「農民」記事データベース20000731-458-09

歯止めのない農産物輸入・価格暴落とどう戦うか

E.安全性とニセモノについて


(1)残留農薬が大手を振って

 WTO協定の衛生植物検疫協定(SPS協定)によって、残留農薬の基準がこれまでの二〜三倍、最大千倍も甘くなり、いまでは大手を振って毎日食卓にのぼっています。

 イマザリルという農薬は発がん性があるということで使用禁止でしたが、神戸の倉庫に積まれたカリフォルニアのオレンジには、ダンボールに堂々とイマザリル使用と書いてありました。以前はイマザリルだけは黒く消してあったのですが、WTO協定批准のあと、国産柑橘には相変わらず使用禁止のまま、輸入柑橘には食品添加物として使用が認められたというのです。

(2)雪印中毒事件の真の原因は安上がりをねらって脱脂粉乳を使うこと

 雪印乳業の中毒事件はいずれも還元乳に発生しています。輸入脱脂粉乳とバターに水を加えたものです。乳製品の輸入で最も多いのは脱脂粉乳です。本当の牛乳の味から遠い安上がりの「牛乳」「乳製品」を作ることが最優先された結果ではありませんか。ここまで国民を欺いてきた日本のルールもモラルもない大企業を信用できますか?

 また、アメリカの牛肉の半分以上がO157に汚染されていることも指摘しておかなければなりません。

(3)原産地表示や遺伝子組換作物の表示についての疑念

 七月一日から農産物の原産地表示が義務づけられましたが、中国産ゴボウにわざわざ日本の土をつけて「国産」として売ったり、外米を国産米として売るなど、現在のルールもモラルもない風潮を考えると、輸入食品の表示への不信が募るのも無理からぬことです。

 「有機農産物」のウソも新聞「農民」がすでに暴露した通りです。

(4)日本で輸入不許可の野菜を香港に転送

 今年三月から五月にかけて中国から輸入されたスナップエンドウに“シペルメトリン”というピレスロイド系殺虫剤(劇物)が基準の一ppmを上回って残留していたため、食品衛生法違

反として輸入が許可されませんでした。それはそのまま、積み戻されて香港に輸出されたそうです。

 生鮮野菜の開発輸入に携わる多国籍企業・輸入業者が、こういう劇物を使わせたり、輸入不許可になれば香港に輸出する――これはエコノミックアニマルぶりを証明する出来事です。

 厚生省の統計によれば、九八年の輸入野菜のうち検査数量はたった五%です。それでも検査制度があったから、それなりの措置がとれたのでした。

 来年四月から簡易申告制度が実施されますが、これは「過去三年間に関税法や国税で違反がない企業が年間二十四回以上輸入した貨物について(税関長が承認した場合)、港に着いたらすぐ引き取る」というものです。拳銃や麻薬・覚醒剤などの危険が大きいのですが、大商社などが輸入する食品の安全性についても大問題です。

(5)中国産の塩蔵ショウガ

 大阪のある港では塩分二〇%もある塩蔵ショウガが野積みにされていました(横浜でも塩蔵ショウガが輸入されていますが、上屋がかけられているとのこと)。黒ずんで汚れた木枠に入った袋入りのショウガがいつから野積みにされているのかは分かりませんが、破れた袋からは悪臭が発生しています。これを脱色して殺菌し、もう一度着色して回転寿司などに売られていくんだという説明でした。古い話だと思っていましたが、いまだにこのようにして輸入野菜が日本人の口に入っているのです。

(新聞「農民」2000.7.24・31付)
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