を大資本主導の「無政府」状態に最近、業界トップの「木徳神糧」をはじめ、大手業者の偽装表示が相次いでいます。輸入米一〇〇%を「国産米」として販売したり、長粒種をまぜて「会津産コシヒカリ」として販売した例さえあります。 三月二十五日に行われた自主流通米入札では、偽装が摘発された「新潟コシヒカリ」と「福岡夢つくし」が、昨年比二千円〜四千三百円も値上がりしました。これ自体が、相当大がかりな偽装表示が行われていたことの証拠です。また、これに便乗して、“この際ひともうけしよう”とねらった価格操作の疑いも指摘されています。 食糧法によって規制が行われていても、この始末。ところが食糧法「改正」案では、規制を全部取り払い、届け出さえすれば、誰でも米の集荷・卸・小売を自由に行える流通完全自由化をめざしています。 こんなことになったら大資本・大商社が資力にものをいわせ、価格操作や買い占め・売り惜しみ、偽装表示に勝手放題に乗り出すことは必至です。 戦前の米投機と米騒動、七〇年代の丸紅モチ米買い占め事件の再現を許してはなりません。
米の完全自由化に道開く「米改革」政府の念頭にあるのは「過剰」対策だけで、十年前の米パニックのような事態に対しては、わずか百万トンの備蓄と、「懲役三年」という罰則でおどして、農家に“強権供出”を迫ることや「配給」で対応するという程度。 結局、恒常的に米不足の事態を作り出し、「いざという時には外米を食わせ」、米輸入自由化に道を開くこれが政府の「米不足」対策です。 こんなやり方で喜ぶのはアメリカとWTO、日本とアメリカの多国籍企業だけです。
日本人が食べる米は日本で作る以外にない米は地球の半分以上の人々の主食。「金さえ出せばいくらでも買える」余裕などありません。まして、米の産年・銘柄・味にこだわる日本人の食べ方は世界でもごく少数。 日本人が食べる米は日 本で作る以外にない「日本を米を作らない国」にする「米改革」に抗して、断固として米を作り、国民と連帯して日本の米と食糧、農業を守りましょう。
(新聞「農民」2003.4.7付)
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[2003年4月]
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