「農民」記事データベース20011029-514-07

安全対策、所得補償など万全に

輸入牛肉なら安全?

風評被害を広げる輸入食肉業界


 日本初の狂牛病発生にたいし外食産業は、国産牛肉を使わないから安全だと開き直っています。「米国輸出肉連合会」が、全国紙に「米国では狂牛病は発生してないので安心してお召し上がりください」と全面広告を掲載しました。

 日本の生産者も消費者も不安に駆られているとき、日本に牛肉自由化を押し付けた張本人が風評被害をばらまくような広告を出すとは。

 それでは、輸入牛肉はほんとうに安心なのでしょうか――。

 狂牛病は米国でも起こりうる

 アメリカ気鋭のジャーナリスト、エリック・シュローサー氏は著書『ファストフードが世界を食いつくす』で、(1)国内消費のほとんどを扱う十三の大手精肉工場の一部では、一ライン一分間に五〜六頭、一時間に四百頭近く処理するという猛烈な作業に追われる労働者の処理ミスによって、こぼれた糞便でO-157菌汚染が起きている、(2)肉骨粉や鶏糞をエサにすることによる狂牛病の発生、抗生物質や寄生虫、重金属残留の可能性があると指摘。

 最近来日したフリージャーナリスト、シェルドン・ランプトン氏の『狂牛病はアメリカでも起こりうる』では「米国では一九九七年、牛に肉骨粉使用を禁止する法律が成立したが、実施状況はゆるやかで、FDA(食品医薬品局)の調査では、この法律に違反している飼料業者は数百に上る」「農場では…オガクズ、粉砕した新聞紙などの産業廃棄物、処理された糞尿、下水の汚泥までが飼料に使われている」と告発しています。

 EUが指摘――米国で発生する危険性

 さらに「ウォールストリートジャーナル」は社説で「英国から一九九六年、米国に十二トンの肉骨粉が輸出された。…米国では年間三千六百万頭の牛を処理するが一九九〇年以降、農務省が検査した牛の脳は一万二千体だ。政府と産業界は、いつかはきっと国内で狂牛病が発生することを確信しながら、この十年発見されないことを祈り続けてきた」(八月二十九日)とも。

 EUは一九九七年九月、アメリカでの狂牛病発生の危険性と可能性を指摘しました。最近、シカの「狂牛病」発生も報道されました。

 最近発行された『マクドナルド7つの秘密』(宮崎文雄著)には、日本マクドナルドが使う肉原料について、こう書かれています。

 日本マクドナルドのハンバーガーの脂肪率は一五・五%に決められているが輸入されるオーストラリア産牛肉は脂肪率一五%以下。そこで世界の肉マーケットに流通している安い高脂肪肉を買い付け、千葉の指定工場で混ぜている。その配合率や均一化する技術が「腕の見せどころ」だ――。

 工業製品のように作られ、海を越えてくる輸入肉の方がよほど恐ろしいとは思いませんか。

(新聞「農民」2001.10.29付)
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2001年10月

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