安全・安心 国産の食材を学校給食に(2)
農薬の危険がない給食パンを
子どもたちの体が危ない!検出された農薬は、マラチオン、フェニトロチオン、クロルピリホスメチルなどです。どれも有機リン系の農薬で、摂取量が少なくても長期にわたると視神経を侵します。 「子どもたちの体と命が危ない」と、雨宮さんたち千葉県食文化研究会は、早速行動を起こします。 最初に訪ねたのが、埼玉県です。検査結果が出た一週間後のことでした。視察した埼玉県市学校給食会は、米や大豆、小麦など地元のものを学校給食に導入し、地元の小麦で学校給食パンを作っています。そこでは「子どもには安全で豊かな食材で給食をすすめるという県の姿勢に感激して帰ってきた」と、雨宮さん。ここのパンも食品分析センターで検査しましたが、農薬は検出されませんでした。
県との交渉で“導入”の成果を雨宮さんたちは七月九日、県との交渉の席で農林部、教育委員会から「県産小麦三〇パーセントのロールパンを十月から学校給食に導入する」との回答を引き出しました。月一回だけとはいえ、大きな前進です。もちろん雨宮さんたちはそれで満足しません。 「残留農薬の危険性や県の農業の振興を考えると、どうしても納得できなかったのです。県の小麦の生産量は三千三百九十トンあります。二回のロールパンに使う小麦は十二トンほどで、まかなう量は十分あるんです」 三〇%県産小麦になるとすぐ、食品分析センターにそのパンを持って検査を依頼します。結果は大幅に減っていました。だけどマラチオン〇・〇一ppmの残留が、〇・〇〇六ppmになったに過ぎません。マラチオンは環境ホルモンの一つで、たとえ基準値より低くても人体に影響がないとはいえません。 「子どもたちの健やかな発達のためにも、一日も早く県産小麦一〇〇%使用の学校給食パンを」と、追及の手を強めます。
母親たちが市長と交渉市や町の議会では議員が質問を繰り広げ、船橋市では母親たちが市長と交渉して訴えました。「なぜマラチオンが出るのかねえ」という市長に、「輸入小麦だからでしょう」と、お母さんたち。白井市では教育長が市長と一緒に、県産の小麦を使うよう県に要望書を出しています。六月議会では今、あちこちの議会で質問が繰り広げられ、その成果に期待が寄せられています。 三十数人が参加して何度も何度も県交渉などを繰り返し、今年の四月からは、うどんを含む小麦製品のすべてが、毎回県産三〇%となりました。
あと一歩、気が抜けない「あと一歩だ。埼玉や茨城、群馬ではすでに実施しているのだから不可能ではない。がんばろう」。雨宮さんたちは、成長期にある児童・生徒の心身の発達にとっての影響が計りしれないだけに、気が抜けません。 いまは小麦だけではなく、県産米での米飯給食の実施とともに、遺伝子組み換えでない県産大豆を使用した醤油、味噌、納豆を学校給食に導入するよう求める運動も強めています。
(新聞「農民」2002.7.1付)
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[2002年7月]
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