歯止めのない農産物輸入・価格暴落とどう戦うかD.卸売市場がつぶれたら農業は食品企業の支配下に
(1)市場は持ち込まれた農産物の受入拒否はできない(卸売市場法)卸売市場法第三十六条第二項には、中央卸売市場について次のように決められています。「卸売業者は、第十五条〔卸売業務の許可〕第一項の許可に係る取扱品目の部類に属する生鮮食料品等について、中央卸売市場における卸売のための販売の委託の申し込みがあった場合には、正当な理由がなければ、その引受けを拒んではならない」 地方卸売市場(県知事が認可)にも、この規定は適用されます。 この「販売の委託の申し込みがあった場合には、正当な理由がなければ、その引受けを拒んではならない」という規定の重みは、卸売市場がなくなって、量販店や商社・流通会社だけになってしまったときのことを考えてみれば明白です。彼らは「要らない」と断れるのです。 産直も直売も、実は全国的に卸売市場があるという土台の上に成り立っているわけで、青果物を支配下に置こうとする大資本・商社にとっては目の上のタンコブです。これを取り払い、「作物の種類も品種も価格も言いなり」という状況を作ろうというのです。
(2)農協の大型合併と大商社の野菜参入「農協が大合併し、大ロットを持つことは販売面でも有利だ」と宣伝されています。しかし、大ロットなるがゆえに売り先に見放されたときに従属的になることは、アメリカの事例を見ても明らかです。また、農協が主観的にはどう思おうと、大商社は農協も含めて流通面で取り込んでゆく戦略をもっています。日商岩井が「正直村」社員を募って市場外流通を進めているなどの大商社の戦略に取り込まれる危険はよく見ておく必要があるでしょう。
(3)消費者は輸入農産物を食べざるをえない訪中したKさんによれば中国では今なお、日本では製造も使用も禁止されている農薬が使われているといいます。SPS協定によって、大手を振って残留農薬まみれの農産物が輸入されるという大問題があります。
(4)実は新農業基本法の方針新農業基本法が食品産業と農業の連携について強調しているのは、旧農業基本法にない著しい特徴の一つです。これにもとづいて、「農政改革大綱」には、次のような方針が掲げられています。
「加工・業務用への国内農産物の需要拡大を図るため、食品産業と国内農業の望ましい連携のあり方、その推進手法等について、法制度を含め幅広く検討を行い、必要な対策を講ずる」一般論として、農業と食品産業との連携は当たり前のことです。 しかし農水省の本音は、「消費者」の名のもとに「食品産業が望むものを作れ」ということで、食品企業のインテグレーション(統合・支配)に通ずるものがあります。
* 中国とアメリカの農業の実態について興味深い資料がたくさんありますが、紙面の都合で割愛せざるをえません。詳しくは、雑誌『農民』No.51をご覧ください。 (新聞「農民」2000.7.24・31付)
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