「農民」記事データベース20001225-475-09

農民連第十三回大会決議案

21世紀!国民諸階層と団結して
WTO協定改定を農業・農山村の復権を

二〇〇〇年十二月五日農民運動全国連合会常任委員会


IV 大志をもって多数の 農民の結集を

 農業が崩壊に直面しているにもかかわらず、農民連が強く大きくならなければ農業を守る主体的な運動をするものがいないところに、今日の情勢の大きな特徴があります。

 多くの農民が展望を失っているもとで、確固とした展望をもって運動している農民連が、どれほどのスピードとテンポで組織作りを前進させることができるかこのことが、いま鋭く問われています。

 農民連は、結成以来の全国の努力で着実に組織を前進させ、農村に一定の地歩を築いてきました。また、量・質ともに強大な近代的組織への脱皮をテーマに、多くの教訓を作り出してきました。

 しかし、いま直視しなければならないのは、生産・流通や多面的要求運動、新聞「農民」の充実など、農民連の運動の他の分野と比べて、組織作りが最も立ち遅れた分野になっていることです。

 また、この十年余の間に、要求を基礎にいきいきと奮闘し、組織を数倍に前進させ、影響力を大きく広げている組織が生まれている一方で、結成以来、組織をほとんど前進させることができず、いまだに事務所も専従者も配置できない県連が残されていることは重大です。この間の奮闘で一定の広がりがあるものの、広大な空白が残されており、全国的に統一した運動を広げるうえでの障害になっています。

 さらに、一定の段階にまで前進した組織が、その後の飛躍がなかなか勝ち取れないという状況を突破できずにいることについての深い検討も必要です。

 いよいよ二十一世紀の幕開けです。これまでの全国の教訓に学び、すべての都道府県連と単組、加盟組織が、要求を基礎に日本農業の展望と歴史を切り開く大きな大志を持って組織作りに挑戦することをよびかけます。

1 組織を作りかえるほどの気概をもった活動改善を

 (1)組織作りの独自の努力を

 組織作りは、計画的・能動的な独自の努力がなければ、たとえどんなに要求運動が発展しても前進させることはできません。

 みんなでよく討議して目標を決め、決めたことは団結して必ずやりきるというのが、新聞「農民」読者の拡大運動で奮闘してきた秋田県連や山口県連の最大の教訓です。こういう教訓に学び、組織作りをあらゆる要求運動に太く位置づけるとともに、みんなで討議して生きた目標を練り上げ、分担して計画的に組織作りを進めましょう。

 (2)方針が会員に届き、会員の要求が組織に届く組織作りを

 どんなに全国の教訓を踏まえた方針を決めても、班や会員に届かず、討議もされないという弱点の克服なしに運動は前進しません。それはまた、一人ひとりの会員の要求や声が反映される組織にするうえでも欠かせません。

 (3)要求にもとづき、地域で自主的・自発的に自己回転する組織作り

 単組や班(支部)が、全国連や都道府県連の方針を正面から受けとめるとともに、この方針を地域の農民の要求や条件にふさわしくイメージをふくらませて具体化することなしには自主性を生かした自己回転する組織にすることはできません。都道府県連の役員は、こういう視点から足を運んで援助し一緒に相談しながら活動しましょう。ここに組織活動の中心があります。

 (4)新聞「農民」を中心にした活動を

 新聞「農民」は「全国の仲間の交流の広場」であり、「農と食を守る共同の広場」です。全会員が新聞「農民」をよく読み、あらゆる会議・寄り合いで紙面を活用して話し合いを進めましょう。また、要求や地域の話題を全国連にどんどん送りましょう。

 (5)事務所と専従者を配置した単組作り

 私たちの組織と運動を前進させるうえで、地域の拠点となる単組に事務所と専従者を配置して日常的に活動する体制を強化することは不可欠です。

2 活動の中心である新聞「農民」拡大と、組織拡大の根幹である会員拡大を

 (1)組織作りの根幹は会員の拡大にあります

 あらゆる要求運動に会員拡大を位置づけるとともに、新聞「農民」読者や加入をすすめたい対象者を広く出し合い、いつ、誰と誰が組を作って働きかけるかなど、会議や寄り合いで具体化し、結果を必ず話し合いましょう。

 (2)新聞「農民」の拡大

 悪政を追い詰めるうえで大きな力を発揮したのは新聞「農民」でした。一般マスコミは大企業の言い分や政府の農政を賛美し、垂れ流すだけでした。本来、農民のためのジャーナリズムであるべき農協系統の新聞が、政府と一体になった報道しかしてきませんでした。これに対し、新聞「農民」は単なる批判・暴露だけでなく、具体的な政策や元気の出る活動を生き生きと掲載してきました。

 読者拡大の目標をやりぬく県連がいくつもあり、全国的にもほぼ年間を通して拡大してきました。特に昨年は号外を百十万枚配布し、ここ三年間で数百万枚まいてきた成果が、運動と組織強化の両面で実り始めています。

 新聞「農民」の拡大は、広範な農民や国民に真実を伝え、農政を転換させる世論を作るうえで最も重要な活動です。また、組織のすそ野を広げ、財源を確保するという点でも、まさに活動の最も中心をなす課題です。すべての会員が手分けして新聞「農民」の読者を増やしましょう。

 (3)県連は、新聞「農民」と会員拡大の組織作りの自主目標をもとう

 (1)県内情勢を分析し、どこに単組と事務所を作るか、また、その地域に影響力を発揮するにはどれだけの力量が必要かを単組と相談して決め、自主目標を設定しましょう。

 (2)次期全国大会まで(年間)、三月まで、全国交流集会まで、次期県連大会までなどの節目を決めて活動しましょう。

 (3)役員が先頭に立って足を踏み出して教訓を作るとともに、単組、支部・班、すべての会員が足を踏み出せるように、行動を共にするとともに、目配りしましょう。

 (4)強固な県・地域センターを確立し、要求で一致する広範な団体の加入を

 価格暴落など農業をめぐる深刻な事態のなかで、農民連の生産・流通の取り組みに共感して既存の生産グールプの団体加入が進んでいます。

 これらの教訓は一致点を大切にし大きな視野で働きかければ広範な団体を結集できる条件が広がっていることを示しています。こうした条件を生かすにも、個人加入のしっかりした県・地域センターがなければ相手にしてくれません。

3 運動を支える計画的な財政活動を

 農民連の財政の原則は、会費、事業収入、募金の三つです。役員会ごとに実態を明らかにし、財政を組織全体で計画的に確立することが大切です。

 この間、長期にわたって未収金や本部への滞納など、財政の困難をかかえていた県連組織が、短期間に解決するという経験が生まれていることは大変重要です。これらの組織の教訓は、三原則にもとづき、組織全体の問題として正面から解決に挑み、具体的・計画的に粘り強く改善を進めたことです。

4 後継者を確保する運動を

 農業後継青年を確保することは、日本農業にとって不可欠の課題であり、組織全体の課題です。後継青年への働きかけを強め、すべての都道府県連・単組に青年部を作り、YAC(ユース・アグリ・クラブ)のネットワークを全国に広げましょう。

5 女性会員を増やし女性部の強化を

 女性が農業を支えているという農業の実態からも、また、この間の全国の運動の教訓からも、女性分野の活動を発展させることは日本農業再生にとって重要な課題であり、組織全体の課題です。

 引き続き女性会員を拡大するとともに、生産・流通をはじめ、女性があらゆる要求運動の先頭に立つことが求められます。すべての都道府県と単組に女性部を確立し、拡大強化をはかりましょう。

(新聞「農民」2000.12.25付)
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