イタリア農村紀行食を見つめる旅(中)スローフード運動発祥の地を訪ねて食を見つめる旅(下)
子供たちへの味覚教育 スローフード協会が、伝統的な食品への支援とともに力を入れているのが、味覚教育の活動です。 伝統的な食文化を伝える講師を養成して講座を開いているほか、学校の食教育の中で、子どもたちへの味覚教育を進めようと、教員の教育にも積極的に取り組んでいます。また、日頃ファーストフードになじんでしまっている若者たちには、有名なプロの料理を安く食べてもらい、食文化を体験してもらう取り組みを進めています。 さらに、二〇〇二年には「味覚大学」を開校する準備をしており、様々な希望を持った人たちが選択して参加できるように、いくつかのコースを用意しているといいます。
日本の良さを見直す機会に「味覚教育」について話を聞くうち、イタリアでは教育課程に「食」についての教育カリキュラムがあるということもわかりました。食に対する思い入れの違いを感じましたが、学校給食を通じて地域や日本の農業に根ざした「食教育」を進めている日本での実践を、もっと広げることが大切だと思いました。また、「日本の食事スタイルには、器の大きさや彩りなどの見た目で、必要な食品、量などを覚えることができ、子どもたちが食事を通じて、自然に食文化を受け継いでいける特徴を持っている」という話を、この旅の参加者で、雑誌『たべもの通信』の編集委員をしている小倉さんから聞くことができ、日本の食文化について見直す機会にも恵まれました。
古い町並みの中を食べ歩きスローフード協会訪問の前日には、協会主催の「食べ歩き祭」がブラの町で開かれ、私達も参加しました。町の中央にある公園のテントで受け付けを済ませ、町中に点在する食前酒、前菜、お肉、野菜、チーズなどのポイントを歩きながらめぐります。首からワイングラスを入れた袋をぶら下げ、ポイントの地図とチケットを持ち、小さな路地に並ぶレンガ作りの建物を眺めながらあちこちと移動します。ふだん閉じられていそうな頑丈な扉をくぐった中庭に目指す会場があるのですが、中庭には手入れの行き届いた建物と美しい花で飾られた景色が心地よく広がっています。中庭には参加者の笑い声が響き、みな楽しそうに歓談して良い雰囲気。おいしい食事とワインを楽しみながら、古い建物を眺める「食べ歩き祭」は、町おこしに最適だと思いました。
(新聞「農民」2001.11.5付)
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[2001年11月]
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