暫定セ−フガード修了1ヶ月前本格発動と品目の拡大を 第1弾
「長ネギ、生シイタケ、畳表(イ草)の三品目を本格発動し、さらに品目の拡大を」――三品目の暫定セーフガード期間終了の十一月八日を前に、関係農民は切実に求めています。 また、農民連は政府申請の準備を進めるとともに、各地で九月地方議会に意見書の採択を要求して取り組んでいます。 新潟県連は県内百十一のすべての市町村議会に「セーフガードの本格発動と品目拡大を求める」請願書と意見書を送りました。九月二十七日現在、長岡市、白根市、京ヶ瀬村、聖篭町、六日町、津南町、中里村、中郷村、金井町、紫雲寺町、巻町、川上村、三川村、高柳町、松代町、清里村、三和村の十七市町村議会が採択しています。
日本共産党国会議員団セーフガード問題プロジェクトチーム(責任者・中林よし子衆院議員)は九月二十六日、武部勤農水相と会い、三品目を本格発動し、緊急監視品目のトマト、ピーマン、タマネギなどもセーフガードを発動するよう申し入れました。 セーフガードの本格発動について武部農水相は「十月にまとまるデータにもとづいて、やるべきことはしなければならない腹づもりでいる」と答えました。
ネギ「暫定」発動でひと息つけた埼玉 江原敏夫さん「深谷ネギの出荷は十一月からが本番。ネギなど三品目のセーフガード本発動をなんとしてでも実現してほしい」と語る江原敏夫さん(58)は、全国有数のネギ産地・埼玉県深谷市の専業農家。米三ヘクタール、ネギ五十アール、キャベツ五十アールの農業経営を行っています。江原さんの農業経営は、米中心に見えますが、中国からのネギ輸入激増前はネギと米の売り上げはほぼ同じ。ネギは従来、他の野菜と比べ、極端な高値にはならなかったものの、暴落も少なく、計算のできる数少ない農産物と言われてきました。ところが、この二〜三年来の輸入激増で、江原さんは大きな影響を受けました。一九九八年にはネギ一キロ当たり四百三十二円だったのが、九九年には三百四円、昨年は二百四円と価格が暴落、深刻な事態に直面しました。 ネギ価格の暴落は深谷市の農家をはじめ、地域経済にも深刻な影響を与えました。この暴落の原因である輸入の激増を食い止めようと農民連や日本共産党、深谷市長などが一体になって、セーフガード発動を求める運動に取り組み、今年四月には暫定セーフガードが発動されました。 ネギ価格は、ここ数カ月の輸入の減少と価格の安定化という動きをみせています。先日の台風十五号がきた前後には、ネギの価格が一ケース(五キロ)二千円になりました。台風の影響があったものの、この二年間では一度も出たことのない価格。江原さんは「暫定セーフガードのおかげで価格が持ち直し、一息つくことができた」と語り、さらに「ネギの本発動と他の品目にも拡大してほしい」と要望しています。 (埼玉県連 松本慎一)
ゴボウ価格低迷、二年連続の安値に茨城 高野衛さん私の住む鉾田町は茨城県の東部に位置し、太平洋に面する農業粗生産額県内第一位、ゴボウの生産額も県内第一位の農業の町です。私は二十年以上も前からゴボを栽培し、今年は五十アールほど作付けました。輸入ゴボウは中国などアジアからの輸入が激増している野菜の一つですが、価格低迷のうえに、昨年と一昨年の二年連続の安値が続き、生活も本当に大変になっています。 以前は冬の仕事としてどの農家でも二十アールほど作付けていましたが、現在は利益が少ないために、限られた農家だけとなりつつあります。 ゴボウ栽培は機械化が進み、規模拡大がしやすい作物であるため、外国の労働者を使う人も多くいますが、安値続きで廃業する業者も目立っています。また、加工業者も町内に二社ありますが、海上コンテナで輸入している社長さんから以前聞いた話では「惣菜メーカーの要望で以前は『国産六割に対し、中国産四割程度に押さえて混ぜてくれ』と言われたが、今では『中国産をどんどん入れてよい』と言われている」そうです。 加工は外国産が主流となっています。ある自民党支持の方からも「外国との付き合いで輸入するのも仕方がないと思っていたが、今の状況は限度を超えている」と話しています。 町の農業を振興させるためにもゴボウにもセーフガードの発動が必要です。
(新聞「農民」2001.10.8付)
|
[2001年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会